自動車部品メーカーに将来性はある? 元社員が感じたリアルを紹介
自動車部品メーカーにこれから就職や転職したい人にとって、気がかりなのは「将来性」ではないでしょうか。
この記事では、元々自動車部品メーカーの設計開発で勤務していた私が、自動車部品メーカーの将来性のリアルな声と生き残るために必要なものをお届けします。
自動車部品メーカーの将来性
自動車部品メーカーの将来性ですが、ほとんどの部品では正直明るいとは言えません。
明るいと言えない理由を3つ紹介します。
・自動運転による部品の変化や減少
・EV化による部品の減少
理由①:若者の車離れ
1つ目が「若者の車離れ」です。
そもそも、若者がクルマに興味がなくなったというよりも「給料は安くなっているのに、車はどんどん高くなっている」ことが原因。
電子制御や運転サポート技術などがつくことで、新車価格は年々上がっており、昔は100万円以内で買えた軽自動車も200万円近くとなっています。
また、カーシェアリングの流行も、クルマ離れに影響しています。
特に駐車場代や生活費の高い都心部は、マイカーを買わずに公共交通機関で移動し必要な時だけカーシェアを借りるという人が多いでしょう。
理由②:自動運転による部品の変化や減少
2つ目が「自動運転」です。
具体的に、部品の変化というのは「機械設計以上に、電子回路や情報システムの設計が重視される」ということ。
実際に私が勤めていた企業では、機械系よりも電気・情報系の学生を増やしたいという採用方針で動いていました。
また、自動運転により部品点数が減ることもあり、要素技術開発の部署では「今開発している製品がなくなるかもしれない」と危惧されていました。
理由③:EV化による部品の減少
3つ目が電気自動車です。
すでに欧州各国では、2030年~2040年にガソリン車やディーゼル車を全面廃止する方向で進めています。
将来EV化が進むことで、エンジンからモーターとバッテリーに変わることから、内燃機関の部品メーカーへ大きな影響を及ぼすでしょう。
自動車部品メーカーで生き残るために
とはいえ、自動車部品メーカーが完全になくなるかといえば、そうではありません。
あなたが、将来自動車部品メーカーで生き残るために必要なものを3つ紹介します。
・電気、情報系の知識
・資格や設計開発以外のスキル
①:英語力
1つ目は「英語力」です。
国内の自動車市場は狭くなる一方ですが、海外ではまだまだ人気です。
特に東南アジアやアフリカには、日本の自動車メーカーや部品メーカーが現地法人を設立しています。
英語ができるようになっておくと、現地法人との打ち合わせができることで海外向けプロジェクトを任されるほか、海外駐在で重要なポジションを任されるなど活躍の場が広がるでしょう。
②:電気・情報系の知識
2つ目が「電気・情報系の知識」です。
私の勤めていた企業では、機械系と電気情報系で事業所が分かれていました。
入社当時は半々でしたが、退職直前では電気情報系のほうが人員が多く、仕事量の多さから残業時間も多かったです。
これから自動車部品で長く生き残るためには、電気・情報系の知識は必須ともいえるでしょう。
できればずっと機械系で働きたい、という人でも電気・情報系の部署との打ち合わせをスムーズに行えますからね。
③:資格や設計開発以外のスキル
どの業界でも言えることですが、資格や専門外のスキルもこれからの時代では重要です。
特に、1次部品メーカーは大企業特有の裁量範囲の狭さにより「自分の企業でしか使えないスキルばかり」という事態も。
私も転職活動を進めていくうえで、このギャップには苦しめられました。
機械設計技術者や品質管理検定、施工管理技士など、何かしらの資格を持っておくといざというときにアピールできるでしょう。
また、設計開発以外にも、自分の好きなことや得意なことのスキルを伸ばすことも欠かせません。
迫りくる個人の時代に備えておく必要があるのは、自動車部品業界も例外ではないですからね。
この記事では、自動車部品メーカーの将来性について解説しました。
若者の車離れはもちろんのこと、自動運転やEV化で部品に変化が生じることで少なからず打撃を受けるでしょう。
しかし、グローバルに活躍できる人や、電気・情報系の知識がある人は将来も生き残れるはず。
これから自動車部品業界を目指す人は、「自動車や機械が好き」以上のモチベーションが必要となることを覚悟しておきましょう。
この記事が、自動車部品メーカーを目指す人の参考になれば幸いです。