ガラス業界(読了時間:10分48秒)

ガラス業界とは

ガラス業界とは、誰もが毎日目にする各種ガラスを製造する業界です。

住宅で使われる一般的な窓ガラスをはじめ、自動車やビルなどで使われる工業用ガラスまで幅広い分野に製品を供給しています。

日本のガラスメーカーで代表的な企業は、AGC(旧旭硝子)、日本板硝子、HOYAといったメーカーで、この三社で国内シェア7割を誇っています。

世界的シェアも高く、日本を代表する産業といっても過言ではないでしょう。

近年は時代のニーズに合わせたガラスの開発も進んでおり、断熱性を高めることで冷暖房効率を向上させることで室内環境をよくするだけでなく、二酸化炭素排出量削減にも寄与するガラスもあります。

自動車用フロントガラスも性能が上がっており、軽量ながら耐久性の高いガラスが開発されており、車体の軽量化につながるだけでなく、結果として自動車が排出する二酸化炭素削減にも役立っています。

今後はこうした付加価値の高いガラス開発が進むと予想されており、さらなる世界的シェアの拡大を目指しています。

ガラス業界の役割

ガラス業界は生活にも産業にも密接に関わる業界です。

住宅に使用するガラスであれば、気密性を高め快適な空間をつくり出すことに役立ちます。

産業で使用するものであれば、品質やコストに優れた製品を開発するのはもちろん、より安全性を高めたり、環境保護につながる製品を開発したりする役割もあるでしょう。

それ以外にも、パソコンのディスプレイやテレビ画面、ガラス製のスマートフォン保護フィルムなど、生活に欠かせない製品を多く作っています。

生活に密着した業界であるため、今後もニーズに合わせた製品開発が求められると共に、日本が世界に誇る業界のひとつとして、技術的にもシェア的にも世界をけん引することが求められるでしょう。

ガラス業界の企業の種類とビジネスモデル

板ガラスに強み

住宅や商業施設などで使われるガラスや自動車に使われるガラスなど、一般的によく目にするタイプのガラスを主に開発・製造しているメーカーです。

代表的な企業はAGC(旧旭硝子)や日本板硝子を挙げることができます。

板ガラスといっても種類はとても豊富に存在しており、用途によって採用するガラスは変わってきます。

例えばフロート板ガラスは歪みが少なく、平滑性にも優れている美しいガラスで窓をはじめとし、広く一般的に使われているガラスです。

フロートガラスをさらに加工してできる強化ガラスは、強度も増し、割れた際も粒状に砕けるため車のフロントガラスによく用いられます。

ほかにも、破損した際に破片が飛び散らず、延焼も防ぐのに役立つ網入りガラスは各種ビルの開口部に使用したり、特殊な中間膜をガラスで挟むことで防音性を確保した防音ガラスで音漏れが気になる住宅や施設に使用したりします。

板ガラスは生活と深い関わりがあるため、板ガラスメーカーは高い技術を活かし、便利で安全な製品を供給し続けることに企業価値があるといえます。

今後は海外メーカーの台頭も目立つと考えられており、日本メーカーとしては軽量・薄型など、より付加価値の高い製品供給が求められるでしょう。

液晶ガラスに強み

液晶ガラスはパソコンやスマートフォンなど、電子機器のディスプレイに使われるガラスに強みを持ち事業展開をしているメーカーです。

代表的な企業はAGC(旧旭硝子)や日本電気硝子で、アメリカのコーニング社を含めた三社で世界シェアの約9割を占めています。

AGC(旧旭硝子)は板ガラスでもトップシェアを誇る企業で、スマートフォンやタブレット、太陽電池用ガラス基板など、高い技術力を活かし多彩な製品展開を行っています。

一昔前の液晶テレビの普及に始まり、近年はスマートフォンの爆発的な普及により業績を伸ばしてきましたが需要も落ち着きを見せているようです。

板ガラス同様、今後は付加価値の高い製品開発やコスト削減を求められるでしょう。

ガラス業界の職種

研究・開発

ガラス素材の開発はもちろん、製造装置の開発職など、自社が製造を行うガラス関連の研究・開発を行う職種です。

業界全体として付加価値の高い製品が求められてきており、メーカー独自の強みを出すための研究・開発力が重要になってきます。

近年需要が高まっているエコガラスのように、用途やニーズに合わせた製品開発は企業の業績や方向性を左右するほど重要な職務を担っているといえます。

製造技術

メーカーにより職務範囲は変わりますが、製造ラインの設計や効率化を進める職種です。

特に製造工程の設計は品質や生産量に大きな影響を与えるため、量産化にあたって重要な役割を持っています。

自動車のガラスをはじめ、ニーズも技術も進化し続けるガラス業界において時代の先端を担うやりがいを感じられるでしょう。

物流

製品供給に大きな役割を持っているガラス業界において、物流職はとても重要です。

製品を安全・確実に供給するのは大前提で、その上でいかにコストを抑えるかが使命といえます。

輸送や保管、流通加工に梱包といった基本的な流れの中、PDCAサイクルを回すことで最適な物流機能をつくり上げていく責任を担っています。

ガラス業界のやりがい・魅力

ガラス業界で働く際のやりがいは、生活に役立つモノづくりに携われることでしょう。

板ガラス、液晶ガラス共に生活や仕事に必要不可欠な製品であり、空間を快適にしてくれる重要なものです。

それらの製品を自分の手で開発したり、製造したり、流通させたりすることは社会に貢献している実感を持ち、仕事に取り組めることでしょう。

また、ガラスと一言でいっても種類や素材はさまざまで、最新技術が集約されている製品ばかりです。

特に開発職などは最先端技術の現場で働けるチャンスも多様にあり、時代の先端技術を担うやりがいもあるでしょう。

冒頭で記したように、日本のガラス製造は世界でもトップクラスのシェアと技術を誇っているため比較的安定した業界といえますが、今後は海外メーカーの台頭も予想されています。

世界的にトップシェアを誇る日本のメーカーとしては、既存製品の品質アップや新技術を用いた製品など競争に勝つために付加価値の高い製品開発がさらに求められていくでしょう。

そうした状況の中、開発職は当然のことながら、製造技術職は効率的かつ品質のよい製品生産、営業職は付加価値を高める販売戦略、物流職は最終コストを抑えた経路確立など、これまで以上のシェア拡大と利益向上のため、職種を問わず成長が期待されています。

ガラス業界の雰囲気

研究開発が肝となるガラス業界ですので、理系学部出身者が多い傾向にあります。

大手のAGC(旧旭硝子)の場合、2018年の新卒者の4割は化学系を専攻しており、機械・電気・電子系などを含めると6割を超します。

しかしガラス業界は事業展開も職種も多彩なので、文系・理系問わず多様なバックグランドを持った人たちが働いています。

特にキャリア採用の場合、別業界からキャリアチェンジした人も多く、刺激も多くもらえるでしょう。

また、日本のみならず世界的シェア率も高いガラス業界は、当然海外での事業展開も盛んに行われています。

製造拠点や販売網拡大など、技術系・事務系問わず海外赴任できるチャンスがあるため、グローバルな視点で働きたい人にも向いている業界といえます。

ガラス業界に就職するには

就職の状況

高い技術力を誇り、トップシェアをキープするためガラス業界は積極的な採用が行われているようです。

暮らしに必要不可欠な製品の開発・製造を行っているため、永続的に求められる業界といえます。

そうした意味では比較的安定した業界といえますので、就職先としても人気があるのでしょう。

ガラスメーカーの多くは技術職の採用が多いため、当然ながら理系学生からの人気が高いようです。

今後は高付加価値の製品がさらに求められていくと見込まれており、新しい視点やチャレンジ精神を強く持った人材の確保は各メーカーの課題といえるでしょう。

就職に有利な学歴・大学学部

前項で記しましたが、2018年度のAGC(旧旭硝子)新卒採用者の約4割が化学系を専攻した学生です。

機電系も含めると理系専攻の採用者は約6割を超えており、製品開発が肝となるガラスメーカーにおいては理系専攻の学生が有利に就職活動を進められるでしょう。

研究、開発、設計といった専門性の高い職種が多いため、基本的に4年制大学・大学院修士課程、博士課程を卒業見込みの方が対象となります。

ただし、営業やマーケティング、物流など学部を問わない職種も多数あるので、ガラス業界に魅力を感じている学生は積極的なチャレンジ精神も重要です。

就職の志望動機で多いものは

ガラス業界は世界トップシェアを誇る、日本を代表する産業のひとつです。

働き方次第では海外を舞台に活躍するチャンスも多くあり、そうした将来像を強く持っていることはアピールになるでしょう。

また製品の開発や改良、新製品量産のための製造工程設計など、多くの職種は困難に立ち向かうケースが考えられます。

失敗を繰り返し自分で解決策を見出す場面も多いため、チャレンジ精神も求められるとともに、人間的にもスキル的にも成長意欲も求められます。

しかし実際はチームで仕事することも多いため、コミュニケーション能力や協調性も大事な要素となるようです。

そうした業界特有の事情に適応する姿勢を志望動機に盛り込むのもアピールポイントとなるでしょう。

ガラス業界の転職状況

転職の状況

世界的な不況や液晶ガラスに対するニーズが落ち着きを見せていたガラス業界ですが、エコガラスをはじめ新たな製品需要が高まりつつあります。

業績も回復傾向にあるため、キャリア採用専用のホームページをオープンするなど、中途採用にも各社積極的な動きを見せつつあります。

新卒採用同様、特に技術系の職種は募集数も多いため転職を考えている人は積極的な情報収集をするとよいでしょう。

転職の志望動機で多いものは

業界問わず、キャリアアップやスキルアップ、待遇アップを目指した志望動機が多いです。

技術系職種の多いガラス業界ですので、自分のスキルを上げたい人や別分野でスキルを活かしたいという志望動機もあるでしょう。

中途採用の場合、薬品や化学品、半導体メーカーといった他業界からキャリアチェンジを成功させるケースもあります。

その際は自分のスキルを活かし、どういったメリットを会社に与えられるかを具体的に盛り込むとよいでしょう。

転職で募集が多い職種

商品開発力が今後の業績を左右するため技術職の募集は多い傾向にあります。

求人情報を見ると研究開発や製造技術などの技術系職種を募集している企業は多く、自分のスキルを活かせる職種は見つけやすいでしょう。

技術系だけではなく、営業職や資材調達、マーケティングといった職種も募集していますので、スキルアップのみならずキャリアチェンジのチャンスも十分ある転職市場といえます。

どんな経歴やスキルがあると転職しやすいか

技術職の募集が多い傾向にあるため、同業界での実務経験者は即戦力となるため有利になるでしょう。

職種の幅が広いため、ガラス業界以外での技術職経験があれば転職チャンスはあります。

例えば化学品メーカーで接着剤開発に関わっていた人はガラスの接着技術に応用したり、資材メーカーで材料研究を行っていた人は素材開発力を活かした新製品を生み出したりなどのケースもあるでしょう。

前職で培ったスキルと知識は製品開発にプラスになることも多く、多様な経験を持った人材確保は企業としても積極的といえます。

ガラス業界の有名・人気企業紹介

AGC(旧旭硝子)

AGC(旧旭硝子)は国内外含め業界トップクラスのガラスメーカーです。

企業スケールを活かした高い技術力はもちろんのこと、付加価値の高い製品開発も活発的に行われ、業界のリーディングカンパニーといってもよいでしょう。

・創業:1907年(明治40年)
・資本金:12,536億円(2018年12月末日)
・連結売上収益:15,229億円(2018年12月期)
・連結従業員数:54,101名(2018年12月期)

AGC(旧旭硝子) ホームページ

日本板硝子

日本板硝子も日本を代表するガラスメーカーの一社です。

特に板ガラスの開発製造に強みを持っており、建築用ガラス事業、自動車用ガラス事業、高機能ガラス事業の3つのカテゴリーを中心に事業展開をしています。

・創業:1918年(大正7年)
・資本金:1,165億円(2019年3月期)
・連結売上収益:6,128億円(2019年3月期)
・連結従業員数:26,741名(2019年3月期)

日本板硝子 ホームページ

日本電気硝子

日本電気硝子は液晶ガラスに強みを持ったガラスメーカーです。

テレビをはじめ、ディスプレイや自動車、家電など多くの分野に製品を提供し業績を伸ばしてきた企業です。

・創業:1949年(昭和24年)
・資本金:321億円(2018年12月期)
・連結売上収益:3,003億円(2018年12月期)
・連結従業員数:6,875名(2018年12月期)

日本電気硝子 ホームページ

ガラス業界の現状と課題・今後の展望

競争環境

世界トップクラスのシェアと技術力を誇る日本のガラス業界ですが、今後はいかに付加価値の高い製品を提供できるかが業績を左右すると考えられています。

優秀な人材確保や得意分野を活かした事業展開など、差別化を図っていくと思われますが近年は第三国メーカーの台頭も目立ちつつあります。

特に中国メーカーは汎用品供給の価格面で優位に立っており、技術面ではまだまだ劣りますが今後脅威になりかねない存在といえます。

最新の(技術の)動向

汎用性の高い製品はコスト面での競争になるため、ここまで何度か記してきたように付加価値の高い製品提供がガラスメーカーの課題といわれています。

具体的にはエコガラスを筆頭に、UVカットガラスや発電効率を高める太陽光パネル用ガラス、割れにも傷にも強いスマートフォン用ガラス、鏡とディスプレイを融合させたガラスなど、市場ニーズを満たす製品開発が進んでいます。

今後も付加価値の高い製品開発に力を入れていくと考えられています。

業界としての将来性

ガラスは日常生活、建築、デバイス、自動車などあらゆるものに不可欠は製品です。

そのため世の中からなくなることは考えられず、安定した業界であるのは事実といえます。

しかし市場のニーズは時代と共に変化していくため、それらに対応できなければメーカーとしての力は衰退していくでしょう。

ガラス製品単体としてはもちろん、今後はIoTをはじめとした新しいテクノロジーも一般的になると考えられ、そうした技術に対しどう対応していくかも重要になってくるでしょう。

職業カテゴリー