【日本グミ協会会長】「グミの楽しさを伝えたい」会社員と“好き”を両立する武者慶佑さん

好きを仕事にしてる人を紹介するインタビュー記事。
今回は、会社員をしながら日本グミ協会の会長をしている武者慶佑さんからお話を伺います。

「日本グミ協会」の活動について

武者さんは普段からどのくらい「グミ」を食べているのでしょうか?

よく聞かれるのですが、実は量は多くなくて……1日1袋、多くても2袋程度だと思います。

ただ、家には常時100種類以上のグミがあり、1袋を丸っと食べるのではなく、気分に合わせて食べたいものを少しずつ食べる生活です。

小袋でチャックがついていることの多い日本のグミだからこそできる、贅沢な食べ方かなと思っています。

「日本グミ協会」の活動内容について教えてください。

TwitterやInstagramなどのSNSを軸に、「#日本グミ協会」のハッシュタグを活用したグミファン同士の繋がり、販売されているグミのレビュー、定期イベント「グミパーティー(通称:グミパ)」の運営、年に一度のグミの日(9月3日)に向けたキャンペーン設計などを行っています。

日本グミ協会の活動では個人事業主のような収入はありません。

仕事として活動を始めたわけではなく、私の趣味をグミメーカー企業さんが応援してくれた結果、予算が付いています。

グミの日に向けた活動をする上で一部仕事のような面もありますが、通常の活動は趣味です。

日本グミ協会自体も会費の収入は実施していないため、直接的な収入は得ていません。

グミの日に向けた企画や制作を代理店の立場で行った売り上げ、時々執筆したメディア出演などでフィーをいただくことはあります。

しかし、報酬のすべては会社に入れているため、私個人としての収益はありません。

「グミ」に関する活動の収入とスケジュール

普段はどのようなお仕事で収入を得ているのでしょうか?

株式会社シェアコトで、さまざまな企業のプロモーションプランニングやSNSの戦略構築を行っています。

サラリーとしての収入が10、日本グミ協会としての収入がゼロです。

日本グミ協会で実施しているグミの日に向けたプロモーション制作は、私がサラリーマンとして勤務しているシェアコトから企画制作を受けています。

そのため、売り上げがあったとしても会社の売り上げとして計上されます。

しかし、趣味を会社の仕事として昇華することを認めてくれる会社の環境があるからこそできる活動であり、継続できているのではないかと思っています。

どのようなスケジュールで「グミ」に関する活動をしているか教えてください。

日常的には新作のグミが販売されたら購入してすぐにツイートします。

仕事の合間やSNSのトレンドになっている瞬間を見つけたら、撮影やネタの投稿をしていますね。

年間を通して考えると、グミの日に向けてメーカー様と「GUMMIT会議」を毎月定例で実施したり、3月9日は「ミーグーの日」、夏は「冷やしグミパ」、クリスマスは「グミスマス」……思いついたタイミングでイベントを実施したりしてきました。

現在は不定期で、日本グミ協会のメンバーとオンラインでグミを食べながら最近のグミ事情を話し深く交流する「オンライングミパ」を開催しています。

「グミ」に関する活動を始めたキッカケ

幼少期からグミがお好きだったのでしょうか?

好きでした。

グミは子どもの咀嚼力を高めるためのお菓子として、100年前にドイツで生まれました。

おそらく日本にグミが根付いたのは80年代後半~90年代頃。

そのため、私が幼少期の頃(80年代)はあまり日本にグミが流通していなかったはずですが、父親が歯科系の仕事でドイツと接点があったため、輸入お菓子や歯科のお菓子としてグミと触れ合っていました。

日本に根付く前から英才教育的にグミを食べていたのだと思います。

現在の働き方に至った経緯を教えてください。

日本グミ協会の活動を仕事と捉えるのであれば、目指したキッカケは「実験」です、協会を設立する以前から会社でSNSを活用したプロモーション設計をすることが多くありました。

その中で、自分の好きなグミをSNSハックして時代に広めていくことができるのではないかと思い始めたのです。

普通であれば「趣味は仕事にしない」「趣味を仕事にしたとしても挫折する」と考えています。

しかし、私の場合は「本業の中の実験」として趣味を取り入れたため、継続することができました。

失敗が許される状況であったから目指すことができたのかなと思います。

2013年に日本グミ協会を設立し、グミ市場にSNSでインパクトを残すことを考え、いずれ何かしらの企業予算(スポンサー)がつくだろうと考えていました。

とはいえ、最初の3年くらいは特に予算もつかず、あくまでも本当に趣味として活動していた感じです。

なので、収益を得るどころか自ら投資をしていました(年間10万円くらい)。

「グミ」に関する活動の楽しさ、つらさ

「グミ」の活動をする上で、どんな場面に楽しさややりがいを感じていますか?

2013年くらいから、たまたまお菓子市場の中でグミの成長が大きくなってきました。

一消費者でありながらも、メーカー企業様と一緒に、グミの成長を感じることができたとき、とても楽しく感じました。

また、SNSでフォロワー数が増えたり、グミの日がワールドビジネスサテライトに取り上げられたり、イベントに500人も来場したり…グミで何かが動く瞬間をつくれたときは、やりがいに繋がります。

逆につらいな、大変だな、と思うことはありますか?

私はグミを販売しているわけではなく、一消費者です。

特定のグミを直接的に販売することを求められたとき、自身の力不足を感じます。

特定のグミを売るためではなく、「グミ全体の楽しさ」を伝えるために活動をしているつもりですが、「グミの楽しさを広げること」と「特定のグミを売ること」はギャップが生じてしまう。

しかし、売れてこそ楽しさが広がることもあるため、ギャップを埋めていけたらいいなと思っています。

また、これまでの6年間会社の中で一人で日本グミ協会の活動をしてきたので、孤独を感じていました。

しかし、2020年になってから日本グミ協会の活動を通じて知り合った子が新卒で弊社に入社してきてくれたのです。

今は会社の仲間とも日本グミ協会をちょっとずつ楽しむイメージもついてきています。

「グミ」に関する活動の目標

どのような想いを持って「グミ」に関した活動に取り組んでいますか?

これまではとにかくガムシャラに活動をしてきたと思います。

グミの楽しさを伝えるため、基本的には躊躇せずに思いついたアイデアを実行していくことが全てだと考え、身もお金も削って実行してきました。

その結果、今はやりたいことや考えていた想いが大体叶ったので、これといった強い想いはないかもしれません。

それより、一歩引いたところから、個人に依存しない日本グミ協会をどうすればつくれるかと考えながら活動に取り組んでいますね。

今後、「グミ」に関する活動で目指していることを教えてください。

一つ大きな目標としては、近い将来、バレンタインデーやポッキーの日のように「グミの日」をつくることが目標です。

ただ、日本グミ協会は私個人が楽しむだけではなく、グミが好きな人のコミュニティであると設立当初から思っています。

会長という肩書を持つ人間が、展望やビジョンを語っていかなくてはいけないわけではないと考えています。

それは個人に依存しているため、継続するのは難しいでしょう。

なので、今年以降は私自身はなるべく前に出ず、消費者が主体となり自然にグミの楽しさが広まっていく仕組みをつくれればいいなと思っています。

好きを仕事にしたい人に向けてメッセージを

最後に、好きを仕事にしたい方へメッセージをお願いします。

「好き」を個人の好きのまま終わらせるのではなく、市場の「ニーズ」を知り、「好き」と「ニーズ」を融合できるかが重要です。

自分の「好き」を仕事にしようと考えたとき、自分が好きであるのだからほかの人にとってもニーズがあると思うことがあるでしょう。

しかし、往々にしてニーズはないものです。

多くの方は好きを仕事にできずに終わってしまうと思います。

私は「好き」を仕事にしたというより、自分の行っていた仕事の中に自然と「好き」を取り入れることができました。

それができたのは、ほかの人にとってニーズがあるかを調べる習慣があったから、ニーズに気づき、活動に踏み切れたのだと考えています。

「好き」に手を出す前に、一度世の中のニーズが掴める会社でニーズを見極める力を身につけてから、「好き」と「ニーズ」を融合するのが一つの手だと思います。

私の場合、30歳を超えてから初めて「好き」と「仕事」の融合ができました。

焦らず、まずは目の前にある仕事を楽しんでみてください!

武者さんに聞く、グミの3つの魅力

1. 自由さ
味・色・形・食感…グミには答えがないことが魅力であると思います。

一人ひとり、お気に入りのグミがきっと見つかるはず。

2. 豊富なフルーツ
日本の美味しいフルーツを、グミというお菓子の中に閉じ込められるのが魅力です。

季節やご当地など、さまざまなフルーツをグミにできるのです。

3. グミュニケーション
グミを通して、SNSやリアルで多くの人と繋がることができました。

もしかしたらグミではなくてもできるかもしれません。

一方でグミであるからこそ(SNSで映える食べ物でもあるため)、コミュニケーションがつくりやすかったかもしれません。

私はこのグミでできたコミュニケーションを「グミュニケーション」と呼んでいます。

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