ゲーミフィケーションとは

スマートフォンの学習アプリを使ったことがある方は、つい夢中になって勉強していたという経験があるかもしれません。

楽しみながら学習できると、もっと勉強したくなるものです。

このように自然な形でやる気を引き出す仕掛けをゲーミフィケーションといいます。

ゲームのように楽しみながら取り組める仕掛けとは、一体どのようなものなのでしょうか?





ゲーミフィケーションとは

「ゲーム」と呼ばれるものには、人を熱中させる仕掛けが組み込まれています。

ゲーミフィケーションとは、そのようなゲームの仕組みや要素、デザイン手法をゲーム以外の領域で応用する取り組みのことです。

またゲームの要素を取り入れることによって、行動を促す手法を指す言葉としても使われています。

もともとゲーム化するという意味で使われていた「Gamify(ゲーミファイ)」から派生した言葉のため、仕組みをゲームのようにすることと捉えられるケースがありますが、あくまでゲームは手段であって目的ではありません。

熱中させる仕組みを取り入れることによって人々を楽しませたり、ファンを作ったりすることが本来の目的です。

日本ではメディアで度々取り上げられるようになった、2010年以降から注目を集めるようになりましたが、実際には以前からビジネス、教育、社会活動などさまざまな分野で活用されています。

ゲーミフィケーションに必要な3つの要素

人が夢中になることには、感情や習慣などが関係しています。

ゲーミフィケーションでは人の心理作用を効果的に利用して、夢中になる仕掛けを作ります。

その仕組みを考えるうえで重要な要素は「課題、報酬、交流」の3つであるといわれています。

それぞれの要素について確認していきましょう。

課題要素

課題要素は、何をクリアするかという目標設定です。

モチベーションを引き上げるためには、課題のレベル(難易度)の設定が重要。

簡単すぎても、難しすぎても意欲を下げることにつながるため、バランスの見極めが必要でしょう。

行動を刺激する方法としては、ランキングよる順位付けや、ライバルとの比較などで現在地を可視化する方法があります。

また課題をクリアすることによって得られる達成感は、愛着の形成やさらなるモチベーションアップにもつながります。

報酬要素

課題をクリアすることによって得られる報酬は、仕掛けとして重要な要素です。

報酬を得ることによる刺激も、動機付けのひとつとして働きます。

成果に対してフィードバックが行われることは、人間の持つ承認欲求を満たすことにつながるからです。

報酬の形式は取り組みの内容によって変わりますが、ここでもバランスが大切。

課題をクリアするための労力に見合った報酬設定ができればベストでしょう。

交流要素

3つ目の交流要素は、ゲーミフィケーションの効果を引き出すために欠かせない要素です。

交流はコミュニケーションを図ることだけを意味するのではありません。

自分や他者の状態(レベル)を確認することや、ときには顕示して優越感に浸ることなども含まれています。

ライバルに負けないよう課題にチャレンジしたり、互いに励まし合いながら取り組んだりすることが、楽しむことをいっそう加速させていきます。

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教育のゲーミフィケーション

教育現場におけるゲーミフィケーションは、楽しみながら学ぶ勉強法として活用されています。

教育分野においても、仕掛けを作る3つの要素は基本的に同じです。

しかし子供のモチベーションの見極めは、指導者の経験やスキルに依存する部分がどうしても多くなってしまいます。

そこで、リチャード・バートルの4分類を用いて、タイプをシンプルに分類してみましょう。

リチャード・バートルは仮想世界のプレイヤーの研究で知られるゲーム研究者で、性格タイプをアチーバー、エクスプローラー、ソーシャライザー、キラーの4タイプに分類しました。

この分類とともに、勉強法への活用方法をみていきましょう。

アチーバー(Achievers)

「アチーバー」は達成意欲が高く、例えば「100点をとりたい」「読解スキルを高めたい」など自分自身の中にモチベーションの源泉を持っています。

他者との競争や交流にはあまり関心を示さないことも特徴。

このタイプには、目標設定を適切に行うことがポイントです。

エクスプローラー(Explorers)

「エクスプローラー」は好奇心旺盛です。

とことん探求することにモチベートされ、興味のある分野では、飛び抜けてよい成績を出すこともあります。

そのため好奇心を課題へと向けるような仕掛けが効果的です。

ソーシャライザー(Socializers)

「ソーシャライザー」のモチベーションのポイントは、他者との交流。相談したり、教え合ったりすることが学習意欲を刺激します。

会話や相談ができる交流の場を活用することがこのタイプにとっては重要なカギとなります。

キラー(Killers)

他者と競争することにモチベーションを感じるのが「キラー」です。

このタイプは相手に勝つことに対して達成感を味わいます。

そのため適切なライバルを設定し、競争できる環境を用意することがポイントです。

ゲーミフィケーションのフレームワーク「GFW」

ゲーミフィケーションの概念は理解できても、いざ導入となると活用の仕方が分からないというケースは少なくないようです。

ゲーミフィケーションの分野で著名な深田浩嗣氏の著書「ソーシャルゲームはなぜハマるのか」の中では、サービスへの導入をサポートするためのゲーミフィケーション・フレームワーク(GFW)が紹介されています。

書籍で紹介されているフレームワークには、

(1)目的と利用者
(2)可視化要素
(3)目標要素
(4)ソーシャルアクション
(5)プレイサイクル
(6)適用後の改善・運用

の6つのステップがあります。

このフレームワークに沿って必要な要素を考えていけば、ゲーミフィケーションをサービスへ適用する方法を明確にすることができます。

ゲーミフィケーションの事例

ゲーミフィケーションを応用した仕組みは、さまざまなところで見つけることができます。

何気なく利用している場合もあるため、気づくとまた違った見方ができて面白いかもしれません。

いくつか事例を確認してみましょう。

くら寿司の「ビッくらポン!!」

大手回転寿司チェーン「くら寿司」は、販売促進にゲーミフィケーションを応用し、「ビッくらポン!!」というガチャガチャを導入しています。

くら寿司ではお皿の回収を各テーブルの回収ポケットで行います。

空き皿は顧客が自分で回収ポケットに入れますが、5枚投入されると自動的にルーレットなどのゲームがスタート。

そして当たりがでると、オリジナルグッズがもらえるというのが「ビッくらポン!!」の一連の流れです。

「ビッくらポン!!」は一見単なるゲームのようですが、そうではありません。

お皿を回収ポケットに入れるという課題をゲームに見立て、ゲームの参加権やオリジナルグッズが報酬として設計されています。

また一緒に食事をしている家族や友人とともに楽しむ交流要素も含まれています。

狙いとして考えられるのは、お皿の回収を顧客に委ねることによる、店舗オペレーションの簡素化。

もう1つは「ゲームをしたい」「オリジナルグッズがほしい」というモチベーションを喚起して、消費を促すことでしょう。

スマートフォンアプリ

スマートフォンのアプリには、アプリの滞在時間や利用頻度を高めるために、ゲーミフィケーションを採用しているものが多くあります。

英語の学習アプリやタスク管理、ヘルスケア関連のアプリにもみられます。

とくにアプリの場合は、デバイスの機能の活用やSNSとの連携もしやすいため、各要素をより効果的に取り入れることができます。

この記事のまとめ

小学生の頃の夏休みに通ったラジオ体操にも、実はゲーミフィケーションが取り入れられていました。

方法論としてゲーミフィケーションが体系化される前も後も、楽しいことに夢中になる人間の心理は変わらないということでしょう。

身近に課題があれば、ゲーミフィケーションフレームワークを活用して取り組んでみてはいかがでしょうか。

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