職業訓練校とは? 給付金をもらいながら資格取得もできる制度を解説
職業訓練校では、基本的に無料で、プログラミングや医療事務など就職に役立つスキルを身につけることができます。
この記事では、職業訓練の種類や給付金を受け取れる条件など、職業訓練に関する情報を網羅的に解説します。
職業訓練校とは
「職業訓練」とは、求職中の人などが次の仕事を早く見つけられるよう、さまざまな訓練を通じて就職をサポートする公的な制度のことをいいます。
職業訓練の正式名は「公共職業訓練」ですが、「訓練」という言葉の持つ厳しそうなイメージを回避するために「ハロートレーニング」という名称が用いられるようになってきています。
「職業訓練校」とは国や都道府県から委託を受けて職業訓練を行う学校で、4種類あります。
- 職業能力開発校:都道府県や市区町村が主体となって運営している学校。障がい者のみを対象にした学校もある。
- 教育訓練機関(民間の学校):カルチャースクールや専門学校が職業訓練を行う
- 職業能力開発大学校・短期大学校:高卒の人を対象にした職業訓練を行う。都道府県主体の学校もある
- 職業能力開発促進センター:短期の職業訓練を行う。離職者・在職者向け
それぞれ、対象となる人が異なり、入学条件も異なります。
職業訓練の種類
職業訓練は3種類あります。
- 離職者訓練:ハローワークの求職者を対象とする
- 在職者訓練:在職の労働者が専門的な知識、技術を習得する
- 学卒者訓練:中学、高等学校卒業者等を対象に有料で行う
これらの職業訓練のうち、新しい仕事に就くことを目指している人が受講する離職者訓練は2つに分けられます。
公共職業訓練 | 求職者支援訓練 | |
---|---|---|
対象 | 失業保険を受給できる人 | 失業保険を受給できない人 |
対象になる給付金 | ・失業保険の延長・交通費・受講手当(500円/日)・寄宿手当 | ・受講手当(10万円/月)・交通費・寄宿手当 |
受講料 | 基本的に無料(テキスト代など除く) | 基本的に無料(テキスト代など除く) |
訓練期間 | 3か月~2年 | 2か月~6か月 |
求職者を対象とする職業訓練は、主に国や各都道府県が実施しています。
しかし、近年は職業訓練の需要が増大していることから、各都道府県が専門学校や大学、資格の学校などに委託して職業訓練を実施する「委託訓練」というものもあります。
職業訓練は受講料が無料
基本的に、公共職業訓練は無料で受講できます。
ただし、公共職業訓練の期間は3か月~1年以上のものまでさまざまであり、長いものになると入学金の負担が発生したり、月々1万円ほどの授業料がかかることもあります。
- 入学検定料、入学金、授業料:基本的に無料(一部かかる場合あり)
- テキスト代・作業服代など:実費負担
職業訓練で学べるコースの例
職業訓練には、ものづくりをはじめ、パソコンの基礎やプログラミング、さらには事務や介護サービスまで、さまざまなコースがあります。
ここでは、代表的な職業訓練校のコースについて紹介します。
Web、IT系
東京都民間委託訓練によるデータでは、近年最も人気が高いのはWeb系の職業訓練で、倍率も2倍を超えています。
また、宅建やファイナンシャルプランナー資格取得を目指せるコースも人気です。
職業訓練で給付金が受け取れる制度
職業訓練には、受けている間、給付金を受け取ることができる制度があります。
失業保険を受け取れる人向けの「公共職業訓練」と、失業保険を受け取れない人向けの「求職者支援訓練」分けて、給付金の制度について解説します。
公共職業訓練の給付金制度
公共職業訓練で受け取れる給付金は4種類あります。
- 基本手当:失業手当が訓練終了まで延長される
- 受講手当:1日500円(40日まで)
- 通所手当:交通費42,500円/月を上限とした実費相当分
- 寄宿手当:家族と別居して寄宿する場合
公共職業訓練受講中は、入学日において雇用保険の受給資格がある場合、失業手当が訓練修了まで延長給付されます。
ただし、失業手当の延長給付には残りの日数によっては受け取れないこともあるので確認が必要です。
求職者支援訓練の給付金制度
失業手当の受給ができない人も、「職業訓練受講給付金(求職者支援制度)」によって、条件を満たせば職業訓練を受けている間に以下の手当を受け取ることができます。
- 受講手当:10万円/月
- 通所手当:交通費
- 寄宿手当:家族と別居して寄宿する場合
手当を受け取るための条件は以下を全て満たす必要があります。
- 本人収入が月8万円以下
- 世帯全体の収入が月25万円以下
- 世帯全体の金融資産が300万円以下
- 現在住んでいるところ以外に土地・建物を所有していない
- 全ての訓練実施日に出席している
- 世帯の中に同時にこの給付金を受給して訓練を受けている人がいない
- 過去3年以内に、偽りその他不正の行為により、特定の給付金の支給を受けたことがない
求職者支援訓練に通いながら給付金を受け取るには、このように本人の収入や世帯収入など厳しく決められています。
詳しくは厚生労働省のホームページから確認してください。
厚生労働省:求職者支援制度のご案内
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職業訓練校は面接がある?入学までの流れ
職業訓練校に入学するには書類選考や筆記試験、面接があります。
この章では、職業訓練校に入学するまでの流れを説明します。
職業訓練の入学できる条件
職業訓練校に入学するための前提条件は、「受講開始日からさかのぼって1年以内に公共職業訓練を受講していないこと」です。
そのうえで、雇用保険の受給資格がある人とない人、いずれの場合でも職業訓練を受講することは可能です。
休職中の人の場合、ハローワークに求職申込みを行っている人が対象となります。
なお、職業訓練のコースにはさまざまなものがあり、選考方法はコースによって、面接、書類選考、筆記試験、適性検査などそれぞれ異なります。
倍率の高いものは、選考によって不合格となることもあるため注意が必要です。
職業訓練校の面接の服装は?どんな質問をされる?
職業訓練校の面接の服装は、特に決められていません。
スーツで行く人もいれば、Tシャツやジーンズなどカジュアルな服装で行く人もいます。
職業訓練校の面接は5分から長くても15分程度のことが多いです。
したがって、短時間の面接では第一印象が非常に大切になります。
服装で印象が悪くなることがないように、心配な人は清潔感のあるスーツで行くのが無難です。
職業訓練校の面接では以下のような質問をされます。
- なぜ、この職業訓練をうけようと思ったのですか?
- 現在の就職活動状況は?
- 訓練中に就職先が決まったらどうしますか?
職業訓練の目標は就職することにあります。
面接では、「就職する意思を示すこと」が重要になります。
職業訓練校のメリット・デメリット
職業訓練校は基本的に無料で受講でき、給付金を受け取れる制度もあり、メリットが大きい反面、離職期間が長くなってしまうデメリットもあります。
職業訓練校を受講する前に知っておきたいメリット・デメリットをまとめました。
職業訓練のメリット:金銭負担が少ないこと
何か新しいことを学びたいと思ったとき、民間の学校やスクールに通うことを考える人も多いでしょう。
しかし、この場合、入学金や受講料などを併せて何十万円というお金がかかることも珍しくありません。
一方、職業訓練校の場合、受講料は基本的に無料です。
テキスト代などの実費負担はあっても、わずかな金額で新しいスキルを身につけられることは、とても有意義だといえるでしょう。
条件を満たせば、給付金制度でお金を受け取りながら資格を取ることもできます。
職業訓練のデメリット:転職までの期間が空いてしまうこと
職業訓練を受けている間は、企業から見ると「離職期間」となってしまいます。
職業訓練の期間は3か月~6か月のものが多くなっています。
新しいスキルを身に着けるための勉強をしているとはいえ、離職期間が見かけ上長くなってしまう点は、デメリットになり得ます。
企業によっては書類選考で不合格になる原因になるため、職業訓練を受講しながら就職活動も並行して進めていく必要があるでしょう。
「職業訓練校とは」まとめ
「職業訓練」とは、さまざまな訓練を通じて就職をサポートする講座のことをいい、職業訓練を受ける学校を「職業訓練校」と呼びます。
これまでにも全国で大勢の人が職業訓練を受けており、そこで学んだことを生かして、希望する就職を実現している例は多々あります。
もし皆さんが求職することになり、何か新しい知識や技能を身に付ける必要があると考えたときは、ぜひ職業訓練校のことを思い出してみてください。
なお、職業訓練校の申込み等はハローワークが行っています。不明点や疑問点がある場合や、コースについての情報を得たいときには、お近くのハローワークを訪れてみるとよいでしょう。
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