人月とは
今回ご紹介するビジネス用語は、普段あまり聞き慣れない「人月」という言葉。
ITソフトウェアのシステム開発などで頻出するこちらの用語を分かりやすく解説していきます。
作業量の目安として使われる単位
まず、「人月」(Man-Month)とは、1人が1ヶ月で行うことができる作業量を表す単位です。
ITシステムの開発や土木・建築業界において、作業量を見積もりする際の単位として使われます。
人月の計算のやり方は「人数×月」で表され、プロジェクトに投入する人員の数に、月で表した1人当たりのプロジェクト従事期間をかけた数値で表されます。
たとえば、1人で1ヶ月(1日8時間の作業で20日間を想定)かかる作業は、「1人月(いちにんげつ)」とされ、10人で3ヶ月かかる作業は、「30人月」(10人×3ヶ月)、100人で半月かかる作業は「50人月」(100人×0.5ヶ月)とされます。
したがって、冒頭の「30人月の作業量が想定されるプロジェクト」とは、「1人でやると30ヶ月かかる作業量」のことを意味します。
もちろん、人月計算の考え方では、この「1人でやると30ヶ月かかる作業量」と「10人でやると3ヶ月かかる作業量」は同じ「30人月」で表されますが、現実的には、プロジェクトに投入する人員数と納期の兼ね合いから、どれくらいの数のメンバーで、どの程度の期間をかけるかはまちまちです。
作業費用の見積もりにも使われる
人月という単位は作業量の見積もり以外にも、作業費用の見積もりを出す際にも使われます。
たとえば、あるシステムを開発する費用を見積もる際、「単価100万円/月×3人月=300万円」などとよく表されます。
これは、このシステムを開発するには、「1ヶ月100万円の単価の人を1人投入すると3ヶ月かかる」ということを意味しています。
これも先ほどと同様に、「1ヶ月100万円の単価の人を3人投入すると1ヶ月かかる」ことと同じ意味となります。
このように、人月とは、あるプロジェクトの作業量や作業費用を見積もる際の単位として使われる用語です。
しかし、人月計算は作業の量や期間などのように数値化できるものに対しては便利な単位ですが、プロジェクトに投入されるスキルの差などのような数値化が難しいものはすくいとれないという問題点があります。
つづいては、人月計算の問題点について簡単に触れておきましょう。
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人月計算では作業者の熟練度は考慮されない。
人月計算の問題点の一つを考える上で、具体的な事例を考えてみます。
例えば、ある銀行のシステム開発に参加するプロジェクトチームの場合を考えてみましょう。
このチームに割り当てられた作業量は、10人のチームで3ヶ月の期間を要する30人月と想定されるとします。
しかし、この10人のメンバーには、プログラミングの熟練者もいれば、プログラミング業務に従事して間もない非熟練者のメンバーもいます。
人月計算の問題点の一つは、作業者の熟練度というヒューマン的な要素は考慮されていないことです。
つまり、10人で3ヶ月かかる作業とは言うものの、その10人はどの程度のプログラミングスキルを前提としているかは、人月計算では見えてこないということです。
この例の場合、プログラミングの熟練者10人が集まったチームでも、非熟練者が10人集まったチームでも、「30人月の作業量」という言葉からはその質的な差、つまり作業者の熟練度は考慮されていないということです。
このプロジェクトが「熟練者レベルのスキル」をチームメンバーのスキルとして暗黙に想定されている場合、プログラミング初心者が5〜6名いるような状況では、納期遅れは必至でしょう。
この記事のまとめ
今回ご紹介してきた「人月」というキーワードは、1人が1ヶ月で行うことができる作業量を表す単位であり、システムエンジニアや土木建築業界で頻繁に使われるビジネス用語です。
人月計算は作業の量など数値化できるものに対しては便利な単位ですが、ヒューマン的な要素は考慮されていないという問題点があります。
普段あまり使わないという方でも、いざという時のために、この言葉の意味や問題点は覚えておくと便利かもしれません。
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