ツアーコンダクター職で楽しいと感じた5つのこと
添乗員付きのツアーでは観光場所やアクティビティーなど、全てではありませんが基本的に同行致します。
ということはツアー参加者と同じような体験をすることにもなるので私達ツアコンは、仕事で観光地に行けるとはなんてありがたい!と思うわけです。
ツアコンという職業は仕事でいろんな楽しい体験ができると思われるようですが、そのあたりは実際どうなのかという視点でお伝えいたします。
読者にとってモチベーションや理解に繋がれば良いと思います。
ちなみに私達ツアコンは自分達を「添乗員」と言うことの方が多いです。
個人的な経験としてはコロナ前の添乗日数が国内外で330日余り、海外は13か国でした。
その後は同社(添乗員派遣会社)のオフィスに異動になり新事業に携わっていました。
1.世界遺産に行ける
過去に訪れたところをちょっと挙げると、中国のシルクロード遺跡、トルコのローマ遺跡、イタリアの美術館、オーストラリアのグレートバリアリーフ、インドのタージマハル、エジプトのピラミッド、白川郷の合掌造り家屋、などそれぞれで全く異なった文化や価値を感じました。
歴史背景が理解できたり、特有の自然環境を感じたり、心が揺さぶられるほどの感動もありました。
やはりツアコンならではのご褒美と言えると思います。
添乗員よりもお客様の方がお目当ての世界遺産について事前勉強をしっかりしていることは多々あります。
ですから添乗員もそれなりの事前学習は必須でした。
また、遺跡や文化遺産の多くは宗教に関わっていることが多いですので、それらに理解のある人物像が求められます。
2.美術館、博物館、舞台観賞など
好奇心やいろんなことに興味を持っている添乗員には本当に喜ばしいことですね。
学びがあり、楽しいし、感動もたくさん経験させていただきました。
その地域の文化やユニークな特色の理解が深まりますので次回の添乗にも活かせます。
これらの入場料金について端的に言うと、場合によって無料だったり有料だったり、旅行会社の経費だったり、添乗員個人の出費としての選択であったりいろいろです。
それは、ツアーの販売料金や、観光の特性に合わせるなど、いろんな理由が関係しています。
一度こういうケースもありました。ロシアのツアーで、有名な劇場にてクラシックバレエを観賞する有料オプションがあったのです。
その日はこのオプション参加が、ある人数以上に達したので添乗員の私にも席をいただけました。
この場合の添乗員無料チケットは、チケットが売れるような案内をしてくれたご褒美という意味もあるかもしれませんが、それよりも、参加人数が多いというとことはそれだけ同行案内のニーズが高まるという訳なのです。
なので仕事の負担も増え、結果的に睡眠時間が削られます。
このことをどうとらえるかは、人により、場合により様々で一概には言えませんが、一番優先されるべきはお客様にとってのツアーの価値だと私は思います。
やがてバレエを観終わり、ホテルに向かうバス内で、
「このような手の動きがありましたね。これは「ダンスをしましょう」という意味でバレエでは良くあるマイムなのです」
と説明を加えたら感心してもらえてうれしかったです。
3.美味しい料理、珍しいものが食べられる
料金の安いツアーほど添乗員に支給される食事もそれなりですが、お高いツアーほど質の高いお料理や珍しい食べ物を口にするチャンスがあります。
これをお得と認識したり、お客様と同じ物を食べるお仕事と捉えたり、そのバランスは人それぞれのようです。
好き嫌いが無く何でも食べる添乗員ほどエスニック料理やユニークな食べ物についての会話が膨らみ、食事の案内にも深みが出ます。
お客様は添乗員の好き嫌いを見抜くようで、何でも食べる私はそういう意味で好かれていました。
普段と違ったお食事体験はツアー全体の印象に大きく影響します。
何しろ味覚と嗅覚は五感の中でも強い刺激となっているからです。
4.いろんな乗り物に乗れる
観光バス、トロッコ電車、新幹線、外国の特急列車や寝台列車、大小の飛行機、小型ボート、観光船、クルーズ客船、他にも形容が難しいユニークな乗り物も多く、ウマやラクダもそうで、本当にいろんな乗り物に乗りました。
一度は大きく揺れる高速船で船酔いしたことはあります。
多くの添乗員はこれらの乗り物に積極的に乗ってみたいと思ってます。
乗り物好きのお客様には嬉しいですが、そうでない人にとってはストレスになり得るようです。
日常を離れた乗り物は移動手段だとしても、ワクワクして楽しい体験と感じたいものです。
そういうワクワク感を伝えられる添乗員の方が好ましいですので、乗り物好きな私はそういうことは得意でした。
お客様も楽しさが増大します。
5.いろんな人と巡り合える
ツアーに参加するお客様は老若男女、職業や年齢も本当に様々です。
参加者の傾向がほぼ似かよったツアーもあれば全然バラバラのツアーもあります。
数日に及ぶツアーになるとお客様全員と何らかのコミュニケーションがあり、お互いの人柄を感じられたりもします。
例え数日間のお付き合いとは言え、ツアー中のコミュニケーションを通じてお互いに協力し合ったり、仲良くなったりもします。そして私もお客様から何かを学ぶことも多かったです。
時にはグループ全体の連帯感も生まれたりもしました。
添乗員は案内や独自の情報をお客様に伝え、お客様はご自身の見解や意見を話してくれたり、そんな会話を通して人との出会いっていいなって感じました。
現地でお会いする方々とも同じことが言えます。
また「え~!このツアーにこんな参加者もー?」というケースも往々にしてありました。(何らかのハンデをお持ちなど)
そういう以外な印象を感じたりもしましたが、ツアーが終わる頃になると印象が変わって「このような人も参加してくれて嬉しかった!」に変わったのです。
ちなみにツアー終了後、添乗員とお客様それに関係者との直接のやりとりは禁止されています。
これについての賛否はありますが実際にはグレーエリアもあります。
大よそイメージされがちなトピックでしたが、終始に渡って旅程管理業務が最優先です。
思考回路もそれに支配されがちなので、お客様ほど感動や楽しみを感じられる心のゆとりはありません。
しかしそれでも価値ある特別な体験をさせていただけることは確かです。
参加者がツアー中に感じた感動を添乗員も共有できると、体験談を盛り上げてツアーの価値を高めることに役立ちます。
私が先輩から教わったことで、旅程管理業務と矛盾するように聞こえるかもしれませんが…
「添乗員自身がツアーを楽しむからこそ、お客様も楽しむことができる態勢へ導いていけるんだよ」と言っていました。
時として真面目すぎた私には響いた言葉でした!