大学のスポーツ推薦の合格基準は? 学力は問題になる?
高校在学中にスポーツで実績を残した生徒が、推薦状をもらって進学するというものです。
進学する主な目的は、進学先の大学で部活に入り、試合や競技で実績を残すことにあります。
では、スポーツ推薦で大学に入る場合、学力は問題になるのでしょうか。
また、入学後はスポーツ以外の勉学は進級や卒業、就職にどの程度関わってくるのでしょうか。
大学のスポーツ推薦の合格基準と合格率は?
大学のスポーツ推薦は、どのような基準で合否が決定するのか、合格率はどのぐらいなのか気になっている人も多いはずです。
スポーツ推薦は他の入試方式とは異なり、一部の限られた選手にしか関わらないことから、合格基準や合格率についての実態が見えにくいところがあります。
そこで、スポーツ推薦で合格するにはどのぐらいの実力があればいいのか、合否の判断はどのようになされているのか、詳しく見ていきましょう。
スポーツ推薦の合格基準は「インターハイレベルの実力」
スポーツ推薦に出願するには、高校からの推薦書が必須となります。
生徒自身がどの大学に進学したいかを決めるというよりは、部活の顧問から勧められたことがきっかけで進学先を検討し始めることになります。
「○○大学にスポーツ推薦で出願してみないか?」と声がかかる生徒は、端的に言えば全国レベルの実力を持つ選手に限られます。
より具体的に言えば、インターハイに出場し、実績を残しているレベルの選手です。
地区大会での実績では、スポーツ推薦のレベルに達していないと考えていいでしょう。
そのため、スポーツ推薦を勧められる生徒は「全国で何位」といった優れた実績があり、すでに地元ではすでに名の知れた選手であるケースがほとんどです。
スポーツ推薦の合格率は高い?
スポーツ推薦は基本的に単願となります。
つまり、1校のみ推薦状を送り、その大学に合格した場合は必ず入学する前提で出願することになります。
スポーツ推薦で出願した場合、合格率がは9割以上と言われています。
これは「出願した時点で、合格がほぼ確定している」という状況を意味しています。
一般入試の場合、たとえ学力の高い受験生であっても試験当日に実力を発揮できなければ不合格となります。
推薦入試に関しても、指定校推薦でない推薦枠に出願した場合は不合格になることも十分にあり得ます。
こうした他の入試方式と比べると、およそ9割が合格というスポーツ推薦の合格率は極めて高く、さまざまな入試方式の中でも異例であることが分かります。
スポーツ推薦には「事前調整」が存在する
スポーツ推薦の合格率が高い理由として、出願前に「誰がどの高校からどの大学に推薦されるのか」が決まっていることが挙げられます。
俗に「事前調整」と呼ばれているものです。
全国屈指の実力を持つ選手であれば、すでに大学側がその存在を把握しており、「うちの大学に来て実績を残してもらいたい」と考えています。
そのため、前もって各大学の指導者同士が調整し合い、どの選手をどの大学が獲得するのかを決めているのです。
高校側から「あなたをこの大学に推薦したい」と選手へ通達された時点で、実質的にはその大学に用意されている「枠」を得ていることになるのです。
こうした事前調整が行われた上で入試での選考が行われるため、「ほぼ合格が決まっている」という状況で出願でき、合格率が極めて高くなるという現象が起こるのです。
スポーツ推薦で学力は必要か
大学のスポーツ推薦は、大会で残した実績を知った大学側が、すでに枠を用意して待っているものであることは前述の通りです。
スポーツ推薦では学力を見るための筆記試験も実施されます。
では、なぜ筆記試験があるにも関わらず、大半の志願者が合格できるのでしょうか。
スポーツ推薦で進学する場合、学力はどの程度必要とされるのかを解説します。
入学時の基準として「学力」は最重要事項ではない?
スポーツ推薦の場合、推薦書には高校時代の試験結果や素行などが記載されています。
入試では筆記による学力試験も実施されますので、進学を希望する大学で求められる学力に遠く及ばないような場合は、不合格になることも全くないとは言い切れません。
ただし、推薦枠に該当する時点で、内申書の内容からその大学の合格ボーダーに達していると判断されていますので、よほどのことがない限りは学力を理由に不合格になることはありません。
高校の定期考査で赤点を取ってばかりいるような生徒は、そもそも高校側が推薦したがらないからです。
学力試験があるとはいえ、入学時に合否を判断する基準として「学力」は最重要事項ではなく、試験結果についても一般入試と比べると緩やかに判断されていると考えていいでしょう。
一定以上の学力がないと卒業時に苦労することがある
仮に、スポーツ推薦だから合格できた生徒がいたとします。
一般入試を実力で受けた場合、合格できる見込みがほぼ全くないという意味です。
このような場合、大学入学後に授業についていけなかったり、単位を取れずに留年してしまったりと、入学後に学力面で苦労することになります。
留年してしまうと、学業に力を入れられるようにと部活での練習が制限されることもあります。
また、卒業に必要な単位数に達していなければ卒業することはできませんので、卒業するにあたって本人が大変な思いをすることになります。
スポーツ推薦といえど、大学入学後には授業に出て単位を取る必要がありますので、一定以上の学力がなければ入学してからが大変ということは知っておきましょう。
学力があれば就職でより有利になりやすい
大学入学後もスポーツで実績を残し続けられれば、プロのアスリートを目指せることもあります。
ただし、スポーツ推薦で大学に入った人のうち、全員がアスリートを卒業後も続けられるわけではありません。
他の学生と同様、就職活動をして就職するケースも少なくないのです。
その際、スポーツに力を入れてきたことはアピールできる材料になりますが、さらに学力も伴っていれば、就職に有利になりやすいでしょう。
社会人になれば、たとえ企業に所属してアスリートを続けるとしても、会社での業務に他の社員と同じように携わる必要があります。
一定の学力があり、仕事においても活躍できそうだと判断してもらうことができれば、就職に際しても企業から評価される可能性が高いのです。
20代で正社員への就職・転職
スポーツ推薦を目指す場合に注意しておくべきこと
スポーツ推薦は他の入試方式とは異なる点が多く、特有の合否基準や推薦状を受け取るための条件があることについて見てきました。
では、スポーツ推薦を目指すとしたら、どのようなことに注意しておけばいいのでしょうか。
スポーツ推薦で大学に進学する際、とくに気をつけておくべき2つのポイントについて確認しておきましょう。
就職など卒業後の進路についてもよく考えておく
スポーツ推薦で大学に入り、大学在学中も結果を残し続け、プロのアスリートになる人もいます。
ただし、こうしたケースは一握りと考えておいたほうがいいでしょう。
実力のある選手であっても、ケガや故障によってアスリートとしての道を断たれてしまう場合もあります。
アスリートを続けたいという希望がある場合でも、普通に就職することを想定して進路をよく考えておくことが大切です。
スポーツで培った粘り強さやメンタルの強さ、チームワークへの貢献といった要素は、就職してからも役立つことが多いものです。
こうした自分の強みを客観的に見て、アスリート以外の道を選ぶとしたらどのような進路があり得るのか、よく考えておくようにしましょう。
試合に出るために単位を取る必要がある場合も
スポーツ推薦で大学に入った場合、大学生活に占める割合としては練習やトレーニングが圧倒的に多くなります。
ただし、勉学に励む必要がないわけではありません。
卒業に必要な単位を取得しなくてはなりませんので、他の学生と同様に授業へ出席する必要があります。
単位を落としてしまったり、進級が危ぶまれるような状況になったりすると、単位を取得するために勉強に集中するよう促され、試合への出場にストップがかかることもあるのです。
「スポーツ推薦=入学後は練習だけに集中できる」とは考えないほうが無難です。
スポーツ推薦の場合、推薦枠が確保されている学部や学科を自分で自由に選べないことも多いのが実情ですが、興味がないことが明らかな学部・学科への推薦であれば、入学後のことを考えて慎重に判断するべきです。
この記事のまとめ
スポーツ推薦で大学に進学する場合であっても、一定以上の学力は必要になります。
大学に入学する時点で、推薦枠に入るために必要であるだけでなく、入学後に授業についていく意味でも、学力が及ばないと自分自身が苦労することになります。
スポーツ推薦だからといって、大学入学後に練習だけしていればいいというわけではないことを、しっかりと理解しておく必要があります。
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