大学を辞めたくなってしまったら? どんな選択肢がある?
こうした悩みを抱える人は、どの大学にも一定数います。
文部科学省が2014年に実施した調査によれば、大学中退者数は79,311人で、大学生数の2.65%に当たります。
大学を辞めたいと考える人はどういった理由で辞めようとするのか、辞めたくなったらどんな選択肢があるのか、詳しく見ていきましょう。
大学を辞めたいと考える主な理由
せっかく入試に合格して入学した大学を辞めるのは、言うまでもなく大きな決断です。
非常に重い決断であるにも関わらず、なぜ大学を辞めようとするのでしょうか。
もちろん人によってさまざまな理由があるはずですが、ここでは中退を考える理由として多いものを挙げていきます。
まずは辞めたいと考える主な理由について確認しておきましょう。
学業に対して不満がある
大学中退を考える理由として多いのが、学んでいる内容に対して不満があるパターンです。
大学に入ってみたものの、「想像していた授業内容と全く違っていた」「講義が理解できなくて苦痛」といった理由を挙げる人は少なくありません。
大学の講義は高校までの授業とは異なり、専門性が一気に高まります。
そのため、入学前に学部・学科に対して抱いていたイメージとの間にずれが生じたり、想像していた授業内容ではなかったりするケースが発生することがあります。
興味が湧かないことや理解できそうもないことを学び続けるのは苦痛なものです。
「このまま4年間、学びたくもないことを学び続けても仕方がない」と感じ、中退という選択肢を考え始めるのです。
進路を考え直したい
たとえば、高校時代に理系志望だったものの文転したケースや、希望する学部・学科のレベルが高かったために安全策を講じて別の学部や学科を選んだケースでは、いったん大学に入学したものの進路を再検討したいと考え始めることがあります。
大学で学んだことを将来的に仕事で活かしていきたい人や、大学院への進学などより専門性の高い学びを志向する人の中も、所属する学部・学科では希望を叶えられそうにないと感じるケースが出てくることがあるようです。
所属する学部・学科で希望する進路が叶えられそうにないと感じると、学ぶことに対する意欲が削がれてしまうことも少なくありません。
そのため、中退して別の進路を検討し始める人が出てくるのです。
経済的理由・健康上の理由
何らかの事情で学費を払い続けることができなくなったり、病気やけがなどで通学を続けることが困難になったりしたことで、中退を検討する人もいます。
文部科学省が2014年に実施した調査では、大学中退者の20.4%が経済的理由を挙げ、5.8%が病気・けがなどを理由に挙げています。
大学に通うには学費を納める必要がありますので、学費を払うことが難しくなれば実質的に大学に通い続けることができなくなります。
また、長期の入院や療養で通学が困難な状況になったとすれば、現実的に大学に在籍し続けることができない場合もあるでしょう。
とくに経済的理由については、中退者のうちおよそ5分の1が理由として挙げていることから、決してめずらしくない中退の検討理由の1つと見ることができます。
大学を辞めたくなった場合の選択肢
大学を辞めたくなった場合、1つの選択肢としては中退の手続きを行い、退学してしまうという方法があります。
ただ、せっかく受験勉強を経て入学した大学ですし、できることなら通い続ける方法を見つけていくのがベターです。
辞めてしまう前に、できる限りの手段を講じて大学に残る方法を考えてみることも大切です。
大学を辞めたくなったとき、考え得る選択肢について解説していきます。
大学の学生課など第三者に相談する
大学を辞めたいと考え始めたとき、身近な人に相談しようと考える人も多いことでしょう。
もちろん相談するのが間違いではありませんが、相談する相手によっては「中退することで将来にどのような影響が出るか」といったことに対して知識が不足しているなど、適切なアドバイスができないことも考えられます。
大学としても、近年中退者が増加傾向にあることから、中退を検討している学生の力になりたいと考えているケースは少なくありません。
まずは大学の学生課など第三者に相談し、アドバイスを求めてみましょう。
とくに経済的理由で中退せざるを得ないと考えている場合、奨学金の申請などの手段を講じることで大学に在籍し続けられることもあります。
奨学金の中にも、返済の必要がない「給付型」や、返済の必要がある「貸与型」の中でも利息のつかないタイプのものもあります。
大学独自で奨学金制度を設けている場合もありますので、学生課など大学事務局に相談してみるのは有効な解決策になる場合があります。
いったん休学して様子を見る
大学には「休学」という制度があります。
もし中退を考える何らかの理由があれば、当面は休学して考えるという方法もあります。
休学するメリットとしては、大学に籍を置いたまま別の活動に取り組んだり、進路を検討し直す期間ができることが挙げられます。
多くの大学が休学期間の上限を2年としていますので、裏を返せば2年間は考える猶予をもらえるのです。
反対に休学するデメリットとして、休学期間中も学費の一部がかかる場合があります。
国立大学では休学期間中の学費は全額免除となりますが、私立大学では授業料の一部を払う必要があったり、授業料は免除されるものの在学費を払う必要があったりします。
また、奨学金制度を利用している場合、休学することで奨学金の給付が中止されます。
復学する際には改めて給付の申請が必要になります。
在学のまま別の活動を始める
在学した状態のまま、当面は授業に出る頻度を減らすなどして別の活動を始める方法もあります。
近年では学生ベンチャーがメディア等で取り上げられているのを目にしたことがある人もいるはずです。
大学に籍を置いたまま別の仕事を始めたり、将来役に立つと思われる勉強を始めたりすることも可能です。
もちろん、大学の授業に出ていなければ単位を落とすこともあれば、留年してしまうこともありますので、卒業までに必要な学費についてもよく考えた上で決める必要があります。
しかしながら、大学を辞めてしまえば改めて入学試験を受けない限り大学に戻ることはできなくなります。
学業以外に取り組みたいことがある人は、在学のまま別の活動に挑戦してみるのも1つの手です。
20代で正社員への就職・転職
大学を辞めるかどうか迷った場合に意識すべきこと
大学を辞めるのは、今後の人生を左右することもあり得る重大な決断です。
もし大学を辞めるかどうか迷ったら、簡単に「もう辞める」と決めてしまうのではなく、慎重に判断することが非常に重要です。
少なくとも、辞めてしまってから「辞めなければよかった」と後悔することがないようにしなくてはなりません。
大学を辞めるかどうか迷った場合は、とくに次のことを意識しておきましょう。
今すぐ辞めなくてはならないかよく考える
大学中退を検討する理由にもよりますが、「授業内容に興味が湧かない」「進路を再検討したい」といった理由であれば、本当に今すぐ辞めなくてはならないかよく考えておきましょう。
前で述べたように、休学など中退以外の方法でしばらく大学と距離を置く方法もあります。
学業とは別にやりたいことがあれば、在学のまま挑戦していくことも可能です。
中退してしまえば、その大学とは「無関係」になってしまいます。
しかし、休学であれば復学することができますし、在学したままであれば好きなタイミングで授業に戻ることができます。
重い病気など致し方ない理由の場合もありますが、もし今すぐ辞めなくてはならない理由でないのであれば、しばらく期間を置いて慎重に考えてみる価値はあるでしょう。
辞めた場合のデメリットを想定しておく
大学を辞めることによるデメリットが、自分で想像していた以上に大きいことも考えられます。
今後の就職など進路をはじめ、将来に向けて大学中退が影響を及ぼすことは十分に考えられます。
大学を中退しても就職すること自体は可能ですが、新卒採用を行っている大企業に大卒と同じ条件で就職することは難しくなります。
大学中退者は高卒または大卒よりも低い給与条件となるケースが多く、生涯賃金が大卒よりも少なくなる可能性が高いと言えます。
また、「大学を卒業していない」という事実にゆくゆく負い目を感じる可能性が少しでもあるようなら、卒業だけはしておくほうが得策と考えることもできるでしょう。
こうしたデメリットは「辞めてから気づいた」「何年か経って現実を知った」といったことも考えられるため、辞めた場合のデメリットについてはよく考えておく必要があります。
この記事のまとめ
大学を辞めることによって、将来に向けた人生設計が大きく変わることは間違いありません。
それだけ重い決断であることをよく理解し、本当に今すぐ辞めなくてはならないのか、中退以外に考えられる選択肢はないのか、といったことを慎重に判断しましょう。
現状では学部・学科の講義に興味が湧かなくても、学び続けていくうちに面白さを発見することもあり得ます。
決して結論を急ぐことなく、よく考えた上で結論を出すことを強くおすすめします。
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