アウトソーシングとは

企業は社員がそれぞれの仕事(業務)を担うことで成り立っていますが、すべての業務を自社の社員が行っているわけではりません。

企業の業務の一部もしくは全部を外部に委託することを「アウトソーシング」といいます。社会人の方であれば、一度は耳にしたことがあるのではないでしょうか。

今は企業にとって重要な戦略の一部になっている「アウトソーシング」の活用。

基本的な用語の意味から企業での活用方法、メリット・デメリットをみてみましょう。





アウトソーシングとは

アウトソーシングとは、業務を外部に委託することです。

英語のoutsourcingに由来する用語で、アウト=外部、ソーシング=調達を意味します。

「外部から調達する」というと、何かを購入するイメージが強いですが、アウトソーシングでは人的リソース(資源)を契約によって調達します。

人員を補填するのではなく、社内で行っていた業務(インソーシング)や新しく必要となった業務のプロセス全体を外部企業へ委託することです。

アウトソーシングが日本企業で行われるようになった当初は、業務の一部を外部に委託して経営の効率化を図るケースがほとんどでした。

ところが近年ではアウトソーシングを戦略のひとつとして捉える企業が増加。

経営資源の集中による競争力の強化や、業務の品質・生産性の向上などを目的としてアウトソーシングが活用されるようになっています。

アウトソーシングの変化とサービスの多様化

アウトソーシングは、アメリカのIT分野から始まったといわれており、日本では1990年代前半頃からみられるようになりました。

当時アウトソーシングされていたのは、会計や税務など自社で行うには負担の大きい専門的な業務、もしくは業務の付加価値があまり高くない単純作業。

外部に委託することでコストを削減したり、自社社員のリソースをより重要な業務に振り分けたりすることが主な目的でした。

近年、アウトソーシングは企業にとってより戦略的な意味を持つようになっています。

企業競争力を高めるためにアウトソーシングを活用し、組織のスリム化や業務のスピード化など、急激なビジネス環境の変化に対応できる経営体制を構築しています。

現在ではアウトソーシングの受託企業も増加し、開発、人事、経理の他、営業や物流、購買など分野にも広がっています。

アウトソーシングに関わる用語

アウトソーシングのうち、業務の一部ではなく企業運営に必要な業務のプロセス全体を外部委託することを、ビジネス・プロセス・アウトソーシング(BPO)といいます。

BPOは総務や経理、人事など管理部門で行われる業務がメインです。

その他、IT分野にはITアウトソーシングがあり、プロジェクトや開発工程などをすべて外部委託することを意味します。

また同じアウトソーシングでも、業務を委託する企業の所在地が海外の場合には、国内での外部委託と区別して「オフショア」という言葉を使用します。

オフショア(offshore)は「国外の」という意味。

オフショアリング(offshoreing)やオフショアアウトソーシング(offshoreoutsourcing)と呼ばれ、メーカーやIT分野では広く知られた手法です。

アウトソーシングの用語でひとつ注意点があるすれば、アウトソーシングを請け負う企業のことをアウトソーサーと呼ぶこと。

本来の英語の意味としては委託する側をアウトソーサーと呼ぶのが正しいですが、日本のビジネスシーンでは、受託する企業のことをアウトソーサーと呼ぶことが一般的になっています。

アウトソーシングと派遣や業務委託との違い

アウトソーシングの意味は「人的なリソースを外部から調達すること」であると説明をしました。

そうすると「派遣や業務委託とは何が違うのか?」という疑問が浮かんだかもしれません。

派遣や業務委託も、一部の業務を自社の社員以外に依頼して任せる点は同じ。

そのためアウトソーシングと同じだと勘違いしてしまっても無理はないでしょう。

派遣や業務委託とアウトソーシングとの違いを確認しておきましょう。

派遣や業務委託は雇用形態のひとつ

まず前提として、「派遣」や「業務委託」は個人の雇用形態のことです。

企業との雇用関係を示す表現のため、アウトソーシングとはまったく違います。

どちらも企業には直接雇用されておらず、契約期間もしくは契約内容が完了するまでの間に限って依頼された業務を行います。

アウトソーサーは決裁や責任も請け負うことができる

アウトソーシングでは、業務の一部もしくは全部を受託する企業(アウトソーサー)が、業務を遂行するうえで必要な決裁や責任も請け負います。

派遣や業務委託の場合は、あくまで依頼された業務の遂行について取り交わす雇用契約。

この点もアウトソーシングが派遣や業務委託と大きく違う点です。

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アウトソーシングサービスのメリットとデメリット

規模に関わらず、多くの企業で利用されているアウトソーシングですが、実際にサービスを利用するうえではどのようなメリットやデメリットがあるのでしょうか。

それぞれについてみていきましょう。

アウトソーシングのメリット

メリット1:スリム化と効率化

企業が大きくなればなるほど、自社内に機能が追加され組織も肥大化していきます。

組織が肥大化すれば、当然無駄も多くなるでしょう。

余分なコストがかかるだけでなく、経営状態が悪化した際には負担も拡大。

そのようなリスクを回避できるのが、アウトソーシングのメリットです。

スリム化と効率化のためのアウトソーシングでは、もともと内部にあった部門を別会社(子会社)化するケースも多くみられます。

別会社になれば自社以外からも業務を請け負うことが可能になるため、スリム化だけでなくグループ全体の売り上げ向上にもつながるといわれています。

メリット2:品質・スピードの向上
現在のビジネス環境では、品質に対する評価が厳しく、スピードを求められるシーンも数多く存在します。

そのような環境下で企業がより優位にビジネスを展開するためには、品質とスピードの向上が不可欠でしょう。

アウトソーシングを請け負う企業は、特定分野のスペシャリスト。

専門分野以外の社員が業務を行うよりも業務の品質は高く、スピードも速いでしょう。

結果的に得られる成果や効果も高くなることから、アウトソーシングの価値が必要とされているのです。

メリット3:競争力の強化
例えば、短期間で急成長を目指すベンチャー企業では、企業運営に必要な業務を限られた人材で行わなければなりません。

しかし成長スピードを高めるためには、重要な業務にこそ人材を集中させることが必要です。

経理や給与計算などは企業運営に欠かせないものですが、専門分野以外の人が業務を行うことは組織全体として非効率。

そのような場合には、予算を専門企業へアウトソーシングすることに使ったほうが、全体のコストダウンにもつながるのです。

アウトソーシングのデメリット

デメリット1:アウトソーシングのための準備が手間
アウトソーシングのためには、委託したい業務を整理する「業務の標準化」が必要です。

業務の中に担当者しか分からない基準や手法があると委託ができないため、まずは標準化のための作業が発生します。

ところがすでに属人化している業務を標準化するのは、そう簡単ではありません。

また日々の業務と平行して行う必要があるため、担当者にも負荷がかかります。

アウトソーシングに魅力を感じていても、業務の標準化が障壁となって最初からつまずいてしまうことも珍しくはないのです。

デメリット2:企業規則やルールの曖昧化
業務を外部に委託すると、細かいところまで目が行き届かなくなります。

それによって、これまで守られていた業務ルールが守られなかったり、守ってもらうために新たなルールを設定したりする必要が生まれる場合もあります。

デメリット3:ノウハウの希薄化
委託する業務に必要な知識やノウハウは、委託を続ける限り自社に蓄積できません。

アウトソーシングを行うには何らかの理由があるはずですが、委託内容の見極めや状況に応じた見直しは非常に重要といえるでしょう。

この記事のまとめ

アウトソーシングはより戦略的に活用されるようになりました。

今では専門性を強みにするアウトソーサーが増え、競争力や経営効率を高めるひとつの手段として認知されています。

一方でアウトソーシングをすべき業務があれば、必ず自社で行うべき業務も存在します。

ビジネス環境は加速度的に変化しており、企業の選択と集中は今後もいっそう進むのではないでしょうか。

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