イノベーションとは

世界の歴史は、さまざまなイノベーションによって作られてきました。

生活が豊かになり、あらゆることが短時間で快適にできる、現代は非常に便利な世の中になっています。

イノベーションとは、社会を180度変えるほどの変化や価値を生み出すアイデアや取り組みのこと。

特に成熟した社会や市場では、既成の概念を変えるようなイノベーションが必要とされています。

イノベーションの種類や身近な例、また国内外での事例などを確認していきましょう。





イノベーションとは

イノベーション(innovation)は「革新」や「改革」の意味をもつ単語です。

主に経営・経済用語として使われ、新しい価値を生み出すこと、またそれによって社会に変化をもたらす変革を指します。

イノベーションにおける新しい価値とは、既存の枠組みを超えた新しい考え方や、その取り組みから生まれる仕組みやモノのことです。

日本語では技術革新と訳されることもありますが、イノベーション自体には技術に限定した意味はありません。

世の中を変えるようなアイデアと実践のすべてを、イノベーションと呼ぶことができます。

経済学者が定義した「イノベーション」

イノベーションの概念を提唱したのは、経済学者として有名なJ.A.シュンペーターです。

innovationという言葉は当時からすでに存在していましたが、経済理論において初めてイノベーションの意味に言及したことで知られています。

シュンペーターは自身の著書「経済発展の理論」の中で、生産方法や仕組み、資源、労働力などを、それまでとは違った方法で新しく結び直すことをイノベーションと定義。

さらに市場経済が機能するには、イノベーションが絶えず行われることが必要だと主張しました。

現在でも、企業が永続的に存続するためにはイノベーションが重要だといわれています。

なぜなら、時代とともに市場は変化するため、同じ事業環境を永遠に保ち続けることはできないからです。

イノベーションによって新しい市場を作りだすことは、企業が生き残るための手段ともいえるでしょう。

身近なイノベーション

日常の身近なところにもイノベーションが起こっており、知らず知らずのうちに、その恩恵を受けていることが実は多くあります。

例えば、もっとも身近なイノベーションのひとつには、インターネットが挙げられるでしょう。

インターネットはもともとアメリカ軍によって開発され、軍事目的の通信システムとして誕生しました。

その後、学術の分野で情報を交換・共有するためのネットワークの仕組みとして発達。

商用化され一般に広がってからはますます進化し、今ではあらゆるところでインターネット技術を基盤とした仕組みが利用されています。

破壊的イノベーションと身近な例

イノベーションは、それまでごく当たり前に存在していた習慣を180度変えることがあります。

習慣や環境が変化すると、必然的にそれを取り巻く産業構造にも大きな影響を与えます。

新しい市場が生まれる代わりに、既存の市場が消滅してしまうことさえあるほどです。

既存の商品やサービス、ビジネスモデルなどがもっていた価値を無くすほどの新しい価値を生み出すことを「破壊的イノベーション」といいます。

上述のインターネットの技術も破壊的イノベーションといえますが、インターネットの技術を革新的なアイデアに活用することで起きた破壊的イノベーションも数多くあります。

例えば、インターネットショッピングは代表的なイノベーションのひとつです。

今でこそ当たり前に利用できるサービスですが、登場した当時は社会にインパクトを与え、人々の行動様式を変化させました。

ネットショッピングという新しい市場は、誕生からまもなくして急拡大。

またそれと相反するように、小売店舗の業績不振や倒産が相次ぐなど、産業構造にも変化をもたらしました。

「インターネットを使って買い物をする」というビジネスモデルは、当時の社会に大きな変革をもたらした破壊的イノベーションだったのです。

持続的イノベーション

イノベーションには、上述の「破壊的イノベーション」の他に、「持続的イノベーション」があります。

持続的イノベーションは、大手企業や市場をリードする企業が選択しやすいイノベーション。

すでに主力となっている製品やサービスの改良によって起こすイノベーションで、既存商品の問題点や新商品のアイデアを顧客の声から探り、次の製品・サービスを生み出す方法です。

このプロセスを経て市場シェアを伸ばし、安定した業績を上げてきた企業は、持続的イノベーションを好んで繰り返す傾向があります。

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イノベーションのジレンマ

破壊的イノベーションによって、大企業が新規参入した小規模の企業に市場シェアを奪われてしまうことがあります。

その理由に関する理論が「イノベーションのジレンマ」です。

持続的イノベーションを優先する大手企業では、既存商品・サービスを改良し続けるために、顧客の声に耳を傾けます。

ところが持続的イノベーションでは、顧客の関心が新しい価値に向いている場合でも、既存商品を改良することを優先しがちです。

改良の繰り返しが続くと商品はいつか顧客のニーズを超えてしまい、顧客の評価も高まることはありません。

それどころか他の商品に目を向け始めることになり、ニーズを的確に捉えた企業に破壊的イノベーションを起こされてしまうのです。

どちらの価値に目を向けるべきかの選択は、安定的に成長している大手企業こそ抱えやすいジレンマといえるでしょう。

オープンイノベーション

大手企業がイノベーションのジレンマに陥ることなく、イノベーションを起こすための施策のひとつとして、「オープンイノベーション」が注目されています。

オープンイノベーションは、名前の通り「オープン」にイノベーションを生み出そうとする方法のこと。

企業が単独でイノベーションを起こすのではなく、アイデア、仕組み、技術力などをオープンに求めて一緒にイノベーションを起こそうとする手法です。

他の企業はもちろん、行政や大学、社会企業家など、幅広い協力者の力を借りて取り組むため、既存の価値観が引き起こすジレンマに陥ることなく、革新的なイノベーションを起こせると期待されています。

国内と海外のイノベーション事例

イノベーションについて一通りの解説をしたところで、イノベーションの事例についてみていきましょう。

ここでは国内と海外の事例を紹介します。

国内事例:JINS「JINS PC」

即日仕上げで1本5,000円~という斬新なビジネスモデルで、メガネ業界に新規参入したJINS。

「高額で作るには数日かかる」という業界の常識を覆したことで一気に知れ渡り、急成長を遂げた企業です。

2011年に発売したJINS PCは、パソコンのブルーライトを軽減する機能をもつメガネで、発売当初からすぐに話題を集め、2012年には爆発的なヒット商品となりました。

「視力の悪い人が使う」というメガネの既成概念を打ち壊し、イノベーションを起こしました。

任天堂「Wii」

任天堂が2006年に発売した「Wii」は、普段ゲームをしない人たちの心をつかんで成功したゲーム機です。

ゲーム人口が減少しているという業界の課題に対し、任天堂では各家庭で家族全員が毎日触れるようなゲーム機の開発を目指しました。

年齢や性別、ゲーム経験を問わずに誰もが楽しめるゲーム機で、従来の家庭用ゲーム機にはなかったアプローチです。

リモコンをもって体を動かしながら遊ぶという、ゲームの新しい楽しみ方を提案し、Wiiは世界的な大ヒット商品となりました。

任天堂が生み出した新しいゲームの価値は、日本における代表的なイノベーションのひとつといえるでしょう。

海外事例:バンク・オブ・アメリカ「キープ・ザ・チェンジ」

バンク・オブ・アメリカでは、デビットカードでの支払いの際に、支払い額の端数分を繰り上げて引き落とし、その差額を自動的に預金できる「キープ・ザ・チェンジ」というメニューを開発しました。

デビットカードは、買い物の支払いでカードを使うと、決済と同時に銀行口座の残高から引き落とされる仕組みのカードです。

「キープ・ザ・チェンジ」は口座引き落としの際に、購入額の端数を自動的に預金するため、お金を使えば使うほど、貯金も貯まるというユニークな仕組み。

このサービスは「お金を貯めたいけれど、貯められない」という人々が抱える潜在的な需要を見事につかみました。

バンク・オブ・アメリカは250万人以上の顧客獲得に成功したといわれ、消費行動を変える大きなイノベーションとなりました。

この記事のまとめ

イノベーションは、企業の成長や存続にとって非常に重要な鍵を握っています。

企業規模や存続年数に関わらず、どの企業も意識を向けるべき取り組みのひとつです。

イノベーションは人々がもつ既成概念に大きな変化をもたらしますが、実はすでにある手段や仕組みを変えることで生み出されています。

私たちの日常も少し視点を変えて見直せば、そこにはイノベーションヒントが隠れているかもしれません。

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