大学の推薦入試とは? 選定の基準は?

大学の推薦入試を検討しているのであれば、まずは推薦入試の仕組みをしっかりと理解しておくことが大切です。

推薦入試は入試の仕組みや合否判定の方法が変わることも少なくないため、常に最新の情報をキャッチしていくことが必須となります。

推薦入試の種類や選考方法、スケジュールについて、ポイントや注意点とともに確認していきましょう。





推薦入試の指定校推薦と公募推薦のちがいとは?

大学の推薦入試の仕組みを理解する上でまず押さえておきたいのが「指定校推薦」と「公募推薦」の違いです。

多くの大学がどちらの推薦枠も用意しているため、自分はどちらで出願することになるのかを知っておく必要があります。

自分が通う高校が志望する大学の指定校推薦枠を持っているのかどうか、まずは確認することから始めましょう。

指定校推薦は大学が特定の高校を指定して実施する推薦入試

指定校推薦とは、大学が指定した高校の生徒だけが出願できる推薦枠のことです。

高校が指定されていることから、出願資格は必然的に現役生のみとなり、専願(第一志望の1校だけを受験すること)が前提となります。

他の大学との併願ができない点に注意が必要です。

在校中の成績や生活態度、課外活動の実績などを総合的に評価した上で推薦する生徒を決定します。

推薦枠は高校1校あたり1人〜数名と少数となることから、推薦枠を超える希望者がいれば校内選考が行われることもあります。

高校から「お墨付き」をもらって推薦されるわけですから、公募推薦と比べると合格率は高くなります。

よほどの問題が起こらない限り、指定校推薦をもらえるということは、推薦された大学へ入学できることを意味しています。

公募推薦は出願資格を満たしていれば誰でも受験可能

公募推薦とは、出願条件を満たしており、かつ高校の校長が推薦する生徒であれば出願できる制度のことです。

指定校推薦とは異なり、大学から高校を指定して推薦枠を設けることはないため、全国どの高校からでも出願可能です。

一般的には現役生の出願が多い傾向がありますが、浪人生の出願を認めている大学もあります。

公募という名称ですが、成績基準が設けられ、高校在学中の定期試験の結果などを元に推薦の可否が判断されることがほとんどです。

大学によっては公募推薦特別枠を設けており、スポーツや文化活動で優れた実績のある生徒が対象となります。

なお、自己推薦やAO入試の場合、高校の校長による推薦は不要です。

公募推薦の場合は、あくまでも「高校を通じて」推薦してもらうことがポイントとなります。

公募推薦入試で基準となる「評定平均値」とは

公募推薦入試の出願条件として、高校での成績を総合的に示す「評定平均値」が用いられるのが一般的です。

評定平均値の「評定」とは、通知表の5段階評価のことを指しています。

評定平均値は次の式で求められます。

評定平均値=(高1+高2+高3の1学期の全科目の評定合計)÷全科目数

ここでポイントとなるのは、実技科目も含めた「全科目」で計算されることと、高1から高3の1学期までを通して全ての成績が反映されることです。

たとえば、英語や数学、現代文といった科目が得意で良い評定が付いていたとしても、音楽や体育で評定が良くなければ評定平均値は下がってしまいます。

また、高1の1学期から高3の1学期までの評定の平均値のため、「高2からは頑張ったけれども、高1のときはテストの点数が悪かった」といった生徒は不利になります。

国公立大学ではセンター試験が課される場合もある

推薦入試と聞くと、筆記試験は行われず書類や面接で合否が決まるイメージを持っている人もいるかもしれませんが、国公立大学の推薦入試ではセンター試験の受験が必須となっているケースもあります。

センター試験の受験が必要な場合、一般入試と同様に5教科7科目が課されるパターンがよく見られます。

推薦を狙うのであれば受験対策は必要ない、というわけではありませんので注意しましょう。

もちろん、国公立大学の中にも推薦入試でセンター試験を利用しない大学もありますし、大学によって必要な科目数が異なります。

志望する大学でセンター試験の受験が必要かどうか、必要であればどの科目を受験するのか、といったことを前もってよく調べておくことが大切です。

推薦入試の選考方法とスケジュール

推薦入試を受ける上でとくに注意しておきたいのが、選考方法とスケジュールです。

選考方法は大学によってまちまちですので、志望する大学についてよく確認しておく必要があります。

また、選考スケジュールも一般入試より早い時期から準備が必要になりますので、いつの時期に何をやっておかなくてはならないのかを知り、計画的に準備することが大切です。

推薦入試の選考方法は主に書類審査・小論文・面接

まず、推薦入試では必ず書類選考が行われます。

学習記録などを一覧で見ることができる調査書や、高校から送られる推薦書、志望理由書などを提出し、その内容が合否を決定する際の参考にされます。

推薦入試の選考方法として最も多いのは面接です。多くの大学が面接選考を行いますので、面接の対策を練って模擬練習を行っておくようにしましょう。

小論文が課される場合、テーマは大学によってさまざまです。

課題が与えられることもあれば、文章を読みその内容について書いたり、時事問題について論じたりすることもあります。

このほか、芸術系や教育系の大学では、音楽やスポーツの実技試験が行われることもあります。

大学によっては、事前課題という形であらかじめ課題を提出することを求められるケースもあります。

推薦入試の出願・選考・合格発表のスケジュール

推薦入試のスケジュールを知る上で重要なこととして、「一般入試前には合否が発表され、入学手続きまで終えている」という点を押さえておきましょう。

推薦入試で不合格となった場合は一般入試を受験することになりますので、必然的にこのようなスケジュールになるわけです。

公募入試の場合、8月頃から願書が配布され、10月頃から出願受付が始まります。

選考は10月〜11月に行われ、12月上旬には合格発表、入学手続きというスケジュールになります。

指定校推薦の場合、まず校内選考が7月〜9月に行われます。

9月頃から出願受付が始まり、10月〜11月頃にかけて選考が実施されます。

11月下旬には合格発表と入学手続きとなる大学が多く、公募入試よりも早めの日程となっているのが特徴です。

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推薦入試の選考ポイントと注意点

推薦入試を受けることを検討している人は、一般入試とは異なるポイントや注意点を把握しておきましょう。

一般入試の場合、文系・理系を選択したり志望校を決めたりする時期になって受験を意識し始める人が大半ですが、推薦入試の場合は高校入学時から大学入試を意識して学校生活を送る必要があります。

また、倍率やレベルの面でも一般入試とは違った特徴があることを理解しておきましょう。

推薦入試では高校1年からの積み重ねが重視される

推薦入試において重視される調査書や評定平均値といった仕組みは、いわば「受験前だけ頑張るのではなく、日頃から努力を積み上げてきた生徒」に入学してもらうためのシステムと言っていいでしょう。

推薦入試で合格を目指すのであれば、高校1年から定期テストで着実に点数を取り、生徒会活動やボランティア、部活動といった各種の活動にも積極的に参加することが重要になります。

志望校を早い段階で決めておき、推薦入試の仕組みや必要な対策について高校1年の段階から意識しておく必要があります。

高校入学直後は、高校入試を終えたばかりで気が緩んでいる人も多い時期です。

大学受験を意識して準備を進めている人が周囲にいない場合でも、自分の目標をしっかりと持って着実に努力を積み重ねていきましょう。

推薦入試は倍率が低くても受験者層のレベルが高いことがある

推薦入試は、一般入試と比べると倍率が低く、一見すると「受かりやすいのでは?」といった印象を持ちやすい面があります。

しかし、実際には受験者層のレベルは一般入試を受ける層よりもやや高いことがありますので、倍率だけを見て安心するのは禁物です。

推薦入試を受ける生徒の中には、実力で受験すれば同等かそれ以上のレベルの大学に合格できる実力を持っている人も少なくありません。

現役合格を目指す人が増えている中、公募推薦で不合格だった場合に同じ大学の一般入試を受験するか、またはランクを下げて受験する人が多い傾向があります。

つまり、推薦入試の時点から実力に対して「安全圏」と思われる大学を狙っているケースがあるのです。

この記事のまとめ

入試一発勝負の一般入試と比べると、推薦入試はコツコツと長い期間をかけて準備を重ね、着実に合格を目指せるメリットがあります。

一方で、指定校推薦は狭き門ですし、公募推薦は合格基準が分かりにくく不合格となるケースも少なくありません。

推薦入試での合格だけを目指すのではなく、一般入試の受験も見据えた対策を講じておくようにしましょう。

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