飲食店の店長の仕事の良いところ・覚悟しておくべき点と心がまえ
私は以前、飲食店で店長をしておりました。
現在は別の業種で働いておりますが、今回はこれから飲食店で勤務したいと思っている方に飲食店で働くこと、店舗管理業務に説明していきたいと思います。
飲食店での店舗管理業務とは、「人、もの、金」の管理をすることがメインの仕事です。
そこで働く、従業員、在庫、売上の管理ですね。
従業員の管理とは、店舗で勤務するスタッフのシフト、労務の管理です。
扶養控除内での勤務であれば労働時間を調整したり、毎日のシフトを作成します。
ものの管理とは、店舗の商材の管理です。主には食材の管理。
入ってくる食材、出ていく食材、残りの食材。
しっかりと管理するとはとても大事な仕事になります。
金の管理とは、そのままです。店舗のお金を管理します。売上、支払い、入金をします。
世間的にはよく、「きつい、汚い、賃金も安い。つまり油まみれで働くことが多い」ハードな仕事と思われています。
ですが、当然、働くことで良いところもたくさんあります。
飲食店での店長(管理業務)仕事の良いところ
- 裁量を与えられ、自分の勤務スタイルで働くことができる
- 食品衛生の知識を得ることができる
- 経営を学べる
裁量を与えられ、自分の勤務スタイルで働くことができる
すべての責任は店長にあり、店長として「人、もの、金」の管理をします。
アルバイトスタッフの労務管理、シフト管理もしますので、その中で、自分がどのポジションで働くかを決定するこができます。
厨房内で調理をすること。
ピークタイムに作業の指揮をとること。
また店舗にはおらず、営業を進めていくこと。
私も、すべて実施していました。
特に繁忙期の12月には、クリスマスのオードブル、お正月の料理の営業に役所や農協や、漁港などに行きました。
提案していく中で、毎シーズン購入していくれる会社様も増えていくことがすごくやりがいがあり、嬉しかった記憶があります。
このように働き方は店長の裁量に任されています。
自分のスタイルで働いていくことは他の業種ではなかなかできないと思いますよ。
勤務時間についても同様に裁量に任されています。会社に通勤して定時に帰宅するという生活とは真逆です。
休日の管理も自分次第。
休みたければ休みを増やし、働きたければ働く。
今日は3時間だけ働き、明日は10時間働くというような働き方も私はしていました。
もちろん、売り上げの管理もあるため、労働時間と売り上げのバランスはとらなければなりません。
食品衛生の知識を得ることができる
夏場に多く発生する食中毒のニュースを目にすることがあります。
店舗運営をする上で、必要になるのが食品衛生責任者の資格です。(店長として必須スキル)
なぜなら食品を扱うということはお客様の健康にも責任があるからです。
食材の状態によっては健康を損なう恐れがありますので必ず、知識として理解しなければならないのです。
食中毒細菌が体内でどのように影響するのか、また潜伏期間や症状なども学ぶことになります。
この知識は食べることで生きていく人間にとってはとても役立つ知識となります。
特に生魚や、生肉を取り扱うときは注意が必要となります。
私も店舗を営業していく中で、一番注意を払っていたのでが、食材の管理でした。
開封した食材の消費期限を徹底順守することで、安全、安心した料理を提供できるからです。
経営を学べる
店舗には自分以上の上司はいません。
なぜなら店舗の責任者は店長だからです。会社で言えば社長です。
規模ば大きくはありませんが、「小さな会社の社長」のイメージです。
例えば
「従業員が勤務中にけがをした」
「お客様からのクレームが入った」
あなたならどうしますか?
もちろん、店舗には課長も部長もいません。相談することもできないのです。
緊急時には会社の上司に相談するケースはごくまれにありますが、基本は店舗で発生したトラブルはすべて自分で解決しなければなりません。(その後に本社の直属の上司に報告)
だからこそ営業していくとはどういうことか、学ぶことができます。
自分がやるしかないからです。決断することができるのは店長だけなのです。
飲食店での管理業務の覚悟すべきところ
- 休みが不規則(自身のスキルで改善はできる)
- 責任重大(プレッシャーもある)
休みが不規則(自身のスキルで改善はできる)
会社と違い土日祝がやすみではなく、店舗は基本年中無休がほとんどです。
だから、自分が休みでも店舗は営業していることがあります。
自分が休み取っている時に、店舗でトラブルが起きることもあります。
その時、あなたならどう考えますか?
もちろん休みだから対応できないとはいえないです。
答えはもちろん「すぐにかけつける」です。
店舗はよく、子供に例えられます。
自分が休みの日に、子供が風邪をひいて高熱が出た場合、あなたは「休みだから、対応できない」と言いますか?
もちろん言いませんよね。すぐに病院に連れていくと思います。
店舗も同様です。店舗で何かトラブルが起これば対応します。
対処後に、別の日に代休をとるようにします。
上記のようなトラブルが起きないよう、もしくは起きてもすぐに対応できるようにシフト管理は慎重に決定し、特に自分の休みの日はバイトリーダーなどを置いて対応してもらうという方法もあります。(その人には時給を+)
ですが、大きなトラブルの時はやはり店長が対応すべきだとおもいます。
また、バイトリーダーなどを置き、店舗を長く管理していると、スタッフとのコミュニケーションも向上し少しずつトラブルは減るようになっていきます。
意思の疎通がスムーズになるからです。そして売り上げも上がっていくようになる。
スタッフと店長の信頼関係が向上し、同じ目的を持つようになり、一人ひとりがアクションプランを計画、実行できようになり、サービス、品質が向上するからです。
マクドナルドなどもそうですが、店舗は
・S(サービス)
・Q(クオリティ)
・C(クリーンネス)
を向上させていくことが目的となります。(=売上アップ)
SQCを向上させ、自分がゆっくり休める環境を整えていくことも店長の大事な仕事の一つになります。
ですが、勤務時間や、休日は不規則になりやすい職種です。
土日はゆっくり休みたい人には向きませんので、覚えておいてください。
責任重大(プレッシャーもある)
店舗は1中小企業と一緒です。売り上げの管理は最重要。
なぜなら店舗は売り上げがあって成り立っている。赤字になったら企業なら倒産です。
アルバイトの管理もせずに、好き勝手に休んだりしたら、品質やサービスが低下。
当然売上が減ります。
店舗を閉店することになったらそこでは働けなくなってしまいます。とても重大です。
プレッシャーに感じのが好きではない人には向かないかもしれませんが、責任ある仕事がしたい人にはとても向いていると思います。
飲食店での店長が心がけておくべきこと
最初は店舗で一から基本作業を学び、経験を積んだのちに店長に昇格します。
アルバイトと同じ作業をすることに対して、卑屈になったり、やる気をなくしてしまい辞めてしまうケースを何度も見てきました。
でも本気で目指すなら必ず覚えておいてほしいことがあります。
- 自己管理をしっかりする。(心身ともに)
- 仕事で人は成長できる
自己管理をしっかりする。(心身ともに)
店長は孤独です。自己管理をしっかりしなければなりません。
なぜならすべて自分で判断しなければならないからです。
以前、私は、新店舗をまかされる事がありました。
広告も出しているため、すごく忙しく、毎日12時間以上働き続けたことがありました。
日々の業務をこなすことで精一杯で、ある日交通事故を起こしました。
幸い、けが人はいませんでしたが、相手の車の車両をこすってしまい、とても情けに気持ちになりました。
気持ちに余裕がなく、運転が疎かになってしまったのだと気が付きました。
無理に働いてもパフォーマンスが低下し、精神的にも疲弊してしまいます。
そこれからは少しでも休める時は休むようにし、心身共に活力ある状態を維持するように心掛けるようになりました。
生活習慣にも変化がありました。帰宅してからの飲酒を抑える、ストレスで食べ過ぎることがありましたが、食事もカロリーや食事時間も深夜にならないように意識するようになりました。
働く以上は心身共に、健康でなければなりません。自己管理はしっかりしていくようにしてください。
特に疲れた時は適度の休憩が大事だとわかりました。
また眠たいときに20分程度の昼寝も効果的ですので、おすすめです。
仕事で人は成長できる
人は仕事で成長できます。
なぜなら嫌なことでもしなければならないから。
嫌なこと、避けたい事に立ち向かうことによって忍耐力、精神力も培われます。
またどんな逆境にも耐えることができるようになる。
以前、福祉施設の担当者から配達弁当の相談がありました。
施設の担当者の要望は
「注文のお弁当を流動食状態にして毎日30個配達してほしい」
という要望でした。
施設の入居者さんの中には、咀嚼ができずに、流動食をとっている人が多数いるということでした。
金額は500円か600円くらいだったと記憶しています。
一度、検討すると伝え、考え悩みました。
流動食にするなんてことはもちろん一度もありません。
ジューサーで弁当をペースト状にして持ってきてくれればよいとのことでした。
数日悩みましたが、施設の担当者にはお断りすることを伝えました。
やはり、リスクが高すぎました。
ペースト状にした弁当の消費期限はどうなるのか、ペースト状にしたことによって配達時に、漏れてしまわないか。
スタッフにかなりの工数、負担を強いてしまう。
以上が理由でした。
こういったケースは稀ですが、日曜日のイベント時に注文がいきなり入ることなどもあります。
どうするか迷うケースなどもあります。
その時々の、店舗の人員状況、対応できる範囲を客観的に俯瞰的に判断することで、人間的にも社会人としても間違いなく成長できます。
決断することができる人だけが成長していくのです。
指示されたことをやっているだけでは人は成長しません。
飲食店での勤務を目指す人はどんな志望動機があるのでしょうか。
私は大学時代にアルバイトで働いたきっかけで正社員とて勤務しました。
私の動機以外にも「親が商売しているから」とか、「経営者になりたい」からといった人が多いのではないでしょうか。
サービス業というのは昔からきつい商売と言われています。
以前は3Kと言われていた時がありました。
3Kとは(きつい、汚い、危険)の頭文字のKからきています。
クレームを言われたり、食べ残しの掃除やトイレの掃除、油の掃除もたくさんします。
ですが、かならず、その困難は自分を助けることになります。
なぜなら困難を経験したことがなければ人の苦しみを理解してあげることができないから。
人の苦しみとは、つまり人の悩みや問題です。
悩みや問題を解決してあげることが商売の基本なのです。
例えば、
・体型に自信のない悩んでいる人にスポーツジムを紹介
・おなか一杯食べたいけど、使える予算が少ないけどどうしよう・・と悩んでいる人にブッフェ形式のレストランを紹介
などです。
苦しみや、悩みを解決してあげられるのは自分が苦しみや悩みを感じたことがある人だけです。
苦しく大変な仕事ですが、やりがい、達成感は格別です。
売り上げがあがった。客数が増えた。喜びの手紙をお客様からもらったなどです。
2020年はコロナ禍により、特にサービス業全体がかなりの打撃を受けました。
倒産する飲食店や旅館などが毎日のようにテレビのニュースから流れてきます。
ですが、やりがいや達成感は格別です。
自分を見つめなおし、厳しい環境に身を置いて成果を上げてみたいと思うなら是非飲食業界にチャレンジしてください。