テーマパーク・遊園地スタッフになるには? 仕事内容や資格、年収なども解説

「テーマパークスタッフ」とは

テーマパーク・遊園地スタッフになるには? 仕事内容や資格、年収なども解説

来園者をもてなす仕事。案内から店舗での販売、清掃など、多岐にわたる業務を担当する。

テーマパークスタッフとは、アトラクションやショー、展示物などで人々を楽しませる「テーマパーク」に勤務する人のことを指しています。

来園者が快適に、楽しい時間を過ごせるように、アトラクションの受付や誘導、案内、店舗での販売、飲食の提供、清掃など、園内のあらゆる業務を担当します。

テーマパークスタッフには特別な資格や学歴は求められませんが、ホスピタリティ精神や明るい笑顔、人当たりのよさなどが必要とされます。

また、来園者の安全を守るという責任感も欠かせません。

テーマパークスタッフはアルバイトやパートとして働く人も多く、社員としてテーマパークの運営会社に就職した場合場合、多くのスタッフたちをまとめ上げることも大事な業務の一部となります。

立ち仕事が多く体力を要することもあって、比較的若い年代のスタッフの活躍が目立ちます。

「テーマパークスタッフ」の仕事紹介

テーマパークスタッフの仕事内容

テーマパークの来園者が、楽しい時間を過ごせるよう「おもてなし」をする

テーマパークスタッフとは、テーマパークに勤務し、来場者が楽しい時間を過ごせるように接客やガイド、ショーのダンス、販売などの仕事をする人たちのことです。

各地に多種多様なテーマパークがあり、それぞれで趣向を凝らしたアトラクションやショー、イベント、展示物などが用意されています。

テーマパークスタッフは、子どもからお年寄りまで、あらゆる来園者がパーク内での時間を存分に楽しめるよう、最高のおもてなしを提供します。

安全にも十分注意し、お客さまの突然の体調不良や落とし物などがあった際には、速やかに適切な対応をとります。

各テーマパークには独自の世界観やコンセプトが設定されているため、そのイメージを損なわないような振る舞いをすることが大切です。

テーマパークスタッフのさまざまな仕事の種類

テーマパークスタッフの具体的な仕事内容は、以下のように多岐にわたります。

・チケット販売スタッフ
・ガイドスタッフ
・ショップスタッフ(販売)
・レストランスタッフ(調理/ホール)
・アトラクションスタッフ(誘導や案内)
・ショーダンサー
・救護スタッフ
など

このほか、お客さまの目には直接ふれない「裏方」の仕事も存在します。

たとえばパーク設備の点検や管理、運営や企画、事務などが挙げられますが、これらもテーマパークを営業するうえでは欠かせない仕事です。

大きなテーマパークになるほど多数のスタッフが活躍しており、配属された持ち場で協力しながら仕事をします。

テーマパークスタッフになるには

テーマパーク運営会社への就職が一般的

テーマパークスタッフになるまでのルート

テーマパークスタッフになる代表的な方法は、テーマパークを運営する会社へ就職することです。

特別な資格は必要なく、学歴もそこまで重視されませんが、正社員の採用はさほど多くないため、狭き門と考えておく必要があります。

また、会社によっては、本社で企画や商品開発などを担当する「総合職」と、現場(パーク内)の仕事する「パークスタッフ」は別の区分で採用を行っているため、その点にも注意が必要です。

たとえば「ディズニー」で有名な株式会社オリエンタルランドの新卒採用では、パーク運営に直接従事する社員は「テーマパークマネジメント職」として募集されます。

小さなテーマパークだと、正社員は年間で数名しか募集しないこともあり、非常に高倍率になる傾向です。

アルバイトから社員になる人もいる

テーマパークスタッフは、どちらかというと正社員よりも、アルバイトやパートとして働く人のほうが多いです。

スタッフのほとんどがアルバイトやパートで、その人たちのマネジメントや教育を担当するのが社員というケースがよくあります。

こういった事情もあり、まずはアルバイトとして働きはじめ、将来的に契約社員もしくは正社員を目指す人も多いです。

全員が社員になれるとは限りませんが、仕事に前向きに取り組んで働きぶりが評価されれば、社員に登用される可能性が高まるでしょう。

テーマパークスタッフの学校・学費

基本的に学部・学科は不問

テーマパークスタッフになるために、必ず通わなければいけない学校はありません。

大学や専門学校、高校などを卒業してからテーマパークに就職するのが一般的です。

調理や技術(乗り物の整備など)、ショーキャストなどの専門職を志望する場合は、必要なスキルに応じた学校やスクールに通うとよいでしょう。

また、現場スタッフのマネジメント職として活躍する「正社員採用」を目指す場合には、大学に進学しておくほうが有利になる場合があります。

学部・学科や専攻が問われることはありませんが、観光学やホスピタリティ関連を学んでいると、面接などで強みをアピールできます。

テーマパークスタッフの資格・試験の難易度

専門職でなければ、特別な資格は必要ない

レストランで働く「調理師」などの専門職を除けば、通常、テーマパークスタッフとして働くために取得が求められることはありません。

各テーマパークの運営会社が実施する採用試験に合格すれば、基本的には誰でもスタッフとして働けます。

学生やフリーター、主婦など、さまざまな人がアルバイトやパートとして多く活躍しています。

正社員として就職する人もいますが、その際にも資格の有無で採用が大きく有利・不利になることはないでしょう。

強いて言えば「サービス接遇検定試験」や「手話技能検定試験」などは、持っておくと実務で役立つかもしれません。

とはいえ、テーマパークスタッフは接客業の経験や、テーマパークで働きたいという熱意、おもてなしの心を持っているかどうかのほうが重視されます。

テーマパークスタッフの給料・年収

非正規雇用で働く人が多いため、平均年収は低め

厚生労働省の令和5年度賃金構造基本統計調査によると、テーマパークスタッフの平均年収は、39.6歳で363万円ほどとなっています。

テーマパークで働いているスタッフの多くはアルバイトやパートで、給料は「時給制」となっているため、正社員ほどの収入は見込みにくいです。

大手企業が運営するテーマパークを除くと、年収は300万円未満になるケースもめずらしくないでしょう。

正社員として勤務する場合には、もう少し高めの収入になると予想されますが、本部の「総合職」などで採用されている人よりは、やや低めの給与水準になることが多いようです。

テーマパークスタッフが収入を上げるには

テーマパークスタッフは、先述した通り非正規雇用で働く人が多く、高い収入は望みにくいです。

長く働くうちに時給が上がることは十分に考えられますが、微々たるものと考えておいたほうがよいでしょう。

したがって、テーマパークスタッフとして収入を上げるには、正社員として採用されるのを目指すのが一番といえます。

正社員になれば、各社が定める福利厚生やボーナスの支給なども受けられるため、より安定した働き方ができるようになるでしょう。

テーマパークスタッフの平均年収・月収・ボーナス

テーマパークスタッフの平均年収_2023

厚生労働省の令和5年度賃金構造基本統計調査によると、テーマパークスタッフの平均年収は、39.6歳で363万円ほどとなっています。

・平均年齢:39.6歳
・勤続年数:9.3年
・労働時間/月:163時間/月
・超過労働:6時間/月
・月額給与:274,700円
・年間賞与:328,700円
・平均年収:3,625,100円

出典:厚生労働省「令和5年度 賃金構造基本統計調査」
テーマパークスタッフの年収の推移_r5

※平均年収は、きまって支給する現金給与額×12ヶ月+年間賞与その他特別給与額にて計算。
※本統計はサンプル数が少ないため、必ずしも実態を反映しているとは限りません。

テーマパークスタッフの勤務先の規模別の年収(令和5年度)

テーマパークスタッフの年収は、勤務先の規模が大きくなるとやや高くなる傾向があります。

10〜99人規模の事業所に勤めるテーマパークスタッフの平均年収は340万円、100〜999人規模は365万円、1,000人以上の規模では380万円、10人以上規模の事業所平均は363万円となっています。

テーマパークスタッフの年収(規模別)_r5

上記グラフの基タイトルは「娯楽場等接客員」でキャディなど他職業を含むデータです。

賃金構造基本統計調査より作成。本統計は調査の母数が少ないため、必ずしも実態を反映していない可能性があります。

テーマパークスタッフの勤務先の年齢別の年収(令和5年度)

テーマパークスタッフの年収を年齢別に見ると、300万円~400万円がボリュームゾーンといえそうです。最も年収が高い世代は、40~44歳の423万円です。

全年代の平均年収は363万円となっています。

テーマパークスタッフの年収(年齢別)_r5

上記グラフの基タイトルは「娯楽場等接客員」でキャディなど他職業を含むデータです。

テーマパークスタッフの現状と将来性・今後の見通し

多くの人に夢を与え続けていけるが、景気などに左右される面も

テーマパークスタッフは人気が高い職業ですが、運営会社の正社員として就職できるのは、ほんの一握りとなっています。

一方で、パーク内で働く現場のスタッフは慢性的に人手不足の傾向にあり、アルバイトやパートなどの「非正規雇用」であれば、仕事に就くこと自体は難しくありません。

正社員として採用された場合には、現場スタッフの教育やマネジメントに携わりつつ、サービスのプロフェッショナルを目指すことができます。

また、希望次第では本部で活躍する「企画」や「商品開発」などの仕事に移る人もおり、多彩なキャリアが考えられます。

テーマパークの雰囲気が好きな人なら、やりがいをもって働けるでしょう。

しかしながら、他の観光業と同様、テーマパークは少なからず景気に左右される面があり、不況になると来園者数が減り、経営が厳しくなる可能性も考えられます。

テーマパークスタッフの就職先・活躍の場

そもそもテーマパークとは?

テーマパークというと、ジェットコースターや観覧車などがある「遊園地」のような場所を思い浮かべる人が多いかもしれませんが、実はそれだけではありません。

そもそもテーマパークとは「特定のテーマ(文化や国、時代、キャラクターなど)にもとづいて演出された大規模な観光施設」のことを意味しています。

つまり、アトラクション施設のみならず、ショーやイベント、展示物、仮想体験といった、さまざまな「非日常的な遊び」ができる場が、テーマパークというわけです。

全国各地の多種多様なテーマパークで活躍

全国各地には数多くのテーマパークがあり、それぞれ異なる特色を持っています。

ディズニーランドのような大人気施設もあれば、その地域に根付いて古くから地域住民に親しまれてきたアットホームな施設、あるいは最先端の技術を使った映像が楽しめる施設など、多種多様です。

テーマパークスタッフは、それぞれの施設を運営している会社に勤めているケースが多いです。

現場でお客さまと接するスタッフだけでなく、本部で経営企画や商品開発、営業、経理といった業務を担当する社員もいます。

テーマパークスタッフの1日

担当部門や業務によって1日の流れは異なる

テーマパークスタッフの1日の動きは、配属された部門や、担当する業務内容によって異なります。

基本的には営業時間に合わせて仕事をしますが、営業時間が長いテーマパークでは、シフト勤務となることがあります。

ここではパーク内でアトラクションの案内を担当する正社員の1日をご紹介します。

7:45 出社・着替え
8:00 社員の朝礼
8:15 アルバイトスタッフとの朝礼
8:30 アトラクションの運転確認
9:00 開園・接客
11:00 現場のチェック
14:00 休憩
16:30 事務作業(業務報告書作成など)
17:00 遅番スタッフへの引き継ぎ・業務終了

テーマパークスタッフのやりがい、楽しさ

お客さまの大切な思い出づくりに携わることができる

テーマパークスタッフは、「非日常」の体験と感動をお客さまに与える仕事です。

夢のある楽しい時間を提供することでお客さまの大切な思い出づくりに携われるのは、この仕事の大きな魅力といえます。

来園したお客さまが笑顔で「ありがとう!」や「楽しかった!」といった感謝の言葉をかけてくれたときの喜びはひとしおです。

なかには自分のことを覚えてくれる常連さんもいて、「また来たよ」と親しく話しかけてくれたりするのもうれしい瞬間です。

自分なりに理想の「おもてなし」を追求し、より多くのお客さまを笑顔にすることにやりがいを見出しているスタッフが大勢います。

テーマパークスタッフのつらいこと、大変なこと

繁忙期は非常に忙しく、クタクタになる

テーマパークには「繁忙期」と「閑散期」があります。

ゴールデンウィークやお盆休みなどの繁忙期には、家族連れやカップル、その他の観光客まで多くの人が訪れるため、スタッフも総動員でフル稼働します。

世間はお休みでも、スタッフは基本的に土日や繁忙期には出勤しなくてはならず、休みは取りづらくなるでしょう。

また、テーマパークスタッフは常に立ちっぱなしで元気に声を出したり、動き回ったりしなくてはならないため、体力が必要です。

さらにテーマパークのほとんどは屋外にあるため、夏の暑さと冬の寒さに耐えながらの勤務となります。

日頃から体調管理を徹底していないと、すぐにへばってしまうかもしれません。

テーマパークスタッフに向いている人・適性

いつも明るく元気で、おもてなしをすることが好きな人

来園者に夢と感動を与えるテーマパークに勤めるスタッフは、「お客さまに楽しい時間を提供すること」を大切に考える必要があります。

いつも朗らかで、誰にでも明るい笑顔を見せられる人に向いている職業だといえます。

また、テーマパークには幼い子からお年寄り、あるいは外国人観光客まで幅広い層のお客さまが来園します。

お客さまによって求めるサービスは異なるため、常に「目の前のお客さまは、どうすればうれしいと感じるか」を考えなくてはなりません。

簡単なことではありませんが、心の根底に「おもてなし」の精神がある人なら、失敗しながらでも着実に成長していけるはずです。

テーマパークスタッフ志望動機・目指すきっかけ

大好きなテーマパークで人々に夢を与えたい

テーマパークスタッフの志望者には、自身も子どものころからテーマパークが大好きだったという人がたくさんいます。

テーマパークで味わえる非日常の感動を提供してくれたスタッフに憧れて「自分もお客さまを楽しませて笑顔にしたい!」と考える人が多いです。

お客さまを楽しませるには、まずスタッフ自身が楽しそうに仕事をすることが大前提です。

「テーマパークが好きな気持ち」は大切にしましょう。

また、テーマパークスタッフには、アルバイトとして働いている学生も少なくありません。

学生時代に続けていたテーマパークの仕事の魅力にとりつかれ、そのまま卒業後に正社員を目指すケースも見られます。

テーマパークスタッフの雇用形態・働き方

園内のスタッフはアルバイトやパートが中心

テーマパークスタッフの雇用形態は、企業や職種によってさまざまです。

全体として、園内で直接お客さまと関わる業務を担当するスタッフの場合、アルバイトやパートなどの「非正規」で働く人がほとんどです。

9割ほどがアルバイト・パートで、残りの1割が正社員といった職場もめずらしくないといわれています。

そのため、正社員として採用された人は、アルバイトやパートの教育やマネジメント業務をメインで担当します。

スタッフは若い子たちが多いため、上手に信頼関係を築きながらチームワークを強固なものとし、お客さまに幸せな時間を提供するための努力が求められます。

本部で働くスタッフの雇用形態

テーマパークの運営会社では「本部」の仕事もあります。

本部では、一般企業と同じような企画やマーケティング、事務などを担当するスタッフが働いています。

雇用形態は正社員や契約社員、派遣社員などが中心で、現場のスタッフのように直接お客さまと接する機会はあまり多くありません。

希望を出せば、現場から本部、逆に本部から現場といったポジション変更ができる企業もあるようです。

テーマパークスタッフの勤務時間・休日・生活

シフト勤務になることが多く、繁忙期は忙しい

テーマパークスタッフの勤務時間や休日は、職種によっても大きく異なります。

テーマパーク内でお客さまの案内やアトラクションの運営などを担当するスタッフは「シフト制」となるのが一般的です。

開園前の早朝から夕方にかけて勤務する日もあれば、昼頃に出勤して閉園後の片づけや清掃までを担当することもあります。

イベントの開催中や長期休暇の時期には営業時間を延長するテーマパークもあり、勤務時間は不規則になりやすいと考えておいたほうがよいでしょう。

休日は、休園日がある場合はその日になりますが、年中無休のテーマパークなど、交代で取得することが多いです。

土日祝日や夏休み、ゴールデンウィークなどは繁忙期で、一時的に休みが減る可能性もあります。

一方、繁忙期以外の比較的落ち着いている時期は、他のスタッフとの調整ができれば連休を取得することも可能です。

テーマパークスタッフの求人・就職状況・需要

新卒採用は人気が高く、厳しい競争を覚悟しておく

テーマパーク内で働いているスタッフのほとんどはアルバイトとして採用されています。

チケットの受付やアトラクションの誘導、運転、お土産の販売など、直接お客さまと関わる業務への求人は、とくにアルバイトの募集が多いです。

ただし、大手のテーマパークの運営会社では、定期的な新卒採用を実施しているところもあります。

本部で働く「総合職」と、パーク内で働く「現場職」は別の区分で採用されることがあるため、各社の募集要項をよく確認してみましょう。

なお、テーマパークスタッフは人気が高く、正社員の採用試験は高倍率になりがちです。

十分に企業研究や業界研究をし、志望動機を練り上げて試験に臨む必要があります。

テーマパークスタッフの転職状況・未経験採用

未経験者はアルバイトから挑戦する方法も

テーマパーク内で働くスタッフのほとんどが、アルバイトとして雇用されています。

常に新しいスタッフを求めているテーマパークは決して少なくないため、アルバイトであれば特別なスキル・経験がなくても転職できる可能性はあります。

一方、正社員としてテーマパークへの転職を目指す場合は、相応の職務経験が必要となる場合が多いです。

とはいえ、必ずしもテーマパークでの実務経験が求められるわけではありません。

たとえば企画や営業、事務の経験など、希望する職種に応じたスキルと経験をアピールすることが大切です。

現場でお客さまと接する仕事がしたい場合には、接客やサービス業の経験が生かせますし、チームを率いた経験やマネジメント経験なども評価されやすいでしょう。