漫画家を目指しながら生活する方法 【メンタル編】
漫画家を目指しながら生活するためのポイントは
・お金(生活費の工面ができるかどうか)
・時間(マンガを描く時間を確保しやすいかどうか)
・メンタル(将来への不安が軽減されるかどうか)
この3つです。
前回はお金と時間についてお話しました。
今回は【メンタル編】ということでお話していきたいと思います。
漫画家志望の不安の正体
これは漫画家志望の時に限らず、デビューした今でも言えることなのですが、漫画家を志す上で、ある程度の不安はつきものだと思います。
なぜかというと漫画というものは編集部や読者という、自分ではない誰かに評価してもらって初めて成り立つものだからです。
その作品の評価基準が自分ではなく他人にあるという性質上、自分がいくら面白いと思って描いた漫画でも、「思ったより評価されない・・・」という可能性はゼロにできません。
一生懸命がんばって描いた漫画を評価してもらえないと悲しいし今後が不安になりますよね。
私も不安にかられて作業に集中できず、せっかくの時間を無駄にしてしまったという日も少なくありません。
漫画家になるためには批評に負けないくらいのメンタルの強さが必要です。
とはいえ、私自身もとからメンタルが強かったわけではありません。
メンタルを強く持て!と言われたからといって強く持つのは難しいですよね。
ではどのようにしてメンタルを保てるように意識したらいいのか。
私がどのような考えの変化があって将来の不安と向き合うことができるようになったのかをまとめていきたいと思います。
自分自身の軸を持つ
その作品の評価基準が他人にあるからこそ、編集部や読んでくれる人の批評・感想を素直に受け入れることは大切です。
でもそれとは別に「自分自身の軸」というものも持っておくといいと思います。
①自分の中で小さな課題を作る
②「何になりたいか」じゃなくて「どう生きたいか」
③根拠のない自信を大切にする
①自分の中で小さな課題を作る
プロの漫画家になるためにクリアしなくてはいけない課題は多いです。
だからこそ、完璧な作品を仕上げるまで投稿しないという人もいるかと思います。
でも作品をひとりで描いているとどうしても盲目的になり、作品を客観的にみれずに迷いが生じることもあります。
完璧ではない作品を投稿して、いい評価が得られないのは怖いことかもしれません。
それでも たった1作で完璧を目指すということもまた難しいことです。
↓
人に見てもらう・結果・批評
↓
自分の作品を客観的に見る
実は、この期間が一番成長の度合いが高いんじゃないかと思うんです。
もちろん適当な作品をやみくもに量産しても成長はありません。
必ず、例えば「今回の作品でベタをきれいに塗るコツがわかった。次は背景をもっと描きこもう!」など、自分の中で「これならできそうだな」と思えるくらいの小さな課題を作ります。
そうして次の作品を完成させた時に、その自分の小さな課題をクリアできていればOKです。
このように編集部の評価基準とは別に自分の中での評価基準も持っておくと
例え成績が上がらなかったとしても「でもこれができるようになったからOK!」と思えてへこたれにくくなります。
一度で全てできるようになる必要はありません。
この小さな課題を一作ずつこなしていくうちに、どんどん「できること」が増えていき、「これならできそうだな」と思える小さな課題もどんどん増えていきます。
結果にこだわりすぎず、ただそれを「繰り返す」ということだけを意識します。
そして批評は、新しい課題という感覚で受け取るのがいいと思います。
完璧ではなくその時点での自分の全力を目指しましょう!
② 「何になりたいか」じゃなくて「どう生きたいか」
前回から大きく成績を落としてしまった時です。
今まで現状維持か成績が上がるかのどちらかで、明確に成績が下がるのは初めてでした。
でも比較的すぐに立ち直ることができたのは、その結果が出た時すでに次の作品を投稿済みで、更にまた新しい作品に取りかかっている時期だったからだと思います。
漫画家を目指すことにより落ち込み、漫画を描くことで救われたような感覚です。
それは毎月連続でどんどん投稿していこうと自分を追い込んでいる時期でした。
「こんなにがんばってるのに成績が下がったってことは自分はもう漫画家になれないのかな」と落ち込みました。
でもだからといってその次に投稿したものの結果はどうかわからないし、今描いてる漫画を描くのは楽しいから、辞めるという選択肢はない。
「どんなに評価されなくても、結局漫画を描くのが楽しい」
私は漫画家を目指し始めてから、ブランクが4年ありました。
その時期と比べたら、漫画を描けるようになっただけで十分幸せだなって思ったんです。
私は漫画家になりたいんじゃなくて、漫画が描きたいんだということに気づいたんです。
そう考えたら私は、「漫画家志望生活を再開できるようになった時点で夢が叶ってるじゃないか」と思いました。
もちろん、漫画家になれた方がたくさん漫画を描く時間を取れるけど、漫画家になれないと漫画が描けないわけじゃない。
「漫画を描くことができる」なら、「漫画家になる」ということに固執しなくてもいいんじゃないか。
人生の転機が訪れて、また漫画を描く時間が取れない状況に陥ったとしても、やりたい気持ちがあるのなら諦める必要はない。
また描く時間を作る努力をすればいいし、それでも難しいならまた描ける時が来るまで待とう。
漫画家を目指し始めることが遅くなったことをずっと後悔してたけど、「おばあちゃんになってもりぼんに投稿し続けても、それはそれで面白いじゃん!」と開き直りました。
過去への後悔や未来への不安は努力の手を止める原因になります。
自分自身が
それに興味をなくした時か
もっと別のやりたいことを見つけた時
夢は誰にも奪われない。続けるか続けないかは自分で決めていいんだ!と思えた時、後悔や不安をふっきって目の前のことに集中できるようになりました。
③根拠のない自信を大切にする
目指し始めた当初の私は、全然不安を感じていませんでした。
「きっと漫画家になれる!」という根拠のない自信があったんです。
実際漫画家を目指してみると
「思ってたように描けない」「思ってたより時間が取れない」「思ってたより評価されない」
思ってたのとは違う現実に触れていくうちに将来への不安が生まれていきます。
それでも目指し続けてこれたのは、その自信に最初から根拠がなかったからです。
根拠がある自信は、その根拠が失われた時、一緒に自信までなくなってしまいます。
でも初めから根拠がない自信は自分自身で手放さない限り失われません。
だから無理に根拠を探そうとしなくていいんです。
逆に、なぜ人は自信に根拠を求めたくなるかというと根拠があった方が他人に納得してもらいやすいからです。
でも他人がそれを納得してもしなくても、結局努力するのは自分です。
私自身、漫画家の夢をもう一度父に打ち明けることができたのは賞金10万円の賞をいただけた時です。
根拠は後からついてきます。
根拠のない自信はやる気につながります。
周りの目や誰かに何を言われたとしても、その「根拠のない自信」は自分の中で大切に持ち続けてください。
現状に満足してしまうとそこで成長が止まってしまいます。
「今回はできなくても次はきっとできるようになる!」という自分はもっと成長できるんだ!という自信です。
現状は現状として受け入れ、きっとできるようになる!と思うことができれば、目の前のことに集中できるようになると思います。
まとめ
漫画家志望歴10年の間、色んな人に色んな事を言われてきました。
ポジティブなこともネガティブなことも 人によってさまざまです。
その言葉たちを全て吸収しようと思うと自分自身がパンクしてしまいます。
どの言葉をどのように吸収するかは全て自分次第です。
その取捨選択をするためにも自分自身の軸を持つことが必要なんです。
評価基準を他人に委ねすぎると努力して評価されなかった時メンタルがしんどくなります。
とはえいえ、自分で自分を正しく評価することもまた難しいので
他人の評価と自分自身の軸、このふたつ両方のバランスが大事だと思います。
今回の内容はもしかしたらすぐに飲み込むのが難しい人もいるかもしれません。
でも自分の心を観察しながらトライ&エラーを繰り返していくと、自分自身の軸が見つかると思います。
次回は私の初めての持込体験記と交えて、【特別な才能よりも大切なこと】についてお話していきたいと思います。
漫画家志望時代から運営している個人のブログでも様々な発信をしてますので、
こちらもぜひご覧ください!
→www.mizoguchinano.work