【ギョーザジョッキー】「焼き餃子を日本人の義務教育にする」年間400種類以上の餃子を食す小野寺力さん
今回は、年間400種類以上の餃子を食す一般社団法人焼き餃子協会 代表理事を務めるギョーザジョッキーの小野寺力さんからお話を伺います。
ギョーザジョッキーの活動内容
「ギョーザジョッキー」の肩書きについて教えてください。
“ジョッキー”は数ある音楽の中からセレクト・アレンジし、ターンテーブルを回して客に提供する「ディスク・ジョッキー(DJ)」から取りました。
数ある全国の餃子の中からセレクト・アレンジし、フライパンを回して美味しい餃子を提供するという意味を込めて「ギョーザジョッキー」と名乗っています。
この肩書きは私自身が考えた造語のため、耳慣れないかもしれません。
しかし、「日本全国の餃子文化を広めたい」「餃子のセレクト・アレンジを楽しいと思う人を増やしたい」という思いから、あえてこの肩書きを名乗り続けています。
餃子にまつわる活動(一般社団法人焼き餃子協会 代表理事/ギョーザジョッキー)の主な内容とは。
全国の餃子文化を広めるために、全国の逸品餃子を探し、その餃子をつくる職人や工場を訪ねています。
そして、焼き餃子協会の会員のみなさんには、私がセレクトした逸品餃子を毎月工場から直送しています。
また、「餃子が好き」な人たちに対し、さらに餃子へ関心を持ってもらうため、餃子の紹介や簡単で美味しい餃子の焼き方を紹介しています。
テレビ・ラジオへの出演や新聞・記事の掲載など、さまざまなメディアで「餃子の魅力」の発信を続けています。
なぜ、協会は「餃子」ではなく「焼き餃子」なのでしょうか。
世界中に小麦粉で肉や野菜を包んだ料理はありますが、大抵は茹でたり揚げたりするものです。
その中で、日本は「焼き餃子」が愛されています。
日本では戦後に中国料理として「焼き餃子」が普及したのですが、そのもととなったのは朝鮮や中国東北部で餃子を茹でてから時間が経ったものを焼いた料理でした。
ニンニクなどが入っているのもここからです。
戦後は鮮度のよい食材が手に入らなかったため、臭み消しをした背景があります。
そのうち、全国各地の食材を餃子に包むようになり、多様な餃子が生まれました。
この歴史的・地理的な背景とともに、焼き餃子を日本の食文化として広めていきたいと考え、「焼き餃子協会」という名称にしています。
ギョーザジョッキーのスケジュール
これまでどれくらいの餃子を食べてきましたか?
数えたことはありませんが、年間約400種類の餃子を食べています。
400というのも週末のみの数なので、平日の外食を含めるともっと多いかもしれません。
餃子の活動が収入源になっているのでしょうか?
焼き餃子協会の収入は私の所得にはしておりません。
協会には番組出演料や会員の会費の収入がありますが、これからの活動で仕掛けるための必要な資金として、一定金額を協会にプールすることを目指しています。
なので、個人所得は私が代表取締役を務める「しかけ株式会社」での収入のみとしています。
日々の餃子代は、個人所得から出費しています。
餃子としかけ株式会社、どのような割合で活動をされているのでしょうか?
現在は1日あたり半分ずつの割合で活動しています。
しかけ株式会社の仕事が6時間、焼き餃子協会の仕事が6時間くらいですね。
1日12時間くらい働いてますが、好きなことなので苦になりません。
ギョーザジョッキーになったキッカケ
「餃子」の活動を始めたキッカケとは。
今から約10年前、私は当時33歳でした。
近所に「餃子の王将」があり、毎日食べても食べ飽きない餃子にハマりました。
餃子にハマったあと、餃子パーティーをしようと思ったところ、お取り寄せ餃子がとてもいっぱいあったんです。
片っ端から餃子の取り寄せを始めました。
そこで、餃子をつくっている人たちの思いを知って餃子を食べると、より美味しく餃子が食べられると気づきました。
餃子職人たちの思いを伝導したいと思ったことが、現在の活動を始めたキッカケです。
「焼き餃子協会」立ち上げの経緯も同じ理由でしょうか。
そうですね。
2013年から「全国のお取り寄せ餃子を集めて焼く」といったイベントを開催する中、「餃子好きを名乗る人のに、餃子のことは何も知らない人が多い」と感じました。
それはとてももったいないことだと思い、「全国餃子サミット」や「全国餃子祭り」で餃子を盛り上げてきた人たちを理事へ迎え、「日本の焼き餃子文化を世界へ広める」ことをミッションに掲げ、2018年に「一般社団法人餃子協会」を設立しました。
私自身は「ギョーザジョッキー」として、餃子をつくる人と消費する人を繋ぐため、全国のお取り寄せ餃子を紹介しながら、上手く餃子を焼ける人を増やす活動を合わせてスタートしました。
しかけ株式会社含め、WEB関連の企業で会社員として働かれています。それらの経験が「餃子」の活動に活かされることもありますか?
コミュニティの運営はITなしにできません。
そういった点においては、これまでの経験がスキルとして生かされているかもしれません。
ギョーザジョッキーのやりがい、つらさ
餃子に関した活動をする上で、どのようなやりがいや楽しさを感じていますか?
「ただ餃子が好き」という人が、餃子のことをもっと知ろう・知りたいと関心が目覚めたときに活動へのやりがいを感じます。
また、餃子屋さんに焼き餃子協会のミッションをご理解いただき、イベントなどを一緒に協力してできるようになったときはとても嬉しいですね。
逆につらいな、大変だな、と思うことはありますか?
日々の「餃子代」は自分自身で支払っているので、たくさん食べた分だけお金がかかってしまうことですね。
あとは、やるべきことをやれていないとき、時間とお金のせいにしてしまう自分の弱さにもつらさを感じます。
自分の弱さを理解しながら、粛々とやるべきことを一つずつやっていくことで、一歩ずつ前進しています。
ギョーザジョッキーとしての目標
どのような思いを持って「餃子」に関する活動をされていますか?
「焼き餃子を日本人の義務教育にする」という思いを持ち、活動しています。
餃子はすでに国民食と思われています。
しかし、「自分たちの食べている餃子の原材料をどこの誰がつくっているのか」「なぜその原材料たちが選ばれているのか」「それら原材料をもとに餃子職人はどのように美味しい餃子へと仕上げているのか」などを知る人はとても少ない現状があります。
それらを知ることで、地理的・気候的な学びや調理の科学を理解できるのではないでしょうか。
餃子は戦後の日本で焼き餃子として進化しました。
「どうして日本では水餃子ではなく、焼き餃子なのか」を理解することで歴史を学ぶことも可能です。
このように、焼き餃子を通じて学べることがたくさんある。
だからこそ、焼き餃子を日本人の義務教育にしたいと考えています。
今後、餃子の活動を通して目指していることを教えてください。
消費者のみなさんと全国の知られざる餃子屋さんとのタッチポイントを増やしていきたいと考えています。
加えて、ラーメンや日本酒などのように餃子屋さんも銘柄指定される世界を目指します。
そのためにも、焼き餃子協会が企画するイベントや催事、メディアなどの発信を通して、今あるそれぞれの餃子屋さんのブランド化を進めていきます。
好きを仕事にしたい人に向けてメッセージを
最後に、好きを仕事にしたい方へメッセージをお願いします。
好きなことは好きなようにやればよいと思います。
ただ、その好きを仕事にするのなら、自分のためではなく社会のために。
社会のためにやるからには、多くの人に着目されなければいけません。
そして、多くの人に着目されるためには、誰よりも速く、誰よりも多く行動して、小さくてもトップランナーにならないといけないと思います。
小野寺さんに聞く、焼き餃子(餃子)の3つの魅力
1. 日本の食文化として、多くの人に知られる価値がある
大陸から渡ってきた“主食料理”の餃子が、日本では“おかずの料理”の焼き餃子として進化しました。
全国各地で、地域に根ざした食材を包み、お店ごとに個性のある歴史を刻んでいます。
酒やラーメンのように日本の食文化として注目されるべきものだと考えています。
2. コミュニケーションツールである
焼き餃子は老若男女に愛される料理です。一つひとつが小さく、さまざまなアレンジを楽しめます。
そして、焼き餃子があるところに人は集まります。
世代や性別、住んでいる地域を超えてつながる料理ではないでしょうか。
3. 生きる活力を与えてくれる
野菜、肉、小麦粉からなる餃子は、必要な栄養をバランスよく吸収できます。
冷凍庫で餃子を保存しておけば、茹でたり焼いたりしてすぐに小腹を満たせます。
生産者の愛を手軽に摂取できるのが、餃子の魅力だと思います。
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