傾聴とは
プレゼンや接客トークなど「話す」スキルは、仕事において注目されやすく磨く機会も多いスキルです。
一方「聴く」スキルは特定の仕事を除くと、後回しにされやすいスキルかもしれません。
ところが「傾聴」と呼ばれる聴くスキルは、話すスキル以上に重要とも考えられています。
ビジネスシーンや日常生活にも役立つ「傾聴」の意味と技法について解説します。
話し手の真意を聴きとる「傾聴」とは
傾聴とは、真摯な姿勢と態度で相手の話に耳を傾け、共感をもって受け入れる「聴く」技法のことです。
傾聴は話し手が会話を通して自身への理解を深めることをサポートし、自らの力で結論をだせるよう導きます。
もともとはカウンセリングやコーチングの現場で利用される技法ですが、ビジネスシーンにおいても注目を集めるスキルのひとつです。
臨床心理学では傾聴のことを「アクティブリスニング(active listening)」といい、「積極的傾聴」と訳されます。
傾聴力を身につけるための姿勢と技法(スキル)
「聴く」という漢字が使われていることからもわかるように、傾聴は単なる「聞く」行為ではありません。
聞き手が会話を通して理解するのは話の内容ではなく、話し手が抱える本当の気持ち。
言葉で直接表現されていない話し手の真意を、共感し、受容することによって理解します。
聴くスキルのことを「傾聴力」といい、今では職場の人間関係や仕事におけるコミュニケーションを円滑にするために欠かせないスキルとなっています。
傾聴力を身につけるために必要なポイントを確認しましょう。
傾聴の姿勢と態度
態度と姿勢
傾聴をするときは、「話し手の話に興味があり、集中して聴いている」ことを態度で示す必要があります。
人は興味のある話を聞くとき、リラックスしながらも前のめりになり、視線は相手の表情を見ます。
傾聴でもこの状態を意識して、聴く姿勢・態度をとるのがよいでしょう。
態度を作りすぎてぎこちなくなったり、前のめりになりすぎて高圧的にみえたりしないよう、聞き手もリラックスすることが大切です。
座り方
話し手との関係性によって座る位置を工夫することで、話し手に与える印象を変えることも可能です。
<対面>
正面に向き合って座る方法。真面目な会話に向いているが、やや緊張しやすい
<90度>
テーブルなどの角に、相手が90度に位置するよう座る方法で、リラックスしやすい
<平衡>
同じ方向を見て並んで座る方法。親近感が湧きやすいが、表情が読み取りにくい
距離感
2人の位置が近すぎても、遠すぎても傾聴の効果は低下してしまいます。
会話をしながら、話し手にとって適切な距離を調整しましょう。
聴く技法(スキル)
ペーシング
話し手のペースに合わせて聴くことで話し手と一体感を作り、話しやすい状況を作るテクニックです。
話し手の話し方(抑揚・スピード)や姿勢、呼吸、テンションなどを観察し、そのペースに合わせて会話を行います。
オウム返し(バックトラッキング)
話し手が話した内容を反復し、話し手に対してきちんと話を聞いていることを示すテクニックです。
言い換え(パラフレーズ)
会話の途中であいづちをうちながら、タイミングをみて話の内容を自分の言葉で言い換えます。
話を理解していることを示すテクニックで、認識にズレがないかを確認することも可能です。
話し手は聞き手がきちんと理解してくれていると感じ、安心感が生まれます。
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この記事のまとめ
聴くことは受動的にみえて、実はとても能動的な動作です。特に傾聴は表面的な会話ではなく、相手が抱えている気持ちまで理解することが求められます。
傾聴の技法は身につけておくと、さまざまなビジネスシーンで活かすことができるでしょう。
また仕事だけでなく、日常生活における人間関係を良好にするためにも役立つスキルです。
傾聴はカウンセリングなどを行う場合でなければ、研修を受けたり資格を取ったりしなくても、すぐに実践することが可能。興味があれば、普段の会話の中で試してみてはいかがでしょうか。
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