海外の大学院に留学するには?
一方で、海外の大学院に留学して研究に取り組む方法もあります。
海外の大学院に留学するには、どのような準備をしておけばいいのでしょうか。
また、海外の大学院に留学するとどのようなメリット・デメリットがあるのでしょうか。
海外の大学院に留学するメリット・デメリット
海外の大学院に留学するのは「思い切った決断」「決して低くないハードル」と感じる人が多いのではないでしょうか。
海外の大学院に留学して研究に取り組むと、どのようなメリットを得られるのでしょうか。
また、デメリットとしてはどのような点が考えられるのでしょうか。
海外の大学院に留学するメリットとデメリットについてまとめました。
海外の大学院に留学するメリット
世界の最先端の研究に携わるチャンスを得られる
研究分野にもよりますが、海外の大学院では世界の最先端の研究が行われているケースがよく見られます。
海外で行われてきた研究が一定の成果を挙げ始めると、徐々に日本にも研究に関する情報が入り始め、国内でも同様の研究に取り組む研究者が現れます。
とくに学術論文に関しては、世界の公用語として英語で書かれることから、日本国内で研究を進めるよりも早い段階から最先端の研究に触れられる可能性があります。
「インターネットで論文を探せば、海外の論文も読めるのでは?」と思うかもしれませんが、現地で得られる情報の量と精度にはかなわないものがあります。
将来的なキャリアの選択肢を増やすことができる
将来的に外国で就職する場合や外国に移住する場合に、現地の修士号や博士号を取得していると永住権やビザ申請の際に有利になる場合があります。
また、国によっては学位を取得後に就職活動のための猶予期間が与えられることがあります。
たとえばアメリカでは、理系の学位を取得した人には最長3年の滞在が認められています。
外国で就職することによって、日本国内で就職するよりも高い報酬を得られるチャンスが広がります。
このように、海外の大学院に留学することで将来的なキャリアの選択肢を増やしておくことができます。
充実した経済的支援を受けられる場合がある
日本で大学院に入るとなると、修了するまでに高額の学費が必要となり、学費の工面に苦労する人もいます。
ところが、外国ではとくに博士課程に在籍する学生への経済的支援が充実しており、授業料が免除されたり生活費を補助してもらえたりする場合があります。
日本で同じような待遇を望むとなると、特待生など一握りの学生しか得られない条件であったり、将来的に返済する必要のある奨学金を活用するしか方法がなかったりします。
優秀な研究者に対する待遇の手厚さという点では、外国の大学院のほうが恵まれていることも多いといえます。
海外の大学院に留学するデメリット
大学卒業から空白期間が生じる場合がある
日本の大学や大学院は4月が新学期となっていますが、外国の大学院は9月入学が一般的です。
そのため、海外の大学院へ留学しようと思うと、日本の大学を卒業してから空白期間ができてしまう場合があります。
具体的には、3月に日本の大学を卒業してから、留学先の大学院で新学期が始まる9月まで、およそ半年間のブランクができてしまいます。
「たったの半年」と思うかもしれませんが、半年間は研究を進めることができず、かと言って就活を進めるわけでもなく、何も進展しない期間ができてしまうことになります。
この期間を「海外大学院への留学のためには仕方がない」と割り切れるか、「半年間も何もしないのはあまりにもったいない」と感じるかは、人によって差があるはずです。
入学できても修了できる保証はなく先行きが不透明
日本の大学院も大学とはちがい、入学できても無事に修了できる保証はありません。
この傾向は外国の大学院ではよりいっそう顕著なものとなっています。
多くの国々では、大学からすでに「入りやすく卒業しにくい」仕組みになっているため、その上位に位置する大学院ともなれば、論文が評価されなければ修了できないのはほとんど常識です。
日本の大学から海外の大学院へ留学するのは多くの人にとって思い切った決断になるはずですが、思い切って留学したとしても修了という成果を得られるかどうかは不透明です。
留学したものの、現地の大学院を修了することができず、成果を得られないまま帰国することも絶対にないとはいえません。
不慣れな環境がストレスとなる可能性がある
大学院へ留学する以上、取り組む研究は専門性が高く、内容も高度なものとなります。
大学への短期留学などであれば、「語学の力を伸ばすため」「外国の文化に触れるため」といった目的で留学することもあり得ますが、大学院ともなるとそのレベルには留まりません。
大学院での研究、教授やクラスメートとの人間関係、日常の暮らし方なども含めて、あらゆることが日本とは全く異なる環境へと変わります。
中には、不慣れな環境になかなか馴染めずストレスを抱えてしまう人もいます。
海外の大学院に留学するにあたっては、こうした不慣れな環境を克服するバイタリティや対応力も求められます。
海外の大学院へ留学するために準備しておくべきこと
海外の大学院へ留学するにあたって、日本の大学院とは異なる出願書類を整える必要があります。
中には推薦者による推薦状など、自分だけでは作成できないものも含まれていますので、早い段階で作成を依頼しておかなくてはなりません。
そのため、大学院への留学に必要な準備の全体像を把握し、いつまでに何を準備しておくか決めておくことが大切です。
海外の大学院への出願に必要となる書類
出願する大学院や国にもよりますが、一般的に海外の大学院に出願する場合、次の出願書類が必要になります。
願書 | 留学先の国によっては提出期限が定められている場合がある |
英文成績証明書 | GPA(Grade Point Average)3.0以上が必須の場合が多い |
履歴書 | 社会人の場合は職務経歴書の提出も求められることが多い |
IELTSまたはTOEFL | IELTS:6.5 以上・TOEFL:90以上を要求されるのが一般的 |
GRE・GMAT | アメリカ・カナダなどの大学院で必要 |
エッセイ | 志望理由や入学後に取り組みたい研究などの自己PR |
推薦状 | 所属している研究室やゼミの教授などに作成を依頼する |
アメリカやカナダの大学院の場合、上記全ての出願書類提出が必須となっている場合がほとんどです。
一方、イギリスやアイルランドの場合、IELTS・TOEFLのスコアは必須ではなく、条件付き合格として扱われることもあります。
オーストラリアやニュージーランドの大学院の場合、履歴書やエッセイ、推薦状は原則不要とされるケースがよく見られます。
IELTS・TOEFLを早めに受検してスコアを上げておく
海外の大学院で研究に携わる以上、英語力は必須と考えましょう。
必要とされる英語力の水準に達しているかどうかは、IELTSやTOEFLのスコアによって判断されるケースが多くなっています。
ただし、語学プログラムへの参加など条件付き合格が認められている大学院であれば、必ずしもIELTSやTOEFLのスコアを提出しなくてもよい場合があります。
いずれにしても英語力が十分に身についていない状態で留学してしまうと、留学先で苦労するのは自分自身です。
海外の大学院へ留学するのであれば、早い段階からIELTSやTOEFLを受検してスコアを上げておきましょう。
最終的に出願時点で必要な英語力が身についていれば問題ありませんので、早めに準備を進めておくことが大切です。
申請可能な給付金や奨学金について調べておく
海外の大学院への留学には多額の費用がかかります。
留学に際して申請可能な給付金や奨学金プログラムがあれば、積極的に活用しましょう。
申請可能な給付金・奨学金は、国や自治体、大学が設けている制度以外にも、民間企業がグローバル人材育成のために設けているプログラムがあります。
こうした制度を活用することによって、留学時・留学中に必要な学費や生活費の負担を大幅に軽減できる場合もありますので、事前によく調べておくことをおすすめします。
自分で調べておくのはもちろんのこと、大学の事務局に相談すれば申請可能な給付金・奨学金について教えてくれる場合があります。
後になって「申請しておけばよかった」と後悔しても間に合わないことがありますので、留学を決めた時点でリサーチを進めておくようにしましょう。
20代で正社員への就職・転職
海外の大学院へ留学する場合の注意点
最後に、海外の大学院へ留学する場合に注意しておくべき点について解説します。
国内の大学院へ進学する場合以上に、海外の大学院へ留学する際の手続きは準備しておくべきことが多くなります。
抜け・漏れなく準備を進めるためにも、次に挙げる注意点に関しては必ず確認しておきましょう。
出願に向けて早い段階から準備を進める
海外の大学院は入学時期が9月頃となるケースがほとんどですが、出願に向けた準備は入学の1年以上前から進めておく必要があります。
履歴書やエッセイ、推薦状の準備は、入学のおよそ1年前には開始しておかなくては間に合わなくなる可能性があります。
そのためには、前もって出願する大学院のリサーチや出願先の決定を済ませておかなくてはなりません。
目安として、入学前年の1月頃には出願先の選定を始め、並行して英語力の水準をクリアするための対策を開始しましょう。
入学年の4月〜5月頃には合格通知が届くのが一般的ですが、それから入学手続きやビザ申請といった出発準備に取り掛かるため、留学直前の時期は非常に慌ただしくなります。
合格後に必要な諸手続についても前もって確認しておき、抜け・漏れのないようチェックリストにしておくなど準備を進めておくことが大切です。
推薦者との関係づくりは「できることを全てやる」
出願時に提出する推薦状は、推薦者に記載してもらう必要があります。
当然のことですが、ほとんど面識のない学生から突然「推薦状を書いていただけますか」と依頼されても、依頼された相手は戸惑ってしまうでしょう。
推薦状を書いてもらいたい相手とは、日頃から意識的にコミュニケーションを図り、関係性を構築しておく必要があります。
可能であれば、早い段階から将来的に海外の大学院へ留学したいと考えていることを伝えておくことをおすすめします。
日頃から信頼関係が構築されていれば、推薦状を書いてもらうこと自体はそれほど難しくないはずです。
早い段階から海外の大学院への留学という目標を明確にし、推薦者との関係づくりは「できることを全てやっておく」といった徹底した姿勢でのぞむようにしましょう。
この記事のまとめ
海外の大学院に留学することによって、研究者として、また人間として得られる知見や経験は多々あります。
ただし、得られるメリットが多い分、デメリットとなる面もあることを理解しておきましょう。
海外の大学院へ留学する人の多くが、早い時期から計画的に準備を進めています。
「海外の大学院で研究に携わりたい」と決意したら、早めに準備に取りかかっておくことが大切です。
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