学校司書の仕事でやりがいを感じる3つの時とは
本や図書館が好きな人なら、誰でも一度は考えるであろう司書の仕事。
ただ、一口に司書と言っても、公立図書館と私立図書館、公共図書館と学校図書館でだいぶ業務が違うようです。
この記事を読むと、あなたの想像に、もしかしたら一番近いかもしれない、小学校の学校司書の仕事とその意外な3つのやりがいが改めてわかります。
子どもたちに本の楽しさを伝えられる
「なぁーんだ、当たり前じゃん」と思ったあなた、「子どもたち」というところがポイントなんですよ。
この記事を読んでくれているあなたは、もうおそらくかなりの読書家で、本に囲まれて生活するなんて幸せ…と思っていますよね。
でも小学校では、子どもたちは字を覚えたての子ばかり。
保育園や幼稚園の読み聞かせで本に馴染みのある子もいれば、お家の環境によっては、本には一切興味をもてずに、図書の時間に何をしたらいいかわからない子も。
そんないろいろな状況の子どもたちと本をあなたがつなぐ役目をするのです。
私は本自体がすでに持つ魅力を、読み聞かせ、授業中の紹介、図書通信、ゲーム性のあるイベント(これが一番得意です)ですこしだけでも伝えたれたらいいなと思っています。
一番うれしかったのは【BOOK QUEST】という、
②本の感想を【BOOK QUEST 冒険の書】に書く
③読書経験値とレベルがあがり「もう一冊借りられますよ券」をゲットできる
完全オリジナルの企画を実行したときに、
多くの子どもたちが、今まで手に取らなかったちょっと地味だけど名作! という本を読んでくれ、
「そんなに本が好きではなかったけど本の面白さに気づきました」
「【BOOK QUEST】のおかげで本が好きになりました」
「やこ先生のイベント、もっとやってください」
「楽しいから図書室大好きです」
そんな嬉しいメッセージをたくさんもらいました。
子どもたちの役にすこしでもたてて嬉しいな…と学校司書冥利につきました。
本を通して家庭と公共図書館をつなげた瞬間
これも「???」ですよね。
実は、勤務場所と住んでいる地域がほとんど同じ私。
地元の公共図書館に行くと、かなりの確率で私の勤務する小学校の子どもたちと会います。
また、公共図書館でカウンター業務をする市の職員さんも、以前自分の雇用事務に関わった方だったときがありました。
その方が
職員さん「やこ先生、学校の図書通信をこちらの(公共)図書館にも送っていただけませんか?」
私「え?何でですか?」
職員さん「先生の学校の図書通信をもって、『図書館にこの本ないですか?』っていう子どもや親子連れの方がとても多いので、あらかじめ送っていただけると、うちでも事前に準備できるんです」
私「わぁ嬉しい…わかりました。それでは、今後は図書通信を発行する際には、そちらにも送りますね。」
正直、このとき、「やったことが報われる」ってこういう瞬間なんだなぁと、ものすごく嬉しく、また誇らしく感じました。
お家の方と一緒に子どもたちが公共図書館に足を運ぶ、そういう素敵な習慣がある、かなり恵まれた地域であるとは思うのですが、かなり嬉しかったです。
そして、よく保護者の方に「図書通信いつも楽しみにしてます!!」と声をかけていただきます。
本当は子ども向けなんですが(^_^;)、
保護者の方が図書室のお便りを楽しみにしてくださる、その姿をみて、子どもたちも「大好きなママやパパも楽しんでる…図書室よろうかな、図書館行こうかな」
そんな風に、「本」を通じた家族のコミュニケーションのよすがに、少しでもなれたら大成功だと思っています。
先生方の授業サポートとして役に立てる!そして、先生にもほっこりを。
学習単元に合わせて、虫や植物、伝統工芸、伝記や職業調べ、様々な資料を揃えるのも学校司書の重要な仕事。
図書の授業の重要性を感じていらっしゃる先生もいますが、
残念ながら私達学校司書や図書室をうまく使うことができずにいる先生もいらっしゃいます。
学習教材としてだけではなく、生徒指導の補助としておすすめしたい本も準備していたりするので、そういうときは、それとなく、先生方の目に留まるといいなと思いながら配架します。
本が好きな先生に「とても良い本を教えていただきありがとう」とお礼いただくときも嬉しいのですが、読書に目覚めた先生と本の話をする時や、この先生に読んでほしいなぁ・・・!と思っていた本をまさに手にとってもらえた時などは、「ああ良かった!」と安堵したりします。
子どもと違い、大人に本を薦めるのはなかなか難しいことだったりするので。
先生が本に親しむ=(イコール)子どもたちが本に親しめる、ということにつながり、学校司書としてのやりがいを感じる場面です。
また、勤務時間や体制により、学校司書の私が担任の先生方と親睦を深める時間はほぼありません。(コロナ禍において職員全体の会食会なども廃止に)
より、自分のことを知ってもらえるように、図書室の廊下の黒板スペースには高学年から先生方向けの短いつぶやきを書いたりしています。
共感してもらうことも多いようで、「先生、あの話面白かったです」「趣味で○○されてたんですね」など黒板のつぶやきを読んで話しかけてもらうことが増えました。
すこしの工夫が先生方との会話の糸口になり、より私という学校司書の存在を身近に感じてもらえてよかったなと思いました。
学校現場を一度体験するとわかると思いますが、とにかく先生方には余裕がありません。
先生方の心の休まる場所として、図書の授業の時間だけでも、子どもと一緒にシンプルに本を楽しんでほしい、
そういう思いで、運営しています。
1つめは 読書環境の異なる子どもたちに、本の楽しさを伝えられること
2つめは 地域の公共図書館との連携で、保護者へのアプローチができること
3つめは 忙しい先生方に学習資料の補助、先生自身にも本を楽しんでもらえること
子ども・保護者(地域)・先生、みんなの心のやすらぎの場所を目指しています。