アライアンスとは
ひと昔前までは特定の業界で使われる用語でしたが、今では一般のビジネスシーンでもよく聞かれようになりました。
「アライアンス」は仕事で関わったり用語を使ったりすることがなくても、飛行機に乗る機会が多い人であれは、馴染みのある言葉かもしれません。
アライアンスの意味を理解し、企業がアライアンスを行うメリット・デメリットについてみていきましょう。
アライアンスとは
アライアンス(alliance)は、日本語では「同盟、連盟、連合」などと訳される言葉です。
経営用語で使われるアライアンスは、企業同士が提携することを意味し、提携関係にあるグループを指してアライアンスと呼ぶこともあります。
パートナーとして関係を構築する「アライアンス」
アライアンスを結ぶと、ノウハウや技術を相互に活用したり共同で業務を行ったり、企業間での連携や協力体制を築くことになります。
契約によって結ばれた、パートナーのような関係といってもよいかもしれません。
ただし、アライアンスは2社間に限定されておらず、3社以上の企業で行われる場合もあります。
緩やかな提携によって相乗効果を生む
アライアンスは通常、企業が利益の向上につながる相乗効果が期待できる場合に行われます。
M&Aなどの買収や合併とは異なり「緩やかな提携」である点がポイントといえるでしょう。
提携にはさまざまな形態がありますが、企業同士が契約内容に合意することによって関係が成立。
反対に提携の必要性がなくなった場合にも、双方の合意によって契約の解消を行うことが可能です。
もともとは業種の異なる複数の企業が提携する場合にアライアンスという表現が使われていましたが、現在では必ずしも異業種間での提携に限って使われているわけではないようです。
アライアンスの意味をもつさまざまな表現
アライアンスは企業同士の協力によって業務を遂行するため「業務提携」と表現されることが多くあります。
また自社にはない経営資源を企業間で補完し合うことによって、相乗効果が期待できることから「戦略的同盟」や「戦略的提携」とも呼ばれます。
中でも国や業種の異なる企業との提携によって共同事業を行う際には、「ストラテジックアライアンス(strategicalliance)」という表現を使う場合もあります。
航空業界でみられるアライアンス
アライアンスは企業間提携の多い業界の中で昔から使われていた用語ですが、今では業界を問わず、広く知られるようになっています。
特に航空業界はアライアンスが有名な業界のひとつで、利用者(一般消費者)向けにも「アライアンス」という言葉を使用しています。
世界三大アライアンスのひとつには「スターアライアンス」があり、名称にアライアンスがついていることから、特に飛行機に乗る機会の多い人には馴染みのある言葉ではないでしょうか。
マイレージ
「航空連合」とも呼ばれる航空業界のアライアンスで、もっとも知られているのはマイレージの提携でしょう。
同じアライアンスグループに属する航空会社であれば、相互にマイルを貯めることができる仕組みです。
利用者にとってはマイレージの相互利用が付加価値となり、航空会社の販売力強化につながっています。
共同運航(コードシェア)
他にはアライアンスによって共同運航(コードシェア)が行われています。
コードシェアとは1機の飛行機を複数の企業(便)名で運航する形態を指し、運航を行う企業と販売を行う企業で役割を分担することで、企業が相互にメリットを享受できる仕組みになっています。
実際の運航は提携する企業のうち1社だけが行いますが、他の航空会社は座席の一部を購入し、自社の便名で販売することができます。
販売を行う企業は座席の一定数を購入する代わりに、自社のリソースを使わずに自社便名を名乗ることができます。
一方、運航を行う企業は、他の企業が座席を購入することで、自社で販売しきれない場合でも一定の収益を確保することが可能になります。
この仕組みによって各航空会社が世界中に自社便名の路線を確保・拡大できることから、企業戦略のひとつとして取り入れられています。
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アライアンスのメリットとデメリット
企業がアライアンスを行う目的については理解できたでしょうか。
続いてアライアンスによって期待できる効果やメリット、またデメリットにはどのようなものがあるのか、アライアンスを両側面から確認していきましょう。
アライアンスのメリット
費用対効果が高い
企業合併や買収などと比べると、契約の締結や解消を容易に行えます。
膨大な時間と莫大な資金をかけることなく、経営資産を活用することが可能です。
企業競争力が高まる
自社にないノウハウや経営資源を活用することができるため、顧客に対して新たな価値の提供が可能になります。
それは売上アップやブランドイメージの向上につながり、企業の競争力を高めることができます。
アライアンスのデメリット
契約による実効性は保証されていない
あくまで協力の契約であることから、実際の業務遂行は各社にゆだねられます。
そのためアライアンスによる効果が想定を下回ることもあります。
解消に伴うリスクがある
アライアンス関係にある期間に独自ノウハウや技術を共有すると、解消の際に重要な情報が流出してしまうリスクも考えられます。
ベンチャー企業のアライアンスの事例
アライアンスは主に、既存事業の売上拡大や顧客へのサービス向上などのために行われますが、ベンチャー企業では成長の足がかりとして、大手企業とアライアンスを組むケースもあります。
ここではアライアンスによって、成長を遂げた企業を紹介します。
事例1:ラティス・テクノロジー
大手光学機器メーカーのソフトウェア研究者によって、3Dデータを圧縮する新しい技術が開発されました。
ところが当時、自社内のメイン事業での活用が難しい技術であったため社内ベンチャーを作り研究・開発を続けました。
トヨタ自動車をユーザーとして、設計支援や品質向上に貢献する製品を開発。
アライアンスによる協業体制によって製品の開発・改善に取り組むことで、モノづくりの現場で欠かせないツールとして成長しました。
それまでなかった市場を作ることに成功し、現在では日本のみならず、世界の製造業や建築業向け製品として認知されています。
事例2:プロパティデータバンク
大手建設会社出身者が不動産管理ソフトウェアを開発し、インターネットを通じて提供するASPサービスのベンチャー企業としてスタート。
関連企業とアライアンスを組むことでビジネスモデルやサービスに磨きをかけ、導入数を伸ばしました。現在はクラウドサービス化し、業界標準と呼ばれる地位を確立しています。
この記事のまとめ
多くの企業では、売上アップを目的にアライアンスを行っています。
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