エンゲージメントとは
日本ではもともと経営用語として特定の分野で使われていましたが、現在はマーケティング用語としても定着しています。
どのような意味や目的をもつ言葉なのか、詳しくみていきましょう。
エンゲージメントとは
エンゲージメントとは、「つながり」の意味をもつ用語です。
英語に由来する用語ではありますが、直訳の意味ではないため、中には「愛着」や「きずな」と訳されることもあります。
主に「ある対象に対する、関与の度合い」を計測する場合に使われる表現で、例えば企業のブランドや商品などに対して、顧客が「どれくらい好意を抱いているか」を意味しています。
以前は「エンゲージメント」というと、企業と従業員の関係性を示す「従業員エンゲージメント」を指すことが一般的で、経営用語として人事や人材開発の分野で知られていました。
その認識はソーシャルメディアの普及とともに変化し、現在はマーケティング用語として定着。
企業と顧客の関係性を示す「顧客エンゲージメント」のことを指す言葉として広く使われています。
英語の「engagement」の意味
英語の「engagement」を直訳すると「婚約」ですが、根底には「関わり合い」という意味があることから、幅広い使い方ができる名詞です。
日本語は時代とともに言葉の意味が変化したり多様化したりしますが、それは英語でも同じ。
「engagement」の場合、ビジネスシーンでは「約束・契約」や「やりとり」の意味をもつ言葉でしたが、使い方が広がったことで「関係の深まり」や「愛着」などの意味も含む言葉として使われるようになっています。
ソーシャルメディアの普及で広まった「エンゲージメント」
エンゲージメントは、いまやWebマーケティングと切ってもきれない関係です。
エンゲージメントという言葉がマーケティングの世界で広く使われるようになったのは、Twitterが普及しはじめたころからといわれています。
ソーシャルメディア特有の双方向でのコミュニケーションや拡散の状況が可視化されたことで、企業・ブランドに対する顧客の興味レベルや反応などを計測できるようになったからです。
以前から顧客エンゲージメントの概念は存在していましたが、テレビCMなどマス広告の効果計測は、広告会社の定義した推定値が用いられることが一般的で、顧客の反応を知ることも容易ではありませんでした。
そのためエンゲージメントは、一部の人が使用する専門用語として使われることがほとんどだったのです。
そのような背景もあり、ソーシャルメディアの登場後は新しいマーケティング施策として導入企業が一気に増加。
効果を計る指標として「エンゲージメント」が高い注目を集めたと同時に、欠かせない指標として重視されるようになりました。
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従業員エンゲージメントと顧客エンゲージメント
従来から使われている経営用語の「従業員エンゲージメント」とソーシャルメディアの普及以降多用されるようになった「顧客エンゲージメント」について詳しくみていきましょう。
従業員エンゲージメント
従業員エンゲージメントは、企業と社員の関係性のこと。
社員が企業に対して感じている、愛着や思い入れのレベルを示すものでもあります。
具体的には仕事への取り組みや人間関係の構築など、社員が自発的にチームや会社に対して貢献しようとする姿勢と態度のことをいいます。
エンゲージメントは業績にも影響するため、エンゲージメントの高い組織は、理想的な職場といわれています。
また社員からの貢献を一方的に求めるのではなく、企業側も社員が愛着心をもつよう相互に貢献し合うことが組織開発には重要です。
近年では、組織における会社と社員の関係性を可視化するために「エンゲージメントサーベイ」と呼ばれる調査を実施するケースも増加。
調査を行うだけでなく、サーベイ結果をもとに、社員自身が組織作りを考える機会を設けるなど、エンゲージメントを高める取り組みも行われています。
サーベイでは「従業員満足度」がよく知られていますが、エンゲージメントサーベイとは大きく区別されています。
満足度調査は仕事内容や組織の仕組みなど企業が提供する環境について、従業員がどの程度満足しているかを計るものです。
エンゲージメントサーベイはそこから発展した形で、現在の組織をどのように改善すれば、働き甲斐のある組織に変化するかを社員自身が考えます。
企業と社員が相互に関わることが、エンゲージメントの重要なポイントなのです。
顧客エンゲージメント
顧客エンゲージメントは、ブランドや商品・サービスと顧客との関係性のことです。
顧客がブランドのコンセプトにどの程度共感しているか、商品やサービスに愛着をもっているかを表します。
エンゲージメントが高い場合は、商品の価格が高額でも購入したり、長い間同じ商品を利用し続けたりする傾向が高まり、低い場合には関係性が途中で途絶えることになります。
そのため企業はブランディングや顧客とのコミュニケーションを強化し、顧客エンゲージメントを高める工夫をしています。
前述のとおり、ソーシャルメディアを活用したプロモーションでは、顧客エンゲージメントを計測することが一般的です。
企業はエンゲージメントを継続的に計測することで、長期的なマーケティング戦略を組み立てることにも役立てています。
ソーシャルメディアでのエンゲージメントは、メディアごとに計測方法の定義が存在していますので、どのように計測するのか詳しい方法を確認しておくのもよいでしょう。
TwitterとFacebookでエンゲージメント率を計算する方法
TwitterとFacebookでは、それぞれエンゲージメントの計測について定義されており、エンゲージメントの尺度を示す「エンゲージメント率」は、各メディアでのアクション数をもとに算出します。
アクション数は、ブランドやサービスへの愛着レベル。エンゲージメント率は、広告配信(もしくは投稿)全体に占めるアクション数の割合です。
広告を出稿する場合などは自動的に計算が行われますが、計算方法を理解しておけば、効果予測やプロモーション計画を立てるときにも便利でしょう。
Twitterのエンゲージメント率
Twitterでは、「フォロー」「リツイート」「返信」「クリック」「いいね」の5つがアクションとしてカウントされ、その合計がエンゲージメント数です。
その数をユーザーに表示された回数で割った数値が、エンゲージメント率です。
<計算式>
エンゲージメント数 ÷ 表示された数の総計
Facebookのエンゲージメント率
Facebookではアクションをした人数の合計をエンゲージメント数としています。アクションは「クリック」「いいね!」「コメント」「シェア」の4種類が対象です。
Facebookの場合は、投稿の表示数について「リーチ」という概念があり、何人が投稿を見たかを計測しています。リーチ数=人数のため、1人が同じ投稿を何度見てもカウントは1。
またアクション数も回数ではなく、アクションをした人数です。1人が「いいね!」と「コメント」の2つのアクションをした場合でも、カウントは1人になります。
エンゲージメント率は、エンゲージメント数をリーチ数で割った数値です。
<計算式>
エンゲージメント数 ÷ リーチ数
この記事のまとめ
企業と従業員、企業と顧客。どちらにおいても相互に関係し合うことが、以前よりも重視されるようになりました。
技術の進歩、労働人口の減少、購買意識の変化、価値観の多様化など、時代が変化していることの現れなのかもしれません。
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