文学とは? 大学で学ぶことや就職先は?
文学の概要・理念
文学とは、端的に言えば言葉による創作物を研究対象とする学問の総称です。
文学と聞くと、小説や物語といった文字で書かれた作品を想像するのではないでしょうか。
しかし、学問における文学は口承で伝えられてきた物語をはじめ、詩歌や戯曲、能楽、オペラといった作品も文学の研究対象となります。
言葉によって創作された作品は、そのほとんどが文学として扱われると考えて差し支えありません。
人類は古くから言葉による創作物を数多く作ってきました。
現在知られている最も古いものでは、紀元前に作られたと見られる文学作品も存在します。
長い歴史の中でその当時の社会情勢や思想の影響を受けながら、歓喜や悲哀といった人間の感情が刻まれてきた文学作品は、貴重な記録であり史料として見ることもできます。
そういった文学作品をさまざまな視点から鑑賞し研究することで、作者の根底にある思想を読み解いたり、現代にも通じるメッセージを解明したりするのが文学なのです。
文学で学ぶこと
文学には大きく分けて文学作品を読み解き評論する「文芸評論」、文学とは何かを根本的に問う「文芸理論」、作品を実際に作るための方法論を学ぶ「文芸創作」という3つの分野あります。
文芸理論はさらに「作品論」と「作家論」に分かれます。
作品論では、特定の作品または複数の作品を研究対象とし、そこに描かれている人物や情景について作者の意図や込められたメッセージを読み解きます。
作家論では、作家が生きた時代状勢を加味しつつ、創作の担い手として伝えたかったことや後世に与えた影響などについて研究します。
文芸理論や文芸創作においても、具体的な作品や作家を研究対象として取り上げることがあります。
文芸創作では、実際に自分の手で小説などを創作し、大学においては卒業時に卒論に代わる作品として提出する場合もあります。
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文学の大学での授業科目の例
英文学
英語で書かれたイギリス文学とアメリカ文学を主な研究対象とし、英米文学と呼ばれることもあります。
日本文学
日本語で書かれた創作物を研究対象とし、物語や和歌・俳句・短歌、詩、能楽、戯曲なども研究対象となります。
中国文学
中国語で書かれた創作物を研究対象とし、文語体で書かれた古典から現代中国文学まで幅広い文学作品について研究します。
ドイツ文学
ドイツをはじめオートスリアやスイスなど、かつてドイツ語で創作されることが一般的だった国を含む文学作品について研究します。
国語学
日本語の構造や文法、音声を研究対象とする学問で、言語学と研究領域が重なる部分も多く見られます。
文学のレポート・テーマの例
文学における研究対象が幅広いため、課されるレポートやそのテーマも多種多様です。
高校までの国語や英語とは異なり、作品世界や作家の精神世界に踏み込んで深く探求していくのが特徴です。
- ・古典随筆作品の文体比較
- ・歌舞伎衣裳の色彩
- ・シェイクスピア劇作品における森の役割
- ・トーマス・ベルンハルト『消去』における作品分析
- ・児童文学の比喩表現
文学と関連する学問
文学はさまざまな領域の学問と関連しており、研究対象によっては研究内容が類似・重複することもあります。
哲学は文学と関連生の高い学問で、作家が生きた時代に主流だった哲学思想が研究対象になることもあります。
言語学は文学を支える「言葉」そのものに着目する学問で、日本文学における国語学などは類似点も多く見られます。
歴史学は文学部の学科として設置いる大学もあるなど、文学の歴史的背景や時代状勢を知る上で関連性の高い学問です。
文学を学んで就職に有利な業界・仕事
文学は実学ではないため、学んでも就職に結びつかないと言われることがあります。
たしかに実業において直接活かせるスキルや知識は身につかないかもしれませんが、先人が遺した広大な思想世界に触れ、追体験することで、深い人間性や洞察力を身につけることができるはずです。
具体的には、マスコミのように言葉を扱う業界においては、文学を学んできた人が多数活躍しています。
国語や英語の教員になる人の中にも、文学を学んできた人は一定数いるようです。
ただし、どのような職業に就くにしても、言葉と無関係に働いていくことができる仕事はまずありませんので、文学に触れてきたことで身につけた語彙や表現力、行間を読む洞察力といった能力は、あらゆる場面で活かすことができるでしょう。
ビジネスメール1つ取っても、言葉が足りなかったり表現が適切でなかったりしたことで誤解やすれ違いが生じることは十分に考えられます。
文学を学ぶことで言葉に厚みが増し、人を説得したりコミュニケーションを円滑に図ったりする上で必要な広い意味でのスキルを身につけることは十分に可能でしょう。
文学の知識は人生でどう役立つ?
誰にとっても人生は一度きりですので、限りある時間の中で体験したことをもとに教訓を得ながら生きていくしかありません。
文学は先人の優れた思想や体験の集積であり、過去の時代を生きた人々の人生を追体験する手段の1つと言えます。
失敗や悔恨も含めて、先人の多彩な人生経験を文学を通じて垣間見ることによって、さまざまな教訓を得ることができるでしょう。
ときには、一冊の本が人の生き方を変えてしまうほどの影響をもたらすこともあるのです。
文学を学ぶことで得た豊かな教養が含蓄ある言葉を支え、自らの人生を切り拓いていくための強みの1つとなるはずです。
文学を探求し、深く考えてきた経験は、仕事に限らずこれから先の人生をより良いものにしていくための貴重な財産となるにちがいありません。
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