建設機械業界研究・仕事内容や求人状況、今後の動向を解説
建設機械業界とは
建設機械業界とは、建築現場等で使用される機械を開発、製造、販売する業界のことをいいます。
います
企業分類では、生産用機械器具製造業に分類されます。
製造業ですので、製品を作りだしてそれを販売して収益を得るのが主力の事業となっており、日本の「ものづくり」企業の一翼を担う業界ともいえます。
日本の機械メーカーは、品質や使い勝手、性能のいい機械を製造できることに定評があり、派手さはないながらも、堅実にものづくりをする社風の企業が多いのが特徴です。
製造している主な機械は、ショベルカーやクレーン、油圧ショベル、フォークリフトなどがあり、さまざまな建築現場や工事現場に対応したサイズや性能の機械が複数存在しています。
それらの機械は、日本国内の建築現場で使用されるのはもちろんのこと、発展途上国の国土整備や、先進国の都市再開発など、グローバルに輸出され使用されています。
今後も、世界各地で社会インフラ整備が必要となり、建設機械が使われることが多いことや、技術革新により無人で動く機械が求められるなど、さまざまなニーズがあることから、安定的に成長する業界です。
建設機械業界の役割
日本の建設機械の歴史は、終戦後の国土復興から、1960年代のインフラ整備期、1980年代の社会インフラの充実期を経て、国土整備に不可欠な分野として成長してきた業界です。
国土整備だけでなく、建築現場で建設機械は必須であり、私たちの住居を建てたり、商業・公共施設の建築など、建造物の規模によって使用される機械はさまざまですが、あらゆる現場で使用されています。
さらに、大規模な震災が発生した場合は、災害復旧用機材としても使われます。
日本の建設機械は、品質が良く、高性能で使い勝手がよいため、欧州地域に早い段階で導入されました。
現在では、東南アジア地域にも輸出されるなど、日本の建設機械は世界で高いシェアを誇っており、グローバル展開する企業が多いのもこの業界の特徴です。
日本のみならず、世界の国土整理や建設現場でも幅広く使用され、なくてはならないものであるという点で、社会的に重要な役割を担う業界です。
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建設機械業界の企業の種類とビジネスモデル
建設機械業界のビジネスモデル
建設機械業界のビジネスモデルは、メーカーで開発・製造された機械が、販売やレンタルを経て、建設現場で使用されるという流れになります。
メーカによる開発や製造ですが、近年は、大手メーカによりICT技術を駆使した建設機械も多数開発されるなど、新技術の実用化が進んでいます。
メーカーで開発された機械の商品化が決まると、それを作るための部品製造などを自社生産、もしくは中小メーカーに外注し、仕入れを行い、部品を組み立てて製品化します。
製造された機械のうち約4割が、メーカー直販や代理店経由で販売されます。
残りの6割は、レンタル・リース会社経由で、建築機械ユーザーである、ゼネコンや工事業者にレンタルされ、現場で使用されるというのが一般的なビジネスモデルになります。
建設機械メーカーの特徴
日本の建設機械メーカーには、世界的なシェアを持つ有名な企業が多いのが特徴です。
最も有名なのは、アメリカのキャタピラー社と並ぶ世界でトップシェアを持つ小松製作所が挙げられます。
その他にも、国内シェア2位、世界シェア10位以内に入る日立建機、ミニショベルカー分野で業界シェア1位であるクボタなど、ものづくり日本を代表する、日系大手メーカーが多く存在しています。
近年では、土地整備需要の高い海外の市場をさらに広げるために、海外建設機械メーカーをM&Aする日本企業が増えているのも機械メーカーの特徴的な動きといえます。
建設機械メーカーレンタルの特徴
多くの建築現場では、複数の建築機械が使用されますので、それらすべてをゼネコンや工事業者が保有するとなると費用がかかりますので、レンタルは一般的に行われているビジネスモデルです。
建設機械レンタル大手のアクティオやカナモトなどは、震災復興需要や都市再開発需要の高まりから、機械レンタルのニーズが増加しており、業績が好調に推移しています。
特に、大手ゼネコンは経費削減の一環として、建設機械レンタルを積極的に利用する流れが主流となっていることから、レンタル業界の需要が伸びています。
ゼネコンの特徴
ゼネコンは総合建設会社のことで、建築案件の受注、工程や資材費の管理、下請け会社、現場作業員管理を行う企業です。
これらの企業の作業員や、工事業者が、建築機械を扱い、建築作業に従事します。
ゼネコン業界の代表的な企業は、鹿島建設、清水建設、大成建設、大林組などがあります。
これらのゼネコン企業も、国内の建築だけでなく、東南アジアを中心に南米やアフリカで事業を展開し、世界進出を加速させており、建築業界は全般的に海外に進出する傾向が強いといえます。
建設機械業界の職種
建設機械業界の中心となる建設機械メーカーでの主な職種は、開発、製造、マーケティング、管理に大きく分けることができます。
中でも、製造メーカー特有の職種として、技術革新の要となる研究開発、製造過程を監督する生産管理、市場のニーズを探り商品開発につなげるマーケティングなどが挙げられます。
研究開発
研究開発は、開発テーマに基づいた実験・解析を繰り返し行い、研究結果を分析します。
研究開発の分野はひとつではなく、商品開発と直接の関連性が少ないですが、将来的に製品化につながる基となる実験を行う基礎研究や応用研究があります。
また、製品化を目的として、さまざまな実験によりデータを解析・分析する製品化研究という分野もあり、それぞれの目的により研究内容が分かれています。
それらの研究結果を活用して、メーカーは商品開発・企画を行いますので、その基礎を担う重要な職種が研究開発職ということになります。
生産管理
生産管理は、製品の品質を安定させた状態で、決まったスペックの商品を大量に生産し、決められた納期で納品できるよう管理する職種です。
生産工程の把握はもちろんですが、製造方法や商品のスペックの把握、工場の安定稼働や全体管理など、生産に関わる作業の全般を担う職種になります。
マーケティング
マーケティングは、市場のニーズを探り、どのような商品が求められているのかリサーチして、商品化提案を行います。
また、商品化が決まった製品に対して、どこの市場で、どのくらいの価格で、どのようなプロモーションを行って販売してくのか、商品をうまく販売するための施策を立案する役割も担います。
建設機械業界のやりがい・魅力
建設機械メーカーに携わる魅力としては、人々の生活に深く関わる建物や施設、国土の整備に関わり、社会的に大きな影響力を持つ仕事に従事できるという点が挙げられます。
また、日本だけでなく海外に進出している企業も多いことから、グローバルな視野を持って、仕事ができる点と、機械の技術革新により最先端のものづくりに携わることが出来るという点もあります。
建設業界全体の平均年収は、厚生労働省の賃金構造基本統計調査によりますと、
大規模企業:627万円
中規模企業:425万円
小規模企業:394万円
となっています。
国税庁の2017年民間給与実態統計調査から、日本の平均年収は432万円であることから、いずれも日本の平均年収と比較しても遜色ない年収となっています。
建設機械業界の有力企業である、小松製作所、クボタ、日立建機の大手機械メーカーの平均年収は、平成29年度の有価証券報告書によりますと、
小松製作所:722万円
クボタ:792万円
日立建機:643万円
となっており、いずれも好待遇の企業であることがわかります。
大規模企業ですと、知名度や技術力を武器に、建設機械だけでなく、機械関連の事業を多角的に展開するなど、多方面に事業を拡げて収益を安定的に稼いでおり、経営基盤も安定している企業が多い状況です。
また、最新技術の開発などに力を入れる傾向にあり、ものづくりをさらに進化させようとしています。
そのため、これらの企業で働くことにより、機械の製造から販売までの一連の流れを経験でき、専門知識を増やすだけでなく、あらゆる事業を経験しスキルを増やすことができます。
建設機械業界の雰囲気
建設機械を製造したり使用する現場では、力仕事が多いことから男性が多い傾向にあります。
近年は、建設現場で働く女性も増加傾向にありますが、全体的にはまだ男性の割合が多い状況です。
それぞれの職種では、研究開発などは、日々の実験やデータ解析が主な業務となりますので、専門知識が豊富で、結果を冷静に分析し正確に考察を導き出すのが得意な人が多いです。
また、製造現場では、多くの作業員がいますので、指示を正確に聞き取り、ルールを守って作業を正確に早く行うことを得意とする人が多い傾向にあります。
さらには、全体的な企業風土や業界の雰囲気としては、ものづくりを行う業界で品質の安定した製品を世に送り出すことが重要となりますので、コツコツと堅実に業務をこなす社風の会社が多いです。
建設機械業界に就職するには
就職の状況
日本国内では、1960年から1980年代に建てられた建物の老朽化対応や都市開発などにより、安定的な建設需要が見込まれます。
また、海外では国土整備や都市開発など、こちらも建設機械の需要があることから、企業の収益が落ち込むことはなく、求人需要も安定している状況です。
求人の内容としては、建設機械の自動化や、ICT技術を活用した最新鋭の機械の開発が加速しているため、それらの分野での専門知識を持つ人材を求める状況にあります。
例えば、無人で24時間工事現場を走行できるダンプカーや、ドローンを使って測量を行うなど、機械を無人化するためのシステム基盤を構築するプログラマーなど、一見建築業界とは違う分野の募集も目立ちます。
就職に有利な学歴・大学学部
建築機械業界の就職に有利な学部は、機械や工学に関して学べる学部です。
例えば、機械工学科、機械設計科、精密工学科、生産機械科など、機械の役割や仕組みを理解するだけでなく、生産機械など特定分野を深く学ぶ学部もよいでしょう。
また、高等専門学校では、機械工学科を設置してるところもあり、5年間の学校生活で専門的知識の習得と、実務研修を行うことができます。
これらの学校に通いながら、技術士第一次試験や、機械設計技術者試験などの資格を取得しておくと、学んだ知識の証明となり、就職活動時に説得力が増します。
加えて、グローバル展開する企業が多いことから、英語、中国語など企業が進出している国の言葉が堪能だと、有利となる場合があります。
就職の志望動機で多いものは
志望動機として多いのは、建設機械の技術開発に関わっていきたいというものです。
応募学生が、機械や工学系の学生が多いことから、それぞれの企業の技術開発の特色を理解して興味を抱き、社会に大きな影響を与える技術革新に、自分も関わっていきたいという動機が多いです。
また、グローバルに展開してる企業が多いことから、日本だけでなく、海外でのビジネス経験を積んで、日本のものづくりの技術を、海外に発信していきたいという動機の人もいます。
高い技術力と品質を武器にする企業が多いのも、建設機械業界の特色ですので、これらに関わることができる業界で働いていきたいと考える学生が応募しています。
建設機械業界の転職状況
転職の状況
建設機械業界への転職は、日本国内の建設需要だけでなく、海外での建設需要も多いことから、経験者を求める転職求人も不定期ですがあります。
技術革新と製品化のスピードが速くなっていることから、専門知識だけでなく、現場経験やスキルのある人材を求める企業が多いようです。
転職の志望動機で多いものは
機械業界経験者の志望動機としては、同業他社メーカーで働いていた人が、転職希望の企業で製造や販売している機械に興味を持ち、それらに携わりたいと志望する場合が多いようです。
機械業界での経験があるからこそ、他社の技術力に惹かれて、その技術開発に自分も携わりたいという志望理由です。
また、建設機械業界に携わっていない人でも、建築物は日常的に接するものですので、社会的生活の基本となる「衣食住」の住に関わりたいと志望して転職を決意し、応募しています。
転職で募集が多い職種
現状の建設機械業界の主要なテーマとして、機械の無人化が挙げられます。
無人でも正確に動く機械や、以前は人が行っていた作業を代替してくれる機械を開発することが求められています。
そのため、転職の募集が多い職種としては、無人の機械をを正確に動かすシステム基盤を作ることができる、エンジニアやプログラマーが挙げられます。
これらは、機械の専門知識だけでなく、システム開発を行うことができる高い能力と経験、スキルが必要となるため、中途採用にて人材確保する企業が多いためです。
どんな経歴やスキルがあると転職しやすいか
この業界では、研究開発や製造などの技術系の仕事に従事する場合は、専門的知識が必要となるため、機械に関する知識を習得しており、実務経験が必要となる場合が多いです。
そのため、業界未経験者や機械工学系の知識がない人だと転職は狭き門となります。
ただ、製造だけでなく販売や管理系の職種もありますので、違う業界であっても営業経験、経理、人事などの管理系職種の経験があれば、転職できる場合があります。
また、前述したように、海外市場に進出している企業が多いことから、海外との折衝、交渉経験や外国語が堪能であるなど、海外でのビジネス経験があると有利となる場合が多いです。
建設機械業界の有名・人気企業紹介
小松製作所
東証一部上場の東京都に本社を置く、建設機械・鉱山機械のメーカーです。
売上高の90%が建設機械・車両が占めており、建設機械の日本市場シェアは1位、世界でも2位のシェアを獲得しているグローバル企業です。
日本のものつくりを代表する企業の一角を担っており、建設機械にとって重要となるエンジン、トランスミッション、油圧機器、アクスル、コントローラー等の電子制御部品を全て自社開発・生産していることで知られています。
クボタ
東証一部上場の大阪府に本社を置く、農業機械、建設機械等、建築材料、鉄管、産業用ディーゼルエンジンのメーカーです。
中国やアジア、南米、アフリカ諸国の都市化支援、都市基盤整備に不可欠なミニショベルカー製造などの小型建機の開発販売など、グローバル市場に進出しています。
日立建機
東証一部上場の東京都に本社を置く、建設機械メーカーで、日立グループに属しています。
建設機械の中でも油圧ショベルを主力として展開し、その他に、鉱山向けなどの産業機器製造と販売、レンタルなどを行っています。
1990年代後半から欧米、アジア、オセアニアに事業展開しているグローバル企業です。
建設機械業界の現状と課題・今後の展望
建築業界は、平成20年に起きたリーマンショックの影響で、ヨーロッパやアメリカにおける住宅着工件数が激減し、一時期各社の業績が落ち込みました。
当時は、需要が急激に落ち込んだため、建築機械業界は、将来性が危ぶまれました。
しかし、東日本大震災による、復興のための内需の拡大や、東南アジアなどの新興国やヨーロッパ、北アメリカなどでの事業拡大が成功し、業績を回復させる企業が増えたことから、安定的に市場を拡大できています。
国内の建設機械メーカーは、海外展開に比重を置く企業が多く、発展途上国や、先進国など、さまざまな国に機械が輸出され使用されています。
今後も、業界全体が海外進出を重視する方針であるため、海外の建設機械メーカーをM&Aし、市場基盤を構築する動きが加速している状況です。
また、建設現場は、人手不足が深刻化しており、それらを補うために建設現場の省力化を求める声が高まっています。
それに呼応して、建設機械業界でも、ICT技術を応用し人手をかけずに生産性を向上させる「スマートコンストラクション」や、ドローンなど今までにない技術を建設現場に活用する動きが活発化しています。。
これに伴い、建設機械メーカーでも更なる技術革新が求められており、高度な技術を製品化することが急務となっています。
日本国内だけでなく、世界的にも建設需要が継続的にあることから、建設機械業界も安定的に需要が見込まれます。
特に、日本の建設機械は品質が良く、操作性や耐久性に優れている点や、それぞれの建設現場に対応したサイズの建設機械を的確に開発できることで海外から高評価を得ており、今後も安定して市場が成長していくでしょう。
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