マーケティングリサーチとは

私たちがお店で目にする商品は、どれもさまざまな調査結果をもとに開発された商品です。

その調査は「マーケティングリサーチ」と呼ばれていますが、一体どのような調査なのでしょうか?





マーケティングリサーチとは

マーケティングリサーチとは、市場や消費者を知るための活動全般のことを意味します。

商品・サービスを提供する企業などの組織は、新商品の開発やすでにリリースしたサービスの向上に日々努めています。

売れる商品を開発し、より長く使われるサービスへと改善していくためには、市場ニーズの把握はもちろん、消費者の手元へ商品が届くまでのプロセスについても調査が必要です。

また提供後の満足度を知ることも重要でしょう。

このように消費者側に視点をおき、商品やサービスの開発・向上のために全体を通して調査を行うことをマーケティングリサーチと呼んでいます。

市場調査とマーケティングリサーチの違い

「マーケティングリサーチ」は日本語に訳すと「市場調査」になることから、日本では同じ意味を持つ言葉として使われるケースが多くみられます。

しかし厳密には、市場調査はマーケティングリサーチの一部です。

市場調査は、市場動向を調査・分析した結果を数値で示します。そしてどのような商品を作るか、方向性を決めるために用いられます。

主に開発の前段階や初期で行われることが多く、商品・サービスと消費者ニーズに軸足が置かれた調査です。

一方、マーケティングリサーチは限定的なフェーズではなく、全体を通して行われます。

開発の前段階はもちろん、流通プロセスでの調査や商品が市場に投入されたあとにも行われます。

他にも、市場調査ではデータから現状分析を行うため、顕在化したニーズを把握することが可能です。

顕在化とは、すでに消費者自身が必要なものに気づいている状態。「これがほしい」という要望が表面化していることを指します。

市場調査では顕在化したニーズを捉えて、方向性を決めるのです。

それに対してマーケティングリサーチは、顕在化したニーズを把握するだけにとどまりません。

さまざまな調査を行うことで、消費者自身もまだ気づいていない潜在的なニーズを探り、浮き彫りにしていくことが含まれています。

マーケティングのためのマーケティングリサーチ

「マーケティング」と「マーケティングリサーチ」も混在しやすいため、一度ここで整理しておきましょう。

マーケティングは、商品・サービスが消費者に受け入れられるよう、施策を考え実践していくことです。

商品開発だけではなく、商品が消費者に届くまでのプロセス全体の施策を検討します。

そしてそのための調査を行うのが、マーケティングリサーチです。

マーケティングリサーチの調査技法

マーケティングリサーチの概念は理解できましたが、具体的にはどのような調査が行われるのでしょうか。

代表的な調査方法を確認しておきましょう。

調査の種類は、インタビューなどから消費者の考えを分析する「定性調査」とアンケートなどで数値的に分析する「定量調査」。

どれかひとつを用いるのではなく、必要に応じて組み合わせて行われます。

前述のとおり、市場調査はマーケティングリサーチの一部のため、ここでは市場調査として分類される調査方法も一緒に解説します。

インタビュー(グループインタビュー/デプスインタビュー)

インタビュー形式の調査です。

座談会の形式を用いて相互の会話から意見や感じていることを引き出すグループインタビューと、インタビュアーと消費者が1対1で行うデプスインタビューがあります。

ネットリサーチ

インターネット上の仕組みを利用して、消費者へアンケートを実施します。

統計データ調査

公的機関が書籍やホームページなどで公表している統計データを利用します。

データをもとに、顧客属性に即した情報分析を行います。

覆面調査

実際にサービスを利用して調査する方法です。

店舗を持つ企業などに好まれる調査で、現場の状況を把握するための手段として用いられます。

「ミステリーショッパー」と呼ばれる調査がこの覆面調査です。

会場テスト(CLT)

試食・試飲後にアンケートを行う場合に利用される調査方法。

会場に消費者を集めて行います。

製品テスト

新商品や既存商品を顧客に使用してもらい、印象や使用感などの評価をもとに課題を調査します。

製品テストのひとつに、家庭でテスターを試用する「ホームユース・テスト」があります。

試用中の結果記録と、期間終了後の補足質問から顧客の意見を確認する調査方法です。

実際の生活の中で行われるテストのため、有用性の高い調査といわれています。

事前事後調査

顧客の反応をテスト前後の計測結果から評価する調査方法です。

たとえば、試用前後で購入の意向がどのように変化したかや、広告やキャンペーンの実施前後における認知度や購買活動の変化を計測するための調査です。

パッケージ・テスト

デザインや質感などの評価から購入意思や店舗での陳列についての感想まで、パッケージに関する調査です。

ネーミング・テスト

商品の名前について印象を確認します。

複数の候補を用意し、もっとも最適な名前を選択。

他の候補についても顧客が抱く印象などを確認します。

テスト・マーケティング

実際に商品を販売し、売上や市場での反応を計測します。

いきなり全国展開するのではなく、主要マーケットで広告や宣伝、イベントなどを実施。

知名度や購入率などの顧客の反応を調査し、全国展開に向けた施策検討や売上予測を行うために用いられます。

20代で正社員への就職・転職

20代で正社員への就職を目指す

「Re就活エージェント」は、第二新卒・既卒・フリーター・ニート向けサービス。20代未経験OKの求人が多数。

20代登録比率No.1

マーケティングリサーチャーの仕事

マーケティングリサーチは自社商品を持つ企業やリサーチサービス会社、研究機関などが行い、業務に携わる人のことを「マーケティングリサーチャー」といいます。

マーケティングリサーチャーはどのような仕事を担うのでしょうか。

仕事の流れをみてみましょう。

マーケティングリサーチャーの仕事

1.調査企画と設計
調査を行うために必要な手法の決定や調査項目、スケジュールなどを組み立てます。

この前段階にテーマ設定や仮説検討を行う場合もあります。

2.実査(調査の実施)
実際に調査を行います。

調査開始の前には調査員や会場の手配などが必要な場合もあります。

計画通りに進行できるよう、プロジェクトを推進していきます。

3.調査結果の集計
調査結果を集計します。記述以外の方式でアンケートを実施している場合には、自動的に集計が行われているケースも多くあります。

4.調査結果の分析と報告
集計結果をもとに分析を実施。分析方法は調査内容に合わせて選択します。

必要に応じて分析後に結果を補足する情報やデータを用意し、最終的に報告を行います。

求人情報からみる、マーケティングリサーチャーに必要なスキル

求人情報をみると、以下のようなスキルが求められているようです。

・データベースの基本的なスキル
・データ分析手法の理解
・ExcelやAccessを用いた集計分析スキル
・PowerPointなどドキュメンテーションスキル

これらは分析を行う際に必要となるスキルですが、実際には分析を行う以前にビジネスを理解する力や論理的に考える思考力も必要でしょう。

また分析結果の報告や何らかの提案を行うためには、プレゼンテーションやコミュニケーションスキルも重要です。

この記事のまとめ

現代は競争のない市場を見つけることが難しい時代です。

商品やサービスの開発スピードはますます速くなり、一時的にシェアを獲得できてもすぐにライバルに追いつかれてしまいます。

だからこそ、企業にとってマーケティングリサーチが欠かせないものであることが分かります。

またAIなど新しい技術の登場で、以前より多くのデータを早いスピードで解析できるようにもなりました。

調査結果はもとより、それをどのように解釈して有益な課題やヒントを見つけるのかが、これまで以上に重要になっていくのかもしれません。

30秒でわかる!転職サービス診断

当サイト人気の転職エージェント