生産技術の仕事のメリット・デメリット
生産技術の仕事は設計が図面化した製品を大量生産するときに、どこで生産するか、どういう工程で製造するのがよいか、品質・安全・環境・コストの面で考えていく仕事です。
そしてラインを設計して、設備を発注し、ラインが整然と製品を生産できるように調整していく仕事です。
それでは今回は生産技術の仕事のメリット・デメリットについて解説します。
メリット1.ものづくりの本質を理解できる
生産技術の仕事は常にものづくりの現場と直結した仕事です。
ものづくりが好きで製造業を目指す人であれば、設計・開発以上に生のものづくりの現場を体感できます。
例えば設計の仕事の場合、一日中CAD席で図面を引いている仕事が多くなります。
生産技術の仕事にもパソコンでデータ分析したり、設備の設計図を書いたりするデスクワークもたくさんありますが、生産現場に出る機会が非常に多くあります。
ときには自ら工業炉のバーナーを点火してアルミのインゴットを溶かしてみたり、工作機械にドリルを取り付けて製品に穴をあけたりします。
工程のことを理解するためにも、自分で設備を扱えるようになることが大切です。
メリット2.オールラウンドな能力が身に付く
生産技術はものづくりのスペシャリストです。
ですが設備や工程にだけ詳しければ、仕事が成り立つかというとそうではありません。
具体的には下記のような仕事を通して、様々な能力が鍛えられます。
①交渉能力が身に付く
設備メーカーや工事業者といった社外関係者との取引が多くあります。
社内の人間と付き合う場合と違い、利害が一致しないことが多くなります。
相手側の立場を理解したうえで、こちらの要求を通す交渉力が鍛えられます。
②金銭感覚が身に付く
生産技術は常にお金に関わる仕事です。
新しい製品を生産する時に、設備投資計画を立てたり、回収期間が妥当か判断します。
その過程で簿記の知識が身に付き、金銭感覚も磨かれて、プライベートの家計のやりくりにも役に立ちます。
③プレゼン、調整能力が身に付く
生産技術は設備投資の計画を立てる仕事があります。
計画の承認をもらうために、若いうちから役員に直接プレゼンをする機会があります。
各部門長が集まる投資審議会で、入社3年目の若手社員のときからコンスタントにそういう機会を体験することができました。
最初は緊張で、相手の質問に頭が真っ白になってしまうこともありましたが、徐々にスムーズに回答できるようになりました。
その他にも、新製品をラインに流すときなどは関係部署(製造部、品証部、安衛部、保全部など)に承認をもらうために、説明資料を作成してプレゼンを行います。
自らがミーティングの主催者になってプレゼンをする機会が多い部署といえます。
デメリット1.シフト勤務がある
生産技術は休日出勤の多い仕事です。
なぜなら生産ラインが動いていないときに、設備を改造したり、新製品の流動テストをしたりするからです。
私の場合は、週末は土日のどちらかが出勤の場合が多いです。
さらに長期連休で大きな設備改造や新規設備の導入をする場合が多くあるので、ほとんどが出勤になることが珍しくありません。
独身寮にいた時には、いつもは友人が溢れかえる広い寮に、生産技術の同僚数人以外だれもいなくなりました。
その分の休暇は代休として、確保されてはいますがプライベートへの影響は少なからずあります。
結婚して子供ができてからは、子供との時間をつくることに気をつけました。
週末に出勤して会えなくなる分を、平日に早く帰って子供と遊ぶ時間を作りました。
デメリット2.トラブル対応で自分の仕事が進まない
自分の導入した設備にトラブルがあると、現場から呼び出しが入ります。
そのタイミングは設備が稼働している間、いつ連絡が入るかまったく予期できません。
そして連絡が入ったときは、その設備が止まっている間は生産が止まってしまいますので、とにかく早く対応しなければいけません。
自分の計画していた業務が後回しになってしまいます。
トラブルが簡単に片付けば良いのですが、1日中現場で拘束されて何もその日の仕事が進まなかったなんてことも良くありました。
製造業で理系職種だと、生産技術と設計・開発のどちらかに配属されることが多いです。
設計・開発はよりスペシャリスト的な要素が強く、担当しているある部品については滅法詳しいけれど、それ以外のことは分からないという人が結構多いです。
図面を一日中書いていたり、実験装置と一日中向き合っていたりで、自部署以外の人と関わらないということも多いです。
生産技術は専門知識以外に法律、環境、会計、コミュニケーション能力など幅広い能力や知識が必要な仕事です。
個人の特性にもよりますが、生産技術を経験した人の方が、ビジネスマンとしての幅が広く異動や転職には有利だと思います。
シフト勤務のデメリットはありますが、年齢が上がるにつれて機会が減っていくので、若いうちはシフト代稼ぎと割り切って働くのもありだと思います。