大学無償化の対象校はどこで探す? 無償化となる条件は?

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2020年4月より「高等教育の修学支援新制度」がスタートしました。

この制度は一般的に「大学無償化」と呼ばれているため、まるで大学の授業料が必要なくなるように捉えられる場合があります。

しかし、支援額は世帯年収などいくつかの条件によって異なります。

また、進学する大学によっては、減免の対象にならない場合もあります。

大学無償化の対象校の探し方や、無償化となる条件について確認しておきましょう。

大学無償化の条件とは?対象校はどこで探すことができる?

日本国内には1074校もの大学・短大がありますが、そのすべてが大学無償化の対象になっているわけではありません。

志望する大学が大学無償化の対象になっているかどうか、事前によく確認しておく必要があります。

では、大学無償化の対象となる学校はどのような条件で決まっているのでしょうか。

また、対象校はどうすれば調べることができるのでしょうか。

経営に問題がなく十分な教育体制が整っている学校が対象

大学無償化の対象となる学校には、大学・短大・専門学校・高等専門学校があります。

対象となる学校の要件は「大学等における修学の支援に関する法律」に細かく定められており、それらの要件をクリアしていることが必須となります。

たとえば、経営状態に問題がなく、十分な教育体制が整っていることなどが条件となっています。

また、大学無償化の制度を利用するには、大学が国に申請し、所定の条件を満たしているか審査を受けなくてはなりません。

令和元年9月時点で制度の利用を申請した学校は、1074校のうち97.1%にあたる1043校で、申請したすべての学校が要件を満たして認定されています。

参考:高等教育の修学支援新制度 機関要件の確認申請・審査の概要

別の見方をすれば、1074校のうち31校は大学無償化制度の対象になっていません。

「有名な大学だから、もちろん無償化の対象にもなっているだろう」などと憶測で判断するのではなく、本当に無償化の対象になっているかをしっかりと調べることが重要です。

大学無償化の対象となっている大学を調べる方法

新たに大学無償化の対象になった大学や、反対に無償化の制度利用をやめた学校は、すみやかにその事実を公表することが義務づけられています。

つまり、大学無償化の対象となっているのはどの大学なのかは、公表されている資料を閲覧すれば確認できるのです。

下記は、文部科学省が令和元年9月20日時点で公表している大学無償化の対象校です。

参考:大学等における修学の支援に関する法律(令和元年法律第8号)による修学支援の対象機関となる大学等(確認大学等)について令 和 元 年 9 月 2 0

大学名を検索することで、志望校が大学無償化の対象になっているかどうかを調べることができます。

大学だけでなく、短期大学や高等専門学校も掲載されていますが、専門学校に関しては上記のリストにはありません。

行きたい専門学校が無償化制度の対象になっているかどうかは、学校へ直接問い合わせて確認するのが確実です。

大学無償化の対象校は更新されるので要注意

大学無償化制度についての注意点として、無償化の対象となる学校は更新されることが挙げられます。

いったん無償化の対象校となったからといって、今後もずっと対象校であり続けるとは限りません。

反対に、現時点で無償化の対象になっていない学校であっても、今後新たに申請するなどして無償化制度を利用することもあり得ます。

情報は随時チェックするようにし、以前調べたことがずっと変わっていないという保証はないことを念頭に置くようにしましょう。

大学無償化の対象となる条件とは?

次に、学生側が大学無償化の対象となるには、どのような条件があるのか確認しましょう。

志望校が大学無償化制度を利用していたとしても、制度が適用される条件に合っていなければ授業料の減免などは受けられません。

大学無償化の対象となるには、世帯年収、保有資産といった経済状況に関する条件と、学寮成績、学習意欲といった学生自身の学業への取り組みに関する条件があります。

具体的には、どのような条件を満たしている必要があるのでしょうか。

世帯年収の目安

大学無償化は「授業料の減免」と「給付型奨学金」の組み合わせによって成り立っています。

世帯年収に応じて、減免と給付の度合いが3段階に分かれる仕組みになっています。

まず、住民税非課税世帯については減免額・給付額ともに100%となり、満額の支援を受けて大学に通えるようになります。

住民税非課税世帯に準ずる世帯の場合、世帯年収によって減免額・給付額がそれぞれ2/3、1/3と2段階に分かれます。

下の表は、3つの区分のうちどこに該当するかを世帯年収の目安で示したものです。

住民税非課税 準ずる世帯
第Ⅰ区分 第Ⅱ区分 第Ⅲ区分
支援額 3分の3 3分の2 3分の1
ひとり親世帯 子1人(本人) 〜約210万円 〜約300万円 〜約370万円
子2人(本人・高校生) 〜約270万円 〜約360万円 〜約430万円
子3人(本人・高校生・中学生) 〜約270万円 〜約360万円 〜約430万円
子3人(本人・大学生・中学生) 〜約290万円 〜約390万円 〜約460万円
ふたり親世帯 子1人(本人) 〜約220万円 〜約300万円 〜約380万円
子2人(本人・中学生) 〜約270万円 〜約300万円 〜約380万円
子3人(本人・高校生・中学生) 〜約320万円 〜約370万円 〜約430万円
子3人(本人・大学生・中学生) 〜約320万円 〜約400万円 〜約460万円

参考:支援対象者の要件(個人要件)等 <所得に関する要件と目安年収>

ここで示されている世帯年収はあくまで目安です。

実際には、家族構成や収入の種類などによってどの区分に該当するかは変わる場合がありますので、下の数式に当てはめて算出する必要があります。

【算式】
市町村⺠税の所得割の課税標準額×6%−(調整控除の額+税額調整額)

【基準額】
・第Ⅰ区分(標準額の支援) 100円未満
・第Ⅱ区分(標準額の2/3支援) 100円以上〜25,600円未満
・第Ⅲ区分(標準額の1/3支援)25,600円以上〜51,300円未満

保有資産の目安

世帯年収以外にも、家計の状況に関する条件には保有資産も含まれます。

具体的には、保有資産が2000万円未満(生計維持者が1人の場合は1250万円未満)が、大学無償化の適用条件となります。

資産とは、現金や現金に準ずるもの(投資用資産として保有する金・銀等、預貯金、有価証券の合計額を指し、土地等の不動産は除く)を指しています。

資産に関しては証明書等の提出は不要とされています。

前述の世帯年収とあわせて、経済状況に関する基準は複数の条件が組み合わさっており複雑です。

自分が無償化の対象となるか知りたい場合には、JASSO(独立行政法人日本学生支援機構)が提供している「進学資金シミュレーター」を利用するとよいでしょう。

参考:進学資金シミュレーター(JASSO)

学業成績(評定)と学習意欲

大学無償化制度の対象となるかどうかは、学生自身の学業成績や学習意欲も関わっています。

具体的には、高校2年次までの評定平均が3.5以上の場合は高校での進路指導において学修意欲を判断します。

評定平均が3.5未満の場合は、レポートまたは面談を通じて学習意欲を判断します。

授業料減免や給付型奨学金の支給によって、大学入学後も勉学に励み、しっかりと成果を挙げられる生徒かどうかを判断されると考えていいでしょう。

つまり、大学無償化制度を利用したいのであれば、高校入学後からきちんと評定点を取れるように定期テストで点数を取り、生活態度についても十分に留意する必要があることが分かります。

大学無償化についてとくに注意しておきたいこととは?

大学無償化制度がどのような仕組みになっているか、ここまで解説してきました。

ところで、大学無償化制度を利用するにあたって、いくつかとくに注意しておきたい点があります。

意外と見落としがちな事務手続き上の注意点になりますので、大学無償化制度を利用して授業料減免や給付型奨学金の給付を受けたい場合は、事前に準備しておくようにしましょう。

高校3年の7月頃までに申請しておく必要あり

大学無償化制度を利用するための手続きは、志望校へ出願する際や大学入学後に手続きを行えばいいわけではありません。

目安として、高校3年の春には制度を利用するかどうかを決めておき、7月頃までには申請を終えておく必要があります。

人によっては、まだ志望校をどこにするか迷っている時期という場合もあり得ますので、早めに志望校を決めておき、具体的な手続きを進める必要があることを頭に入れておきましょう。

このとき、高校から必要書類を取り寄せた上で、JASSOへインターネット(スカラネット)で申請することになります。

事前に高校から書類を入手しておく点がポイントとなりますので、あらかじめ担任に相談するなど、手続きがスムーズに進められるよう備えておきましょう。

申請に際してマイナンバーカードを取得する必要あり

JASSOへの申請はインターネットで行いますが、併せて郵送でマイナンバーを送付する必要があります。

申請はインターネットによる申請と郵送による申請の2通りの方法があり、自治体から郵送される個人番号カードと顔写真を提出します。

マイナンバーが交付されるまで不備がない場合で1ヶ月間程度かかります。

「大学無償化の手続きにマイナンバーが必要になる」という点は意外と知られていませんので、直前になって慌ててしまわないよう、早めに用意しておくことをおすすめします。

大学無償化は2020年4月に始まった制度のため、具体的な対象校の調べ方や適用される条件についてまだあまり知られていない面もあります。

授業料の減免や給付型奨学金が適用されれば、大学4年間でかかる学費を大幅に抑えられる可能性もあるため、制度について正確に理解しておきましょう。

自分の志望校が大学無償化の対象校であるかどうか、無償化の対象となる条件を満たしているかどうかを、この機会に調べてみてはいかがでしょうか。