コモディティとは

消費者が新しい価値を感じていた商品が、普及するにつれて「よくある商品」になることを「コモディティ」呼びます。

マーケティングの専門用語として使われる機会が多いため、聞いたことがない方も多いかもしれません。

例えば薄型テレビは、発売当初は特定のメーカーから発売される高額な商品でしたが、今ではコモディティ化し同じような商品が並んでいます。

これまで家電製品はコモディティ化しやすい商品といわれていましたが、現代は昔に比べてさまざまな分野で商品のコモディティ化がみられるようになっています。

コモディティの意味を理解し、その原因や課題について確認していきましょう。





コモディティとは

コモディティとは、「一般化した商品」という意味で使われるマーケティング用語です。

一般化した商品とは、ある商品が市場にでまわることで差別化が難しい状態になり、日用品のように「一般的なモノ」になった商品のこと。

新しく発売された商品が人気商品になったとしても、市場を独占し続けることはあまりありません。

なぜなら商品に需要が見込めることがわかると、似た特徴をもつライバル商品が続々と市場に投入されるからです。

似た特徴をもち同じような品質の商品があふれた時点で、「一般化した商品」となります。

つまり、コモディティとなるのです。

コモディティは商品だけでなく、サービスに対して使うこともあるため、ビジネスの現場では「コモディティ化した~」という表現が使われることが多いようです。

金融用語から派生した「コモディティ」の本来の意味

コモディティは英語の「commodity」からきており、直訳では単に「商品」を意味する言葉です。

そこから派生し、現物取引を行う金融市場で日用品や鉱産資源、鉱物などの「一般商品」を指す言葉として主に経済・金融用語として使われていました。

そのため本来の意味は「商品」ではありますが、マーケティング用語では商品に意味づけが行われている点を理解しておきましょう。

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コモディティが引き起こす現象と課題

モノづくりが技術をもつ特定の企業によって行われた時代には、商品がコモディティ化するまでにはある程度の時間がかかりました。

ところが技術の進化やIT分野の著しい発展によって、コモディティ化が加速。

現代ではさまざまな分野でみられる現象になりつつあります。

コモディティはものづくりを行う企業にとって重要な経営課題といわれますが、コモディティ化すると企業や消費者にはどのような影響があるのでしょうか。

コモディティ化による消費者へのメリット

消費者からみると、さまざまな種類の商品があることは、選択肢が増えるということと同じです。

ほしいものが手に入るやすくもなるでしょう。

また価格競争が行われることは、お得な価格で購入できる機会が増えることにもつながります。

一見、良いことだらけのようですが、もう少し詳しくみていくと良いことばかりではないようです。

コモディティ化による企業へのダメージ

企業が新商品を作る際にはライバルの商品に負けないよう、差別化を図るために機能やデザインなどに特性を持たせます。

競争の中で互いに切磋琢磨することによって、新しい技術が開発されたり、機能の水準が向上したり、健全な競争は業界全体に良い影響を与えます。

ところが現在は、技術の進化やライバル商品が増えすぎたことで差別化が難しくなり、過度な価格競争に突入。

例えば、パソコンや家電などの電子機器は、低コストで作られた類似品がすぐに出回り、常に激しい価格競争が行われています。

商品を最初に開発し市場に投入したメーカーは、類似品を作る企業に比べ、研究や開発に多くの投資を行っています。

そのため投資に見合った価格で販売できなければ、次の新しい商品を作ることはおろか、企業の存続さえ危うくなってしまう可能性があるのです。

企業が低価格競争をせざるを得ない状況は「コモディティ ヘル(地獄)」と呼ばれ、日本に限らず世界中の企業において、脱コモディティ化が重要な課題となっています。

コモディティ化による市場の縮小

商品の価値より価格が優先されることは、経済全体でも大きな損失となるリスクを秘めています。

低価格商品が溢れると市場は縮小する可能性が大きくなり、メーカーの売上げが落ちるということは、そこで働く社員の収入が減ることにもつながります。

コモディティ化はよい点もありますが、巡りめぐって消費者にも影響を与える大きな問題といえるのではないでしょうか。

コモディティ化を脱却する方法と企業の事例

多くの分野で避けることが難しいコモディティ化ですが、価格競争に巻き込まれないために独自の戦略で商品を開発する企業もあります。

事例をみながら、コモディティ化しないためのポイントを確認しましょう。

ブランディングを構築し、価値を向上させる

コモディティ化を防ぐための方法のひとつが、ブランドイメージの構築や向上です。

日本で人気の高いラグジュアリーブランドで販売される高級趣向品は、新商品が発売されても他の商品が値下がることは基本的にありません。

それでも買い続ける人は常に存在し、熱狂的なファンもいます。

他のブランドがマネできない品質やこだわり、またブランドイメージによって、顧客が愛着や価値を感じているのでしょう。

ブランドの価値を高めることができると他の商品との同化は起きず、コモディティ化しないということです。

ただし、ブランドイメージは築くまでの苦労と同じくらい、維持し続けることが大変です。

一度よいイメージが定着しても、常に向上させるための企業努力は欠かせないといえます。

顧客と製品を設定しなおす

世の中にすでにある商品の場合、製品の概念や顧客の設定を固定化しがち。

同じ層に向けて同じような商品を提供するということは、コモディティ化の道へ進むことと同じです。

すでにある商品を新しく定義しなおした事例として挙げられるのは、アップルが手がけたiPhoneでしょう。

iPhoneが公開される以前の携帯電話市場は、機能改善が進むだけで製品の差別化はすでに頭打ち状態。

そんな中、まったく新しい携帯電話として登場したスマートフォンは、携帯電話としてではなく、iPod、携帯電話、インターネットの3つの機能を1つにした革新的なデバイスとして発表されました。

人々が持つ「携帯電話とは何か?」という概念を変えるほど、大きなインパクトを与えたのです。

iPhoneは2007年の登場以来、すでに10年が経過するブランドですが、競争の激しいスマートフォン市場で不動の地位を確立しています。

この記事のまとめ

薄型テレビが初めて発売された頃、日本の家電メーカーは過去最高の売上額を記録しました。

当初は高額な商品でしたが、ブラウン管からの切り替えという大きな需要に支えられ、一気に普及。

その後、海外メーカーの台頭もあり激しい競争が行われるようになりました。

すでにコモディティ化している薄型テレビですが、登場から激しい価格競争が行われるようになるまでには8年程度の時間がありました。

ところが現在は商品がコモディティ化し、価格競争が始まるまでの期間が非常に短くなっています。

よほど特別なものを除いて、商品のコモディティ化はごく自然にみられる現象ではありますが、現在のコモディティ化の速度は、企業の存続や市場にまで影響を与えるほどはやくなっているようです。

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