フレームワークとは
フレームワークは主にビジネスシーンで用いられ、問題解決や戦略を考える際にとても役立つツール。
解決したい課題に直面した場合には、フレームワークを知っているかどうかで、解決までの時間と質に大きな差が生まれるといわれています。
目的に合わせてさまざまな種類があるため一度にすべてを習得するのは難しいですが、基本的な知識や頻繁に使うフレームワークはぜひ理解しておくとよいでしょう。
フレームワークの意味
フレームワークとは枠組みのこと。主にビジネスシーンで使われることが多い用語です。
ビジネスにおける戦略立案や問題解決にはビジネスフレームワーク、IT分野では開発に用いるソフトウェアフレームワークがあります。
ビジネスとITでは実際に用いるフレームワークは異なりますが、いずれも思考や開発を効率的かつ効果的に行うために役立てるツールといえます。
ここではビジネスにフォーカスして、フレームワークの役割や使い方をみていきましょう。
経営やマーケティング戦略を立案するためのフレームワーク
新しい企画のためにアイデアを出し合ったり、業務改善のために問題を見つけたり、ビジネスシーンでは思考する必要のある機会が数多くあります。
ところが時間は無限にあるわけではないため、限られた時間の中でより多く発想し、論理的に検討することが必要です。
ビジネスフレームワークは思考法や発想法が体系的にまとめられている一種のツールで、考え方(思考)の型のようなもの。
その型の中に問題や課題を当てはめて考えられるため、
(1)思考が整理できる
(2)視点の抜け・モレを防げる
(3)わかりやすい手順で考えられる
といったメリットがあります。
さまざまな種類がありますが「枠組み」という名前のとおり、意思決定、分析、課題解決のあらゆるシーンに共通して用いることが可能です。
最適なフレームワークを活用することが、発想や思考の大きな助けになるのです。
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代表的なビジネスフレームワークとは
ビジネスフレームワークはMBAの授業で取り入れられ、ケーススタディを学ぶ際には、ビジネスフレームワークを活用して、課題解決や戦略立案の疑似体験を行います。
基本的なフレームワークは大学でも学習の機会があり、社会人向けでは体験型でビジネスフレームワークを学ぶ研修がみられます。
新しいビジネスモデルが生まれると、ビジネスフレームワークにも新しいものが登場。そのため実践で用いるには、知識のアップデートが必要なツールともいえるのではないでしょうか。
ビジネスフレームワークをいくつか確認しておきましょう。
3C分析
3C分析は、現状分析に用いるフレームワークです。3Cは自社(Company)・競合(Competitor)・顧客(Customer)の3つの頭文字。
自社と競合の状況や顧客の動きを整理し、市場全体を捉えるために利用します。
SWOT分析
SWOT分析は、自社の事業や市場を客観的に見つめなおすためのフレームワークです。
SWOTは分析に必要な4つの要素のこと。
・強み(Strengths)
・弱み(Weaknesses)
・機会(Opportunities)
・脅威(Threats)
を書き出し、事業と市場を俯瞰(ふかん)して分析を行います。
「強み」と「弱み」はそれぞれ、自社の商品やサービスがもつ特性のこと。
「機会」は商品やサービスが話題になったり人気がでたり、売上につながるような外部環境の機会です。
例えば、低カロリーで栄養価の高い食品を扱っている企業であれば、世界的な健康ブームが機会として挙げられるでしょう。
「脅威」は外部環境に起因するリスク。
現状維持のままでは売上減少につながってしまう、市場の変化や競合の動きなどです。
先ほどの企業を例に挙げると、食品の輸出規制が強まっていることが脅威として考えられるでしょう。
4P分析
自社商品を展開する市場を分析して、戦略や施策を組み立てるためのフレームワークです。
4Pは
・商品(Product)
・価格(Price)
・流通(Place)
・販促(Promotion)
のこと。
どのような商品を、いくらで、どう提供すべきか、また最適な訴求方法は何かをフレームワークから導きます。
フォース分析
フォース分析は、業界の構図や収益構造を分析するためのフレームワーク。
主に事業戦略を考える際に用いられます。
どの市場においても少なからずライバルとの競争がありますが、フォース分析では5つの要因から競争が生まれる理由を探ります。
5つの要因とは
(1)既存同業者との敵対
(2)新規参入企業の脅威
(3)代替品の脅威
(4)売り手の交渉力
(5)買い手の交渉力
のことで、それぞれに対してどのような対策が講じられるかを検討します。
フォース分析によって自社を取り巻く環境を改めて認識することができ、また競争優位に立つための戦略を立てることもできるといわれています。
AARRRモデル
AARRRモデルは2000年代になって提唱された、比較的新しいフレームワークです。
特にWebマーケティングの世界で用いられています。
AARRRモデルも頭文字からきており、Acquisition(新規ユーザー獲得)、Activation(利用開始)、Retention(継続利用)、Referral(紹介)、Revenue(収益化)の5つです。
これまで紹介してきたほかのフレームワークとは違い、顧客と接点をもつところから収益を高めていくまで、一連の流れで5つの指標が構成されている点が特徴です。
ここでは5つのフレームワークを紹介しましたが、ほかにもパーセプションマップ、フォース分析、バリューチェーン分析などがあり、ひとつの課題を解決するために複数のフレームワークを用いることも珍しくありません。
目的はもちろん、業種や取り扱いサービスによって最適なフレームワークを選びましょう。
フレームワークとともに必要な問題解決のためのスキル
ビジネスフレームワークは、用途や使い方が理解できればすぐに使いたくなるツールです。
何度も使用して慣れることで、効率的に思考する習慣ができるでしょう。
ただし、ビジネスフレームワークの活用には、身につけておきたい基本スキルや考え方があります。
MECE
MECEは「ミーシー」や「ミッシー」と読み、物事を論理的に考える(=ロジカルシンキング)うえで必要な基本スキルです。
MECEはMutually Exclusiveand Collective Exhaustiveの略語で、日本語では「モレなく、かつ、ダブりなく」と訳せばよいでしょう。
抜け漏れも、重複もない状態を意味しています。
情報を分類したり構造化したりする場合には、モレやダブりがあると正しく整理ができません。
また正しく整理されていないと、正しい判断もできないでしょう。
正しい判断を行うためには、判断材料である情報を論理的に捉える必要があります。
フレームワークを活用するためには、情報がMECEであることが大前提だということを覚えておきましょう。
ロジックツリー
ロジックツリーは情報を分解して構造化する、思考のためのツールです。
木の幹とそこから伸びる枝のイメージからロジックツリーと呼ばれますが、ひとつの事象に対して、派生する情報を階層に分けて整理し、原因の洗い出しや全体像の把握などに役立てます。
構造化されているため、検討すべき課題の根本原因を特定しやすく、関連する課題を発見しやすいなどの特徴もあります。
また整理された情報はすべてMECEであることが必要とされています。
フレームワークの使い方
ここまで代表的なフレームワークを確認してきましたが、使い方の例をみてみましょう。
例:トヨタ自動車の3C分析
自社(Company)分析
<強み>
・世界トップクラスの自動車メーカーである
・ハイブリッド車市場をリードしている(世界累計販売台数が1,000万台を突破)
・独自の生産方式とコスト削減によって高い競争力を持つ
・財務体質が良好である
<弱み>
・大規模リコールで安全性が問題視された過去がある
・デザイン面における世界的な評価は決して高くない
・海外販売では為替変動や各国の政策が収益に大きく影響する
・販売台数が多い分、事故件数も多い(特に高齢者)
競合(Competitor)分析
・競合企業が手がける自動車のデザイン性や性能が高まっている
・電気自動車を開発する企業が出てきている
・自動運転車の開発を進めている企業が増えている
顧客(Customer)分析
・新興国市場で自動車の需要が高まっている
・低燃費カー、エコカーの需要が拡大している
・新興国では海外メーカーによる低価格競争が始まっている
・特に国内では自動車に対する人々の価値観が変化しはじめている(若者のクルマ離れ)
具体例をみることで、フレームワークを使うイメージができたでしょうか。
このように3つの視点からフレームに当てはめて考えることで、抜け漏れなく現状を分析できるようになります。
この時点では整理ができた状態ですので、実際の分析ではここからさらに具体的な施策を考え、戦略を打ち出していくことになります。
このようにフレームワークに当てはめて考えていくと、課題や改善すべきポイントが整理されることがわかります。
フレームワークのデメリット
一方で、フレームワークの型に当てはめることを目的にしてしまうと、分析すべき課題を見失ってしまう可能性があります。
例えば、弱みとして分類される要素でも、他の視点から見ると強みにもなるといった場合などがあるからです。
また現代のビジネス環境に合わないフレームワークを使うことは、古い思考を固定化させることにもつながるので注意が必要でしょう。
この記事のまとめ
フレームワークは発想や思考を手助けしてくれるツールです。
上手く活用できれば、事業展開やサービスを改めて見つめなおすことや、事業環境の変化に即した決断をするためにもとても役立ちます。
ただしフレームワークを使うことが目的ではなく、フレームワークを使えば必ず最良の回答を得られるわけでもありません。
実際に何度も活用して使うことに慣れ、思考スキルを磨くことが大切でしょう。
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