バーテンダーという職業を経験して思うこと
投稿者プロフィール
投稿者の仕事満足度
- 総合満足度
- 4.00
- 仕事内容
- 4.00
- やりがい
- 4.00
- 働きやすさ
- 4.00
- 給料・年収
- 4.00
- 休日・待遇
- 4.00
- 成長・将来性
- 3.00
- メッセージ
-
「お酒は販売が許可されている麻薬である」
私が勤め始めた頃、先輩バーテンダーから伝えられた言葉です。
当初はその言葉の真意が分かりませんでしたが、時がたつにつれて「バーテンダーとはただ酒を提供しているのではない、その場所、時間、人が持つ感情や欲望を総合的に判断しながら商品を提供する」という事だと解釈しています。
したがって、ただ酒を提供するだけでは真の「バーテンダー」とは言えず、その場の雰囲気や客筋、それにふさわしい酒やカクテルを提供できるようになって初めて「バーテンダー」だと言えるでしょう。
- 仕事内容
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勤務地は和歌山市内で、3人ほどがカウンターに入るバーです。
まず、開店前の買い出しは、その日に提供するチャームや軽食の材料、または酒類の補充を行います。
突き出しとして提供する一品は、出来るだけその季節に応じた食材(春であればタケノコ、夏ではキュウリなど)を使った料理を提供できるように心掛けます。
入店すれば掃除から始まり、店内はもちろん展示している酒瓶を1本1本拭きます。
開店すれば接客がメインです。
酒の提供に始まり顧客によって接客方針を変えたり、話題の提供などにも気を配ります。
- やりがい
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やりがいは接客です。
酒を提供する場所なので、様々なお客様が訪れます。
個々の顧客に対して、どのような話題を振れば盛り上がるのか?また、話しかけた方が良いのかそっとしておいた方がよいのか…。
そのお客様の持つ雰囲気や目線、素振りなどを見て判断します。
そして接客に入るのですが、やはりお客様が喜んでくれた時にはやりがいを感じます。
バーテンダーという性質上、「私をイメージしてカクテルを作って」と依頼されることがありますが、インスピレーションを基にお客様のイメージを膨らませて作ったカクテルを「美味しい」と言って頂いた時の喜びは大きいです。
- つらいこと
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酒を提供する場なので、どうしても酔っぱらいの対応をしなくてはならず、それがしんどかったです。
酩酊している状態では常識が効かず、乱暴になってくるお客様をどういなすかに苦心しました。
異性のお客様に懇意にされることもあり、お客様同士の嫉妬などを敏感に察知して、どちらにもいい顔をしないといけないのも苦労しました。
お酒は弱くても問題ありません。
僕は当初ビール1本飲むのがやっとでしたが、鍛えられて強くなりました。
- 向いてる人
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絶対条件として成人です。
未成年ではお酒を飲めませんので、お客様から勧められてもソフトドリンクか断るしかなくなり、せっかくの雰囲気も台無しになります。
それと、人間が好きな人は向いています。
初めて訪れたお客様に対し興味を持つことで、接客の糸口が見えてくるので、好奇心旺盛で人間好きな人が向いていると思います。
- 志望理由
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たまたま兄の知り合いの店がバーテンダーを募集していたので、兄を伝って興味本位で勤めたのがきっかけでした。
勤めるまでは「ただ酒を出していれば」と思っていましたが、実際に経験すると、提供する酒の種類の多さ、タイミング、その酒を出す意味を考えながら接客しなければならず、その深さを思い知りました。
- 給料・年収
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勤めていた頃は20~21歳になる頃で、今から30年ほど前になります。
当時の給与は一時間900円でした。
決して高給とは言えない時給でしたが、非日常の中に身を置いて仕事ができる喜びと、自身が酒が好きなこともあり、お客様から頂くお酒も飲めるので、給料を安いとは感じていませんでした。
それに、別途で頂くお客様からのおひねりも臨時収入になり、それもモチベーションアップに繋がりました。
- 成長・将来性
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人々が「非日常」を求めてくる空間なので、様々な職種や趣味、嗜好を持った人達と触れ合うことで、体験しえない話や経験を共有することができます。
それは当時、若かった私にとっては刺激のあることで、かけがえのない経験でした。