大学院の博士課程とは? 何年で卒業できる?

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大学院への進学を考えるとき検討しておくべきこととして、修士課程修了を目指すか、博士課程修了を目指すか、という点があります。

博士課程は修士課程とどのように違うのでしょうか。

また、博士課程に進んだ場合、何年間かけて修了することになるのでしょうか。

大学院の博士課程についてまとめましたので、大学院進学を検討している人はぜひ参考にしてください。

大学院の博士課程とは?修士課程との違い

「大学院」としてひと括りにされることの多い修士課程と博士課程ですが、大学院における位置づけや研究内容には違いがあります。

大学院の博士課程とはどのような研究を行う場所なのでしょうか。

また、修士課程とは具体的にどのような点が異なるのでしょうか。

まずは博士課程について基本的な知識を確認しておきましょう。

大学院における博士課程の位置づけ

大学院における博士課程は、修士課程のさらに上位に位置する研究機関です。

大学院によっては修士課程を「前期博士課程」、博士課程を「後期博士課程」と呼んでいる場合もあります。

博士課程に進むには、修士課程を修了した後に改めて博士課程の院試を受験し、合格する必要があります。

修士課程を修了していることが条件となることから、研究者として一定の成果を挙げているか、または成果を挙げられる見込みが十分にあると判断された人が博士課程に進むことができます。

学位に関しては、修士課程を修了すると修士号が授与されるのに対して、博士課程を修了すると博士号が授与されます。

博士課程の前後期制を取っている大学院においても、前期博士課程を修了すると修士号が授与される点は同じです。

博士課程と修士課程の違い

修士課程は学部よりもさらに専門性の高い研究に取り組みたい人が進学しますので、講義の割合は学部よりも少なく、学部で言うところのゼミや研究室での研究がメインとなります。

これに対して博士課程では講義はほぼ全くなく、自分の研究テーマに沿って研究を進めることが中心となります。

博士課程も修士課程と同様、論文審査が審査を通過しない限り修了することができません。

ただし、博士課程では修士課程以上に研究の成果が求められます。

つまり、博士課程で研究に取り組む以上、研究で結果を残さなくてはなりません。

1人の研究者としてよりシビアな目で見られるのが博士課程であり、修士課程との大きなちがいの1つとなっています。

博士号を取得する人は年々減少している?

ところで、修士課程から博士課程へ進み博士号を取得する人が年々減少していると耳にしたことのある人は多いのではないでしょうか。

国私立11の大学からなる学術研究懇談会(RU11)の調査によれば、修士課程から博士課程への進学率は平成13年に23.2%だったのに対し、平成23年には16.5%と減少しています。

《修士課程修了者の博士課程進学状況》

進学率 進学者数
平成13年 23.30% 4,109人
平成23年 16.50% 3,541人

参考:博士人材の社会の多様な場での活躍促進に向けて - 文部科学省

上の表からも分かる通り、修士課程からさらに博士課程へと進む人は減少傾向にあるといえます。

ただし、平成23年時点でも3,541人が博士課程に進学しており、専門性の高い研究に取り組みたいという熱意と目的意識を持って博士課程の門を叩く人は一定数いると見ることもできます。

博士課程は何年で卒業できる?

博士課程への進学を検討する人の多くが気にすることとして、博士課程は何年で修了できるのか?という点が挙げられます。

博士課程に進むとすれば、学部を卒業して就職する同期生よりも社会に出る時期が遅れることになります。

将来的な人生設計にも大きく関わりますので、博士課程修了までの年数は知っておきたいところでしょう。

博士課程は何年で卒業(修了)できるのでしょうか。

修士課程と合わせて最短5年、最長10年で修了

一般的に修士課程の在籍期間は最短で2年間、最長で4年間です。

一方、博士課程の在籍期間は最短で3年間、最長で6年間です。

修士課程を修了していなければ博士課程へ進むことができませんので、博士課程修了までは最短で5年間、最長で10年間かかることになります。

学部での4年間と合わせて考えると、最短でも合計9年間は研究のために期間を投じることになります。

現役で大学に合格した人が博士課程までを最短で修了できたとして、修了の時点で27歳になっているわけです。

次項で詳述しますが、実際には修士課程や博士課程を最短期間で修了できないことも多いため、30歳前後で大学院に在籍し続けているケースも決してめずらしくありません。

修了の条件は単位取得ではなく博士論文の審査通過

大学の学部では、卒業に必要な単位数を取得していれば、卒業できないことはほとんどありません。

学部の卒業論文は論文としての基本的な形式が守られていることが重視されますので、論文の出来栄えそのものを理由として卒業を認められないのはまれです。

一方、大学院では取得単位数よりも論文審査に合格できるかどうかが修了の条件として重視されます。

博士課程であれば講義形式の授業はほとんどありませんので、博士論文で有意な研究成果が見られると判断されない限り、修了することは難しくなります。

そのため、博士論文が審査に通らず博士課程に在籍して研究を続けることも十分考えられます。

中には博士論文が認められないまま、博士課程を修了することを断念して中退する人もいます。

博士課程を中退するとどうなる?

仮に博士課程を修了せず中退した場合、その後の進路などにどのような影響があるのでしょうか。

結論から言うと、博士課程を中退したとしても大きなデメリットはありません。

博士課程に進む人はすでに修士号の学位を取得していますので、博士課程を中退した時点での学位は「修士」です。

つまり、最終学歴は「修士課程修了」となります。

博士課程を中退することによって、指導教授や研究室の推薦による就職はできなくなりますが、自力で就職活動をする上で中退という事実そのものはあまりネックになりません。

むしろ、大学院在籍中に年齢を重ねている分、大卒と同じ就職活動をするわけにいきませんので、独自の戦略が必要になることのほうが影響が大きいでしょう。

年齢の面でやや不利になることがあるとはいえ、修士号を取得しているわけですから、研究職など専門性の高い職業に就くことも可能です。

博士号取得を志す場合に注意しておきたい点

博士課程への進学を目指すにあたって、必ず修了できるわけではないなどデメリットといえる面があることについて見てきました。

では、博士号取得を目指して進学を検討する際、どういったことに注意しておけばいいのでしょうか。

博士号取得を志す場合の注意点をまとめました。

博士号が必ずしも就職に有利に働くわけではない

博士号取得を目指す人の中には、学士よりも修士、修士よりも博士といったように、上位の学位を取得することで就職が有利になるのでは?と考える人がいます。

しかし、これは必ずしも得策とはいえません。

なぜなら、一般企業において博士号ほどの高度な専門性を強く求めているのはレアケースだからです。

むしろ博士号取得者は年齢が高くなっている分、企業側で「新入社員」として受け入れることを敬遠する場合もあります。

もちろん一部の研究職などでは博士号取得者の高度な専門性を歓迎する企業もありますが、一般的には博士号が必ずしも就職を有利に進める材料にはならないと考えておいたほうがいいでしょう。

奨学金制度の活用など学費の工面について計画を立てておく

博士課程修了までは学部卒業から最短でも5年間と、長い期間が必要になります。

この間、大学院に学費を納め続けなくてはなりませんので、一般的な大卒者と比べて倍以上の学費が必要になることもあります。

学費をどのように捻出するのか、進学する時点できちんと計画を立てておくことが大切です。

必要に応じて奨学金制度を活用するなど、学費を工面する手段について具体的に考えておきましょう。

ただし、奨学金を借りられるからといって万事解決ではありません。

なぜなら、貸与型奨学金は将来社会に出て収入を得るようになってから返済する必要がある「借金」だからです。

奨学金利用にあたっては、どういった職業に就くのかといった将来のキャリアプランも含めて、十分に検討を重ねておく必要があるでしょう。

専門性の高い研究に集中的に取り組みたい人にとって、博士課程はこれ以上ないほど恵まれた環境です。

ただし、進学するにあたって将来のキャリアプランや人生設計など、考えておくべき事柄も多いのが実情です。

研究そのものだけでなく、将来就きたい職業や進むべき進路も含めて、総合的に検討した上で進学するかどうかを決めるようにしましょう。