ブライダル業界(読了時間:12分28秒)

ブライダル業界とは

ブライダル業界とは、挙式や披露宴などのサービスにかかわる業界のことです。

バブル期には「派手婚」といわれ、大勢の参列者を呼んで挙式や披露宴を高い費用を払って行うのが一種のステータスとなっており、ブライダル業界の需要も高い時代でした。

近年の日本では、少子高齢化や若年層の婚姻率の低下により、年々挙式を上げる数は減ってきています。

また、結婚はしますが挙式を挙げない「なし婚」を選択する人も増えていたり、費用を抑えて家族だけでの小規模な結婚式を行うなど、価値観の多様化により挙式・披露宴の在り方も変化している状況です。

そのため、業界自体は決して順調に拡大しているとはいえない状況にあります。

しかし、すべての企業が不調というわけではなく、勝ち負けがはっきりしている業界ともいえます。

人気の式場は金額が高くても予約待ちとなる状況がありますし、他社と差別化したサービスを提供しているブライダル企業に依頼が集中している状況です。

今後も婚姻数が減少する中で、いかに価値のあるサービスを提供できるかが重要となる業界です。

ブライダル業界の役割

結婚は、人生の中でも大きなイベントのひとつです。

その貴重なイベントを思い出深いものにするためにサービスを提供するのがブライダル企業の役割になります。

ブライダル業界は、景気や流行の影響を大きく受ける業界です。

景気がいい時代は、非日常の空間を演出する豪華な装飾が施された式場で、来賓に豪華な食事を提供し大勢で楽しむスタイルが多くありました。

しかし近年は、個々のカップルの価値観やニーズが多様化している時代で、結婚式を重視しないカップルも増えています。

ブライダル企業が提供する挙式プランのような通り一辺倒のサービスを希望するカップルは減少し、独自性や自分たちらしさを重視する考えが主流となっています。

そのため、結婚するカップルの多様化した価値観や希望を具現化し、大切な思い出をプロデュースすることもブライダル企業の役割となります。

ブライダル業界の企業の種類とビジネスモデル

ブライダル業界は、挙式、披露宴が中心的なサービスとなりますが、それを執り行うまでに様々なサービスが参入しています。

この章では、代表的なブライダル関連サービスを解説します。

ブライダル媒体サービス

結婚が決まり、挙式、披露宴を行うことが決まったカップルやその家族などに対して、情報提供を行うサービスです。

主に、雑誌やインターネットで情報提供を行う媒体が多く、式場、披露宴プラン、結婚指輪など結婚に関する情報を網羅的に提供しています。

これらサービスの提供企業としては、結婚情報サイト・雑誌「ゼクシィ」を提供するリクルート、結婚口コミサイト「みんなのウェディング」を運営する株式会社みんなのウェディングなどがあります。

ウェディングプロデュースサービス

結婚式の挙式や披露宴会場を決めるサポートをするのがウェディングプロデュース会社です。

前述した通り、結婚式のスタイルが多様化している現代においては、会場選びやサービス内容も多様化しています。

「どこを選んだらいいのかわからない」という人も多く、数ある中から最適なプランを提案し、決定後は会場と連携して準備を行い当日のサポートも行います。

この分野の代表的な企業としては、株式会社テイクアンドギヴ・ニーズ、ワタベウェディング株式会社、株式会社ツカダ・グローバルホールディングなどがあります。

挙式、披露宴会場

挙式には、日本古来からの神社で行う神前式や教会で行う教会式があり、各地の神社や教会で行われます。

教会には、先に紹介したウェディングプロデュース企業が直営で運営するものもあります。

また、挙式会場と披露宴会場が隣接している施設もあります。

さらに、近年は一軒家の洋館や戸建てを貸し切って挙式を挙げるスタイルも流行しています。

このスタイルでは建物全体を使うことができ、規模により少人数から大人数まで対応可能な点で人気を博しています。

ホテルウェディングを提供するのは、ホテル椿山荘東京やホテルインターコンチネンタル東京ベイなどの有名ホテルがあります。

また、ハウスウェディングは、異業種から参入したAOKIホールディングスが提供する「アニヴェルセル」があります。

ウェディング業界の職種

ウェディング業界には、式場の準備段階からかかわる職種、式当日に活躍する職種などさまざまあります。

この章では、代表的なウェディング業界の職種を紹介します。

ウェディングプランナー

ウェディングプランナーは、結婚を予定しているカップルのニーズを聞き取り、最適な結婚式プランを提案します。

全体予算や会場、式の段取りなどの詳細を具体的に決めていき、関係者と打ち合わせを行い実行プランを立案します。

結婚式当日は、式が問題なく進行しているか管理する、現場監督のような役割を務めます

バンケットスタッフ

バンケットスタッフは、結婚式当日に式がスムーズに進行するように、サポートする職種です。

料理の配膳や新郎新婦の入退場のサポート、参列者の問い合わせに応えるなど、式の間のさまざまな補佐を行います。

式の段取りを把握し、注意するポイントには、そっとサポートを行い、雰囲気を壊すことなく式がスムーズに進行するように手助けする役割ですので、注意力が必要になる職種です。

司会者

司会者は、結婚式を盛り上げ、スムーズに進行させるのに重要な職種となります。

予め決まった式次第通りに式を進行させつつも、盛り上げるところや感動させるところなど緩急をつけたトーク力など、高度なスキルが必要となる職種です。

結婚式の司会を専門に行っている、フリーランスも多く存在します。

ヘアメイクアップアーティスト

 
ヘアメイクアーティストは、結婚式当日のヘアスタイルやメイクアップを担当します。

結婚式の写真は一生の宝物になりますので、その際のヘアスタイルやメイク、衣装のバランスは非常に重要になります。

そのため、イメージ通りに仕上がるように、準備段階から新郎新婦と入念に打ち合わせを行う項目のひとつです。

お色直しをおこなう際は、ドレスに合わせて短時間でヘアスタイルとメイクをアレンジするなど、丁寧かつスピーディーな対応が必要な職種です。

ドレスコーディネーター

ドレスコーディネーターは、新郎新婦の衣装のコーディネートを行います。

数あるウェディングドレスの中から、新郎新婦の意向に合ったドレスを見つけて提案します。

また、お色直しは通常カラフルなドレスを選ぶ方が多いですが、新郎新婦2人がマッチする色のコーディネートを提案するなど、そのセンスが重要となる職種です。

ウェディング業界のやりがい・魅力

ウェディング業界でのやりがいは、何といっても人の人生の中でも重要なイベントである結婚に関わることができる点です。

結婚するカップルや結婚式に参加する人たちが、心に残る結婚式となるかどうかは、ウェディング企業の提供するサービスの内容が非常に重要になります。

また、お客さまが喜んでもらえるようなウェディングプランを考え出すのも、やりがいのひとつです。

前述の通り、近年は結婚式のスタイルが多様化しているため、それぞれのニーズを実現化させるのは簡単ではない場合があります。

しかし、それらを具現化し、結婚式を挙げたカップルだけでなく、参列者に感動してもらう式が運営できたときにやりがいを感じることができるでしょう。

ウェディング業界は、さまざまな職種があるため、給与体系や待遇もさまざまです。

花形職業といわれるウェディングプランナーの場合、平均年収は250万円から450万円といわれています。

金額に差があるのは、未経験の場合は年収が低く、経験を積み、役職などが付いた場合に給料が上乗せされる場合が多いためです。

また、ウェディングプロデュースや挙式・披露宴の運営企業は、結婚式という性質上、土日に行われることが多いためシフト制勤務となり、平日労働土日休みという、一般企業のような働き方は難しい場合が多いです。

華やかなイメージが強い業界ですが、それをプロデュースしサポートする職種は、きめ細やかな心遣いや調整が必要となる業務が多いです。

そのため、勤務が長時間になったり、繁忙期には充分な休みが取れない場合もあるなど、華やかな表舞台とは違う部分もあることを理解しておきましょう。

ウェディング業界の雰囲気

ブライダル業界にはさまざまな職種があり、必要とされる能力にも違いがありますが、業界の雰囲気として共通している部分もあります。

業界全体としては、華やかなサービスを提供するため、サービス精神旺盛で、人に喜んで貰うことを自分の喜びと出来る人が多く集まる明るい雰囲気の企業が多いです。

挙式や披露宴というイベントをプランニングし実行する過程では、結婚式を挙げるカップルだけでなく、さまざまな人とのコミュニケーションが重要となります。

そのため、コミュニケーション能力が高く、お客さまのニーズを的確に理解し、それに合わせたプランの提案ができるなど社交的で、プレゼン能力の高い人が多い傾向にあります。

また、結婚式がトレンドに左右される部分があるため、流行に敏感で感性が優れており、それをウェディングプランに反映させることができるなどのプランニング能力が高い人も多いです。

ブライダル業界に就職するには

就職の状況

大手のウェディングプロデュース企業やホテルなどの会場を運営する企業を中心に、新卒採用は定期的に行われています。

これらの大手企業は、給与や福利厚生が充実している企業が多いため競争率が高い状況です。

企業が必要と感じる人材となるためには、ウェディング業界を希望するにあたり、業界研究を行うだけでなく、各企業の研究もしっかりと行い、まずは業界を知ることが必要ですし、その上で、自分が勉強してきた知識や強みを、企業にアピールすることが重要となります。

また、司会者やメイクアップアーティストなどの職業は、企業に雇用される場合もありますが、個人事業主として複数の挙式会場を担当している場合もあります。

企業に就職する以外でも、ウェディング業界に携わることができる点を覚えておきましょう。

就職に有利な学歴・大学学部

ブライダル業界に携わるために必須の知識や資格はなく、文系や理系を問わずに入職できる業界です。

ウェディング業界に関連した学部としては、「観光学部」や「経営学部」などが該当します。

これらの学部はブライダル業界の知識を学ぶというよりは、少し広い視野で、観光学などの観点からサービス業の研究をしたり、経営的な観点からウェディング業界を研究する場合が該当します。

また、近年は、専門知識やスキルを積み、即戦力のウェディングプランナー人材を育成するための専門学校もあり、充実した実技研修やカリキュラムを提供しているところもあります。

ウェディング業界でどのような仕事をしたいのかイメージして、それに合った学校を決めていきましょう。

就職の志望動機で多いものは

就職の志望動機として多いのは、

・人生の大事なイベントや感動、思い出に残る瞬間に携わる仕事がしたい。
・人に喜んでもらえる仕事がしたい。
・自分がプランニングした結婚式で多くの人を感動させたい。

などがあります。

多くの志望動機の根幹には、人を喜ばせるサービスを提供することや役に立つことで、自分も喜びを感じることができる奉仕の精神があります。

これらの志望動機は、ウェディング業界に共通するものですので、企業の志望動機とする場合は、なぜ数ある企業の中からその企業を選んだのか具体的な理由も添えると、さらに説得力のある志望動機となります。

ウェディング業界の転職状況

転職の状況

中途採用の求人は、不定期ですが「ある」状況です。

業界自体が、婚姻数の減少や「なし婚」が増えており、成長市場とはいえないため、増員募集というよりは欠員に対する募集を行う企業が多い状況です。

また、個人事業でウェディングプランナーやメイクアップアーティストとの契約の募集を出している企業もあり、経験のある即戦力人材を確保しようとする企業もあります。

転職の志望動機で多いものは

転職の志望動機として多いのは、

・同業他社で働いた経験があり、転職を希望する企業の事業展開や、企業理念、サービスに魅力を感じ、携わりたいと思った。
・結婚式を経験して感動し、人生の重要なイベントを自らプロデュースできるウェディング業界で働きたいと思った。
・元々、サービス業で働いており、感動を提供できるウェディング業界に興味を持ち、働きたいと思った。

などがあります。

いずれも、ウェディングを通して感動を提供したいという思いから、転職を希望する人が多いようです。

転職で募集が多い職種

募集が多い職種としては、ウェディングプランナーです。

ウェディングプランナーは、結婚式予定のカップルだけでなく、事前準備の為に社内の関係部署との連絡調整を行ったり、当日に参列者のサポートをするなど、さまざまな関係性をつなぐ役割を担います。

そのため、知識だけでなく経験豊富で臨機応変に対応できるウェディングプランナー経験者を即戦力として、採用しようとする企業が多いようです。

どんな経歴やスキルがあると転職しやすいか

ウェディング業界は、未経験でも比較的入職しやすい業界といわれています。

理由としては、必須となる資格や専門的な知識が、それほど重要とならないためです。

それよりも、人とのコミュニケーション能力や対応力、サービス業としての礼儀作法等が重要視されます。

これらの基本的なビジネススキルを備えておくことで、業界未経験であっても挑戦の機会が得られる場合があります。

ただ、前述した通り、ウェディングプランナーやメークアップアーティストをはじめ、経験とスキルが必要となる職種もありますので、応募する企業の意向を確認しましょう。

ウェディング業界の有名・人気企業紹介

株式会社テイクアンドギヴ・ニーズ

幅広いウェディングプロデュース業を展開することで、売上高は業界一位を誇る東証一部上場の企業です。

全国で式場を運営しており、ハウスウェディングやレストランウェディングなど、独自の挙式披露宴の提案を強みとしています。

また、事業展開もウェディング領域にとどまらず、ホテル経営やレストラン経営など、幅広く事業展開をしています。

株式会社テイクアンドギヴ・ニーズ ホームページ

株式会社ツカダ・グローバルホールディング

 
ブライダル事業を中心にレストランやホテル事業など、幅広く事業展開している企業です。

全国に拠点があり、お客さまのさまざまなニーズに合わせた結婚式の提案ができることに強みがあります。

また、海外にもハワイやバリ島などで式場を運営しており、海外ウェディングの事業展開も行っているグローバル企業です。

株式会社ツカダ・グローバルホールディング ホームページ

ワタベウェディング株式会社

 
ワタベウェディングは、「リゾ婚」と呼ばれる、リゾート地域での結婚式に強みを持っている東証一部上場企業です。

特に、海外での挙式の提案に強みがあり、挙式参列者を対象とした旅行事業も展開しています。

また、さまざまな割引サービスを展開するなど、結婚資金の限られるカップルを中心に人気を博しています。

さらに、衣装の貸出しや着付けサービス、写真撮影などのウェディングのトータルサービスを多角的に展開しているという特徴もあります。

ワタベウェディング株式会社 ホームページ

ウェディング業界の現状と課題・今後の展望

日本では、人口減少や婚姻数の減少化が進んでいます。

また、結婚式にはお金をかけない、結婚式自体を行わない「なし婚」等の価値観の変化により、ウェディング業界は需要が高い状態ではありません。

また、景気に左右される業界でもあるため、景気が悪化した場合は不調となる業界でもあります。

しかし、お客さまのニーズをうまく捉えたサービスを提供する企業は、予約待ちになるほど人気が出るなど、企業によって勝ち負けがはっきりとした状況にもなってきています。

各社は、多様化する結婚式へのニーズへの対応力をあげたり、通り一辺倒の挙式プランではなく、他社と差別化したサービスの提供を強化しており、今後もこの競争状態は続くことが予想されます。

近年、各業界ではICT技術の活用やAIの導入が進んでいますが、ウェディング業界も例外ではありません。

情報管理業務などをデジタル化することで、今まで人が行っていた作業を機械が行うという場面も多くなってきました。

しかし、ウェディング業界の根本にある、感動を作り出すという点は、機械で代替できる業務ではありません。

家族や参列者への感謝の意を表す意味合いもある挙式や披露宴には、人の手がかかる部分が多く残っています。

人が考えだしたプランで感動でき、価値のあるウェディングをプロデュースし続けられることが、企業や業界が成長してく鍵となるでしょう。

職業カテゴリー