セクショナリズムとは
リスク回避のためにも、セクショナリズムとはどういうもので、どうすれば防げるのか、押さえておきましょう。
セクショナリズムとは
セクショナリズムとは、英語の「sectionalism」から来た言葉。
国や企業などの組織内にある部門が、自部門の利害や権限を優先して、他部門と協調せず、組織全体としての視点を欠く状態・傾向を意味します。
セクショナリズムと同じ意味の言葉として、「セクト(党派)主義」「派閥主義」「縄張り意識」などもあります。
セクショナリズムが招く危険
企業でセクショナリズムが横行すると、業績不振や不祥事といった危機的状況を引き起こしやすくなります。
各部門がそれぞれの立場だけを考えがちなので、部門間の連携・協力が的確にできず、企業としての責任遂行が不十分になってしまうからです。
例えば、営業部門が、営業ノルマ最優先で、工場など生産部門の生産能力を考慮せず、短期納品の注文を大量に受注したとします。
工場側も、自部門の作業効率を偏重し、営業の立場を考えず、工場の操業時間を延長して大量受注に対応するといったことはしません。
この場合、商品を納期に間に合わせることはできず、客の不興を買うことになります。
当然、その後の仕事の受注に悪影響を及ぼします。
また、作業効率偏重の工場は、早く品質検査を終わらせるための商品検査データ改ざんなど、企業の社会的信用失墜につながる不祥事を起こしかねません。
このように、セクショナリズムは、企業に深刻な事態を呼び込む可能性が高いのです。
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セクショナリズムがはびこる背景
現代は、セクショナリズムが生まれやすい状況にあると言います。
激化する一方の企業間競争。
より高い確率でヒット商品・サービスを生み出し、効率的に利益を上げるために、企業の各部門で働く人々には、部門ごとに必要な最新の専門知識や能力、豊かな経験が要求されるようになってきました。
いわば、社員は、所属した部門における専門家になることを求められているわけです。
そのため、商品開発、営業、生産など、配属された部門で長年にわたり教育を受け、キャリアを積む傾向にあります。
ずっと同じ部門で専門性を磨く日々。
自部門の業績を上げれば、部門も自らも評価される。
この働き方が身に付いてしまうと、他部門への関心は薄れ、全社的な視点は失われがちになります。
反対に、自分のいる部門最優先の考え方・行動をとるようになっても不思議ではないでしょう。
社員の専門性・事業の効率を追求する企業のあり方が、セクショナリズムを招いているといえます。
セクショナリズムを防ぐポイント
セクショナリズムを防ぐには、部門の一員としてではなく、企業の一員として考えて行動したり、他部門への理解を深めたりする必要があります。
(1)経営理念の浸透
経営理念とは、企業として事業を通じ何を実現し、社会に貢献しようとするのかをまとめたもの。
経営理念とともに、社員は経営理念に則って考え、判断し、仕事を進めるべきことを、社員教育などで教えます。
特に、部門長やグループリーダーなど、部門のまとめ役への理念教育を徹底すると、末端の社員にまで理念が浸透しやすくなります。
(2)経営理念実現への貢献や努力を評価
部門の目標達成への貢献や、現場での業績に加え、経営理念実現への貢献や努力も人事評価の対象にします。
経営理念に沿った行動の具体的な評価により、社員の企業の一員としての意識を高め、行動を促すわけです。
(3)部門間交流の場づくり
営業部と生産部門など、異なる部門同士で交流する場を定期的に設けます。
この場で「顧客の無理も聞かなければならない」営業の立場や、「機械の性能上の限界で、1日1000個しか生産できない」工場の事情など、お互いの状況が理解しあえるようにします。
日頃から、理解ができていれば、それぞれの立場や事情を踏まえた対応が可能になり、部門間の連携や協力もスムースに行えます。
以上のポイントを押さえれば、社員の専門性や事業の効率と、企業としての視点や団結を両立させやすくなります。
この記事のまとめ
セクショナリズムとは、企業などの組織内の部門やグループが、自部門の利害・権限第一に行動し、他部門への配慮や企業としての責任を軽視する状態・傾向のことです。
企業の成長を阻害し、不祥事を招く元凶とされています。
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