材料工学とは? 大学で学ぶことや就職先は?

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材料工学の概要・理念

私たちの身の回りにある人工物は、どのような材料で構成するべきか綿密に検討を重ねて制作されています。

「技術は材料の歴史」と言われることもあるほど、ものづくりの分野において材料の開発や検討は重要な位置を占めているのです。

材料工学は工業製品の材料して利用される物質を研究・開発する学問分野です。

自然界に存在する物質は、人間の手で加工されることによって用途に適した材料となります。

たとえば、私たちの身の回りにはあらゆる製品にプラスチックが使われていますが、プラスチックは20世紀に材料工学によって発明された物質であり、自然界には存在しません。

元になる物質の特性を解明し、これまで使われてきた材料をさらに改良したり、新しい材料を開発したりすることが材料工学の研究成果となります。

鉱物など原材料を加工するだけでなく、化学反応や分子・原子のレベルで操作する化学合成によって、こうした新たな材料の可能性を探究していくのが材料工学なのです。

材料工学で学ぶこと

材料科学の基礎となる学問には、数学・化学・物理があります。

物質の性質について正確に把握するには、物質を構成している原子・分子・電子といった構造をきちんと理解している必要があります。

そのため、とくに化学において無機・有機・物理化学といった分野の詳細な知識が必須となります。

物理分野においては、量子力学・統計力学・電磁気学に関する知識を学ぶことで、物質の熱や電気の通し方や腐食性、人体への影響といった特性を理解することにつなげていきます。

材料は金属材料、無機材料、有機材料の3種類に大きく分けることができます。

大学の授業では、これらのうち代表的な物質をいくつか取り上げ、実験を通じて理解を深めていきます。

材料工学の大学での授業科目の例

有機化学

炭素原子を含む化合物である有機化合物について、その性質や用途、構造について研究します。

分析化学

あらゆる物質の化学的組成の解析や、解析するための分離方法について学びます。

材料物理

材料の特性を計測・解析し、コンピュータシミュレーションを通じて詳細な検証を行います。

結晶塑性

金属などの結晶が変形したのち、永久変形へと移る性質について探求し、理解を深めます。

材料組織形成論

材料が形成される過程におけるさまざまな因子を、ミクロ・ナノレベルで検証し明らかにしていきます。

材料工学のレポート・テーマの例

材料工学における実験では、材料の性質を詳細に計測・解析したり、用途に適した材料であるかどうかをさまざまな条件で検証したりした結果をまとめ、報告するものが主となります。

これまで詳細に検証されてこなかった研究に取り組むことも多く、先行論が乏しいこともめずらしくないため、実験がなかなかうまくいかないなどの壁にぶつかることもあります。

  • ・ナノ構造体界面の環境強度評価
  • ・キチン被覆可塑化ポリ塩化ビニル膜を用いたイオンセンサー
  • ・ペルオキソタングステートの合成法
  • ・カーボン材料作製条件の検討
  • ・高強度アルミニウム合金の疲労き裂発生メカニズム

材料工学と関連する学問

材料工学の基礎となるのは、数学・化学・物理学です。

これらの学問に関する基礎知識なくして材料工学の研究に取り組むことはほぼ不可能ですので、関連性が極めて高い学問といえるでしょう。

材料工学は工業製品の材料について研究する分野であるのに対して、機械工学は材料を活用して機械を設計・製作する分野です。

機械工学の領域から要望があって新たな材料を開発する必要に迫られたり、反対に材料工学で新たに作られた材料によって機械工学の課題点が解決されたりすることもあります。

このように、材料工学と機械工学は互いに影響を与え合っている学問分野といえます。

材料工学を学んで就職に有利な業界・仕事

工業製品の開発には材料の選定や新しい材料の活用が大きく影響することから、材料工学の専門知識を持つ人材に対する社会的な期待は非常に大きなものがあります。

材料工学の中でも金属材料について学んできた人は、鉄鋼や非鉄金属に関連する業界へ就職する際に有利になる可能性が高いでしょう。

有機材料について学んだ知識は、プラスチック・ゴムなどを開発する化学メーカーをはじめ、機械メーカーや電気機器関係の業界において活用することができます。

また、繊維や高分子工学について学んだ知識は、化学・機械関連の業界へ就職する上で役立ちます。

実際、在学中に取り組んだ研究成果を特許申請したり、工業製品で実用化されたりする場合もあるため、産業界からは大きな期待を寄せられている学問分野の1つといえます。

ここに挙げた代表的な業界以外にも、材料が関わるあらゆる業界・職種において、材料工学で体得した知識・技能を活かせる可能性は十分にあるはずです。

材料工学の知識は人生でどう役立つ?

材料工学は近年とくに注目が集まっている学問分野の1つです。

医療分野においては、人工関節や人工血管、人工臓器に用いられる生体材料の開発が求められていることから、材料工学の専門知識を持つ人材が求められているのです。

また、環境分野においても、原料から材料を生成する過程で生じる廃液や消費されるエネルギーをいかに削減し、持続可能な社会を築いていくかが重要な課題と言われるようになっています。

生分解性プラスチックやリサイクル効率の良い材料の開発といったように、材料工学が環境に貢献できる余地はまだまだ多く残されているといわれています。

このように、材料工学の知識を活かせる分野は多方面にわたって存在し、未来の社会を築いていく上で欠かせない学問領域となっているのです。