ベネフィットとは

商品やサービスを利用することによって、消費者や顧客が得る価値のことを「ベネフィット」といいます。

「ベネフィット」という単語を初めて聞く方や、聞いたことはあっても意味は知らないという方は少なくありません。

一方で、似た意味をもつ「メリット」は耳にする機会が多く、意味を知っている方も多いのではないでしょうか。

ベネフィットの意味を理解し、メリットとの違いやマーケティングにおけるベネフィットの重要性について確認していきましょう。





ベネフィットとは

ベネフィット(benefit)は「利益」や「恩恵」の意味をもつ単語で、マーケティング用語では消費者や顧客が得る価値のことを指します。

価値とは企業から提供される商品を使用したり、サービスを利用したりすることによって顧客が得られる利便性や満足感などのことです。

企業が着目すべき商品・サービスの価値

ベネフィットを考えるときには、マーケティングの格言として知られているある言葉がよく用いられます。

それはアメリカの経済学者・セオドア・レビット氏が著書の中で引用した、レオ・マックギブナ氏の名言。

「4分の1インチのドリルビット(刃)を買いに来た人が欲しいのは、ドリルビットではなく、4分の1インチの穴である」という言葉です。

It is characterized by Leo McGinneva's famous clarification about why people buy quarter-inch drill bits: "They don't want quarter-inch bits. They want quarter-inch holes."

(出典:Marketing Imagination)

この一文は、顧客にとって商品の魅力や強み自体は価値ではなく、求めているモノ(コト)を可能にできることこそ価値であるということを表しています。

つまりベネフィットは、商品やサービスに対して顧客が本来求めているモノ・コトと言い換えることができるでしょう。

商品やサービスを提供する立場にいると、つい商品の強みを強調したくなりますが、それはベネフィットとはいえず、顧客の求めるモノではないかもしれないのです。

ベネフィットの種類

ベネフィットは顧客が感じる価値の質によって、いくつかの種類に分類されています。

ここでは基本となる2つのベネフィットについてみていきましょう。

ファンクショナル・ベネフィット

ファンクショナル・ベネフィットとは、商品やサービスがもつ機能面にかかわるベネフィットのこと。

主に機能性、利便性、効率性などが挙げられ、具体的には、速さや使いやすさ、性能の高さなどです。

例えば、大きな文字が表示され、少ないボタンで利用できる高齢者向けのスマートフォンは、使いやすさが顧客に提供している価値といえます。

他にも、自動で素早くピントを合わせられる一眼レフカメラは、性能の高さが価値になります。

また美白化粧品であれば、シミ・そばかすなどの原因となるメラニンの生成を押さえる機能が価値でしょう。

このように機能面でのベネフィットを「ファンクショナル・ベネフィット」と呼びます。

エモーショナル・ベネフィット

エモーショナル・ベネフィットは感情面に働きかける価値のことで、満足感や優越感、幸福感などが挙げられます。

例えば、多くの人が憧れるブランドのバッグを購入する場合には、顧客はバックの機能性よりも「バッグをもつ」という行為に優越感や満足感を得ているといえるでしょう。

他には、期間限定、数量限定なども「今しか買えない」「誰でも買えるわけではない」という特別感が価値となっています。

このように、顧客の感情に働きかける情緒的な価値のことを「エモーショナル・ベネフィット」と呼んでいます。

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ベネフィットとメリットの違い

ベネフィットについて理解していく中で、メリットとの違いについて疑問が浮かんだ方がいるかもしれません。

ベネフィットとメリットは同じように扱われる場合があるため、線引きが少し曖昧です。

実際のビジネスシーンでは、「メリット」の単語を使う機会が多い傾向にあり、上述した機能的ベネフィットとほぼ同じ意味で使われると考えてよいでしょう。

しかし、エモーショナル・ベネフィットとはまったく別物です。

例えば、耐震性に優れた住宅を例に挙げてみましょう。

ファンクショナル・ベネフィット(メリット)
最新技術で震度5の揺れも吸収・低減するゴムを使用している

エモーショナル・ベネフィット
万一の地震でも、家族を守れる安心感がある

この住宅のメリットは、高性能の耐震製品を使用している点です。

メリットとベネフィットを同じものと考えてしまった場合、メリットを伝えるために揺れを吸収・低減するゴムがいかに優れているかを強調することになるでしょう。

しかし顧客が求めているのは性能の高いゴムではなく、地震がおきても安心できる家。

つまり家族を守れるのでれば、必ずしもそのゴムを使用する必要はないということです。

家族を守る責任を果たせること、さらにいえば家が壊れないことによって得られる未来を語るほうが感情に訴えることができるはずです。

特に成熟した市場では、同じような商品が溢れ機能面での競争は難しくなります。

品質や機能が同一化した場合には価格競争になりやすいため、それを回避するためにもいかにエモーショナル・ベネフィットを訴求し、提供できるかがマーケティングを行ううえで重要なポイントとなってくるのです。

ベネフィットの具体例

ベネフィットの理解を深めるために、さらに具体例を用いて詳しく解説します。

ここではダイエット食品のベネフィットについて考えていきましょう。

ダイエット商品のメリットとベネフィット

ダイエット商品にもさまざまなものがあります。

食品やサプリメント、トレーニンググッズなど、形や利用方法は違いますが「やせる」ことをゴールとした商品という点では同じです。

ダイエット商品の広告で使われるフレーズは、商品のメリットをわかりやすく伝える表現が多く利用されています。

ダイエット商品のメリット

・1食分をダイエット食品に変えるだけでスリムになる
・たった5分の運動で驚くほどやせる
・食べるだけで10kg減量

ダイエットの方法がいかに簡単で健康的か。どのくらいの期間に何キロやせるのかといった機能面の訴求が行われているケースが多くみられます。

これらは「絶対に明日からダイエットをする」と決めている顧客には、十分なベネフィットといえるかもしれません。

ただし、同じ機能をもつ商品があれば、価格競争となり理想の価格で販売できない可能性があるでしょう。

また、やせたいと考えてはいても、まだダイエットをする気になっていない方に対しては、ベネフィットと呼べない可能性もあります。

そこで、消費者のやせたい理由に着目。

さらに深堀りをしていくと、商品がもつ本当の価値に気づくことができます。

ダイエット商品のベネフィット

・ノースリーブのワンピースを着て、デートができるようになる
・サイズに悩まされずに、好きな洋服を買えるようになる
・昔着ていたお気に入りのジーンズをまた履けるようになる
・人目を気にせずに出かけられる

これらは、商品の機能を活用することによって、顧客が得られる体験です。

商品のもつ機能そのものも当然価値ではありますが、機能を利用することによってできる体験こそが顧客が求める本来の価値=ベネフィットなのです。

ベネフィットの注意点

ここで挙げたベネフィットは、すべての顧客に該当するものではありません。

どのような商品・サービスにも必ず、ターゲットが存在する点には注意しておきましょう。

ターゲットに適したベネフィットを提供してこそ、顧客への価値となるはずです。

この記事のまとめ

顧客のニーズを正しく理解してベネフィットを提供することは、マーケティングにおいてとても重要です。

特に商品やサービスがもつ強みと、顧客が求める価値の混同には注意が必要。

どんなによい商品・サービスでも、魅力の伝え方を間違ってしまう可能性があるからです。

すでにある商品・サービスでも、ベネフィットに目を向けて役割を見直してみると、もっとも適したターゲットと提供できる価値を再発見できるかもしれません。

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