介護福祉士の理想と現実のギャップ
私は両親の仕事の関係で幼い頃から祖父母と関わる時間が長く、その経験から自然と介護福祉士になりたいと思うようになりました。
そして夢だった介護福祉士になり、現場で働いてみて理想と現実の違いに衝撃を受けることがいくつかありました。
今回はその体験をいくつかお話しさせていただきたいと思います。
介護福祉士の”理想”ってなに?
みなさんが想像する介護福祉士の理想の姿は、大半の人が同じであると思います。
笑顔の職員が笑顔の利用者様と和やかにお話しする姿、落ち着いてのんびりとベッドから車イスに移乗介助をする姿、にこやかに食事介助をする姿…
大体の方が、このような理想の姿を思い描かれるのではないかと思います。
もちろんこの理想とされる場面もよくありますが、現実はこのような和やかな雰囲気は長く続かないことのほうが多いのです。
介護福祉士の”現実”
介護の現場は想像以上に過酷です。
すべての業務が時間内に終わるか終わらないかギリギリの状態で、その上でさまざまなトラブルに対応しなければならない状況が毎日のようにあります。
1つ例を挙げると、私がいた職場は午後から10名のオムツ交換を1人で対応しなければならない時がありました。
何もなければ時間内に終わりますが、シーツや布団まで汚染があることもあります。
それが何名も続いた場合、着替えからシーツ交換まですべて1人でやらなければなりません。
しかし利用者様のおやつの時間も迫ってきます。
間に合いそうにない時はほかの職員に応援を頼みます。
応援職員におやつ介助をお願いし、その間に急いでシーツ交換を終わらせます。
終わった後は洗濯におやつ介助にと、休む暇はありません。
ほんの一部ですが、ここまで休む暇がないとは思わず、はじめの頃は疲弊しきっていました。
なぜここまで忙しいのか?
介護職の現場は常々ニュースになるように万年人手不足です。
実際私が働いていた職場でも職員が足りておらず、ひとまず最低数の職員で回して対応が難しい場合はほかのグループから応援を呼ぶ、という形が何度も取られていました。
トラブルが何もなければ最低数でも業務は回りますが、なにかしらトラブルが起きることのほうが多いのが現状です。
ですので応援を呼ばずに済む、ということはほとんどありませんでした。
この人手不足という現状が、忙しさの一番の原因である、といえます。
なぜ常に人手不足?
介護は「きつい・汚い・危険」というイメージが強く根付いていること、とても大変な仕事なのに給料が安いこと、などが挙げられると思います。
介護職に就いても業務の過酷さと給料の見合わなさに離職する人も多いのが現状です。
しかし最近はそのような離職を防ぐために、施設によっては給料を上げたり、職員の身体への負担軽減のために介護ロボットなどを導入している所もあります。
このような業務や待遇の見直しがもっと多くの施設で行われていけば、介護福祉士の理想と現実の大きな差も縮まっていくかもしれません。
理想:和やかに介護や会話が行われている、穏やかな雰囲気
現実:常に休む間もなく動いている、慌ただしい雰囲気
介護福祉士の理想と現実の差はかなり大きいと思います。
過酷で大変な現場ですが、高齢者が好きな方や福祉に興味のある方にはやりがいを多く感じることのできる職業でもあると思います。
さまざまな体験談などを読んでみて、今後の仕事選びに活かしていただければ幸いです。