公務員の雇用形態|正規職員と非常勤職員の違いは?

民間企業では「正社員」のほか、「契約社員」や「派遣社員」など多様な雇用形態によって働く人がいます。

公務員も同様に、雇用条件の違いなどによって、さまざまな形態での働き方があります。

この記事では、公務員の代表的な雇用形態の種類と特徴について紹介します。





任期を定めず、常勤で働く形態

公務員のうち「正規職員」とは、任期を設けずに常勤として働く人のことを指します。

企業における「正社員」に相当し、一般的には「正職員」とも呼ばれることがありますが、これは法的な用語ではありません。

「正規職員」は、法定の理由以外では本人の同意なしに降任や休職、免職されないという身分保障があります。

問題を起こさない限りは定年退職まで勤務できるため、安定した雇用形態といえるでしょう。

給与や待遇、福利厚生なども充実しており、職務に責任を持つ役割を果たす一方で、昇進や昇給、数年ごとの転勤や異動の可能性もあります。

定められた期間だけ働く形態

公務員としての雇用形態は多様であり、なんらかの理由で一時的に雇用されたり、定められた期間のみ働いたりしている人もいます。

これらの雇用形態は、常勤とあわせて公務員の適性や需要に合わせて柔軟に採用され、効率的な業務運営を支えています。

国家公務員の非常勤職員

国家公務員には常勤のほか、「非常勤(非正規)職員」としての雇用があります。

また、非常勤職員は、以下の2種類に分かれます。

  • 期間業務職員
  • パートタイム職員

これらの国家公務員の非正規職員の制度は、一定の業務に対する柔軟な人員配置や、非常勤職員にも安定した労働条件を提供することを目的としています。

また、育児休業など一定の事情によって一時的な人員補充が必要な場合にも活用されることがあります。

非常勤職員は、国家公務員のなかでも「一般職」として働く職員が多いことも特徴です。

以下で、それぞれの働き方についてさらに詳しく説明します。

期間業務職員

国家公務員の非常勤職員のうち「期間業務職員」とは、特定の期間に限って臨時的に採用される職員を指します。

一般の官職以外の職種で採用されることが多く、一会計年度内(一年)に限って置かれることが一般的です。

週に38時間45分の4分の3を超えない勤務時間の職員を除いて任用されることが多いです。

従来の日雇い労働者に比べて安定した雇用を提供する目的で設けられ、主に短期間の特定業務に従事するための職員です。

パートタイム職員

国家公務員の非常勤職員のうち「パートタイム職員」とは、週に38時間45分の4分の3を超えない勤務時間で雇用される職員を指します。

これには委員、顧問、参与などの職種が含まれます。

常勤職員と同様の業務を一部担当するための非常勤職員であり、主に短時間の勤務を希望する方や生活スタイルに合わせた働き方を選ぶ方に適しています。

地方公務員の会計年度任用職員

地方公務員には「会計年度任用職員」として雇用される人がいます。

これは、2020年4月に地方公務員法の改正によって導入された非常勤の地方公務員の雇用形態で、これまでの臨時職員や嘱託職員に代わる形で設けられました。

会計年度任用職員の制度ができるまで、非常勤の地方公務員の数は増加の傾向にあり、各自治体での採用方法がバラバラであったことから、適切な任用が難しかったり、貢献度の高い職員への報酬の支給が制約されるといった課題がありました。

こうした課題を解決するため、会計年度任用職員が導入されました。

会計年度任用職員制度では、地方公共団体が年度ごとに必要な業務を選定し、その業務に従事するための非常勤職員を任用します。

これによって、業務の適切な人材配置が可能となり、貢献度の高い職員に対する報酬やボーナスの支給も行いやすくなりました。

また、任用の透明性が高まり、公正な選考が行われることも特徴です。

会計年度任用職員は、必要な業務の範囲内での雇用となり、任用期間も年度ごとに設定されます。

この制度によって、地方公共団体の業務運営が効率化され、適切な人材の確保と活用が促進されています。

フルタイムとパートタイムの2種類

会計年度任用職員は、勤務時間によって「フルタイム」と「パートタイム」の2種類があります。

それぞれの特徴をまとめたのが以下の表です。

フルタイム パートタイム
週当たりの勤務時間 38時間45分
(1日7時間45分×5日)
38時間45分以下
任期 最長1年 最長1年
更新 2回まで 2回まで
給与の名前 給料 報酬
退職手当の有無 あり なし

任期の違い

会計年度任用職員の任期は、通常1年間(4月1日から翌年3月31日)となり、会計年度に合わせて設定されます。

以前の一部の非常勤職員(臨時的任用職員)の任期が最長6か月であったのに対し、会計年度任用職員の任期は長くなったことで、より長い期間の勤務が可能となりました。

優れた勤務成績を示す場合、会計年度任用職員は最大2回まで再任用ができ、合計して最長3年間勤務を続けることができます。

また、以前の制度では再任用の際、退職日から数か月の経過期間を要していましたが、新制度ではこの待機期間が不要となり、任期を終えるとすぐに再開できるようになりました。

ただし、2回の再任用を終えても継続して働きたい場合には、再び求人に応募し、選考を経て再度採用される必要があります。

給料の違い

会計年度任用職員の給与は、任用形態により名前が異なります。

フルタイムの場合は「給料」、パートタイムの場合は「報酬」として支給されます。

給与額は、同じ職務を担当する常勤職員の給料表を基準にして決定されます。

さらに、本人の知識、技術、経験なども考慮されます。

再任用時も初回同様に経験年数などが考慮されるため、実質的な昇給の可能性があります。

会計年度任用職員には、これまで支給されなかったボーナス(期末手当)が、フルタイム・パートタイムを問わずに支給されるようになりました。

さらに、時間外勤務手当や宿日直手当、休日勤務手当、夜勤手当なども同様に支給されます。

ただし、退職金(退職手当)は、6ヶ月以上勤務したフルタイムの職員にのみ適用され、パートタイム職員には支給されません。

パートタイム職員は副業が可能

国家公務員や地方公務員の中には、主たる職務とは別に副業やダブルワークを行いたいと考える人も少なくありません。

しかし、公務員としての仕事に専念するためにも、副業やダブルワークには注意が必要です。

公務員は国家公務員・地方公務員を問わず、原則として副業・ダブルワークが禁止されています。

非常勤職員であっても、フルタイム勤務の場合は副業禁止です。

パートタイム職員も同様に基本的な服務規程を守るようルールが定められていますが、営利企業への従事は制限されておらず、この雇用形態のみ副業が認められています。

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「公務員の雇用形態」まとめ

公務員を目指す人々は一般的に「正規職員」を目指します。

正規職員は安定性や福利厚生などが高く、長期的なキャリアを築く上で魅力的な選択肢といえます。

しかし、公務員の仕事を経験するためには、正規職員以外の雇用形態も考える価値があります。

自治体ごとに非正規職員の募集タイミングや雇用形態は異なるため、興味がある場合は積極的に各自治体のホームページや採用情報をチェックし、自分に合ったチャンスを見逃さないようにしましょう。

公務員試験の通信講座

公務員を目指すのであれば、まずは公務員試験に合格することが必要です。
ここでは自宅で学習できる通信講座を2つご紹介します。

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