看護学とは? 大学で学ぶことや就職先は?





看護学の概要・理念

看護学とは、看護師として医療現場で求められる知識・技能を総合的に学び、実践的な能力を身につけるための学問です。

看護師は医療現場において医師のサポートをするだけでなく、患者と最も近い距離でサポートを行い、病気やケガで弱い立場にある患者の心身を支える役割を担っています。

医療機器の基本的な使用方法をはじめ、病気の種類や病態に関する基本的な知識、緊急時の対処方法、さらには患者の精神面での支えとなることができるよう、接遇の仕方や効果的なサポートの仕方を学びます。

医療現場においては、患者の臨終の場に居合わせ、見取ることも少なくありません。

多様な死生観や倫理面での課題についても理解を深め、患者とその家族一人ひとりにとってできるだけ負担感のない医療の場を提供するのが看護学の大きな役割の1つです。

そのため、看護学では理論や知識を習得することに留まらず、医療現場における実習を通じて患者と直接向き合い、実践を通じて看護師としての土台を築いていくことが求められます。

看護学で学ぶこと

看護学の研究分野は、小児・成人・母性・老人といったように患者の発達段階や年代によって分類されています。

患者の発達段階や年代に適した看護を提供するとともに、患者の心理や社会的背景にも配慮したケアを施すための基礎的な知識を学ぶことも欠かせません。

このほか、看護が必要とされる場面に応じ、精神看護学、災害看護学といった分野にわたる研究が行われていることもあります。

近年では、超高齢化社会へと突入しつつある社会的背景から、在宅看護や公衆衛生看護といった分野の重要性が見直されています。

大学によっては、こうした多様化する看護の実態に合わせ、海外の医療現場の事例から学ぶ国際看護学といった分野に力を入れるケースも見られます。

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看護学の大学での授業科目の例

病態学

幅広い種類の疾患に対する臨床検査を適切に行うための基礎的な知識を学び、医療現場で役立てるための土台を築きます。

医療支援技術

医療現場における患者の健康管理や病態に合ったケアの方法、医療器具の使い方など、医療支援を行う基本的な技術を学びます。

母性看護学

妊産褥婦・新生児とその家族への看護活動を行うために必要な知識を習得し、実習を通じて実践的な能力を養います。

臨床栄養学

疾患や病態の成因や進展、治癒について、栄養学との関わりを追究し、患者のケアに役立てることを目指します。

リハビリテーション論

病気やケガの後遺症を持つ人が社会復帰するために必要な身体的・心理的な訓練を行うための理論や指導方法を習得します。

看護学のレポート・テーマの例

看護学では、基礎科目・専門科目ともに多くのレポートを作成することが求められます。

とくに看護実習においては、日々の患者との接遇を通して感じた課題やその解決方法について、詳細にわたるレポートを作成する必要があります。

多忙な実習の合間を縫ってレポート作成のための記録を取る必要があり、体力的にもハードは日々となるケースが少なくありません。

  • ・抗がん剤の副作用による味覚障害
  • ・食事療法における糖尿病患者の負担感について
  • ・B型肝炎母子感染のキャリア防止策
  • ・見取りに関する看護師の感情体験
  • ・認知症高齢者とのコミュニケーション

看護学と関連する学問

医療現場において患者に対応するための実践的な知識・技能を学ぶ学問であるため、医療に関わるさまざまな分野の学問と深い関わりがあります。

患者が服用したり点滴などで投与する薬を適切に扱うには、薬学の知識が欠かせません。

患者の食事の摂り方について確認するのも看護師の重要な役割ですので、栄養学の知識も必要になります。

リハビリテーションを行う際には、リハビリテーション学の知識を駆使することもあります。

さらに、患者の気持ちに寄り添い、精神的にも支えとなる看護を実現するためにも、心理学の基礎を学ぶことが求められています。

看護学を学んで就職に有利な業界・仕事

看護学を学ぶことで国家資格である看護師試験の受験資格を得られます。

看護学を学んだ人の大半は看護師資格を取得後、病院や診療所、民間企業の健康管理センターなどで看護師として就業します。

看護師として働くには国家試験に合格している必要がありますので、看護師として就職するのであれば、資格を持っていることで有利になるというよりも、最低限取得しておくべき必須の資格という位置づけになります。

大学によっては附属病院が附設されているため、卒業後は附属病院で勤務するケースも少なくありません。

こうした医療施設で看護師として働く以外にも、食品メーカー製薬会社などで看護師資格を活かして仕事をすることも可能です。

看護師資格はライフステージの変化に強く、結婚や育児といった生活環境の変化を経ても再就職しやすいといわれています。

このように、看護師資格を得ることで就職に有利になる道は多々あり、就職に強い資格の1つと捉えることができます。

看護学の知識は人生でどう役立つ?

病院などの医療機関は、世の中のほとんどの人にとって非日常の空間です。

若くして病気やケガによって入院する人もいれば、一定の年齢になるまで病院にかかった経験がほとんどないという人もいますが、健康を取り戻し日常生活を送りたいと皆が思っているはずです。

今後、日本人はますます長寿になり、健康寿命を伸ばすことが社会的な課題になっていくと考えられます。

医療現場においてもAIによる診断や薬の処方が可能になると言われていますが、患者に直接対応する看護師の仕事は今後も必要とされ続けていくはずです。

誰もが安心して医療サービスを受けられる環境を整えていく上で、医療現場を支える看護師の知識はこれからも役立てられていくことでしょう。

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