私が介護の仕事でやりがいを感じたエピソードを紹介
こんにちは、特別養護老人ホームの介護福祉士しまぞーです。
介護歴10年目で転職回数8回4業態を経験。
以前、ヤフー知恵袋では福祉介護カテゴリーでランキング1位のカテゴリーマスター。(ベストアンサー率60%)
ブログを運営していて、介護に従事されている方、転職を考えている方に向けて、介護の職場環境、人間関係、仕事内容などのお役立ち情報を紹介しています。
ブログ名:介護士しまぞーブログ→https://www.shimazo3.com/
私がたずさわる介護の仕事は人の心身を支える仕事です。
施設で生活する高齢者は、我々介護職員の日々の介護業務のケアの質によって、出来る事の選択肢が大きく違ってきてしまいます。
今回お話する新規で入所されたAさんは、入所されたばかりの時は出来る事が少なく、トイレや更衣など生活動作の大半にケアが必要な状況でした。
施設ではどのようなケア(支援)をしているのか?私が介護でやりがいを感じるエピソードを通して紹介したいと思います。
高齢者は一気に体調が悪化する
介護を受ける高齢者、特に特別養護老人ホームは介護度3以上でないと入所出来ません。
特養に入所される方の実際の平均介護度は4.3以上で、生活のほぼ全般に介助が必要な方々です。
介護度3レベルで入所されても、ケア(支援)の仕方によって、逆にすぐ心身の状態が低下してしまうケースもあります。
入所してから1か月くらいでその人の生活が決まる
介護施設に入所する人は自宅や病院から入所されるのですが、その際環境やケアしてくれた人が変わるなど大きな環境の変化が起こります。
その段階で体調の変化が起きてしまう人も多く、我々介護職員は、元の生活に近い生活環境の保持がまずやるべき支援となります。
ただ、施設の生活に馴染めるかどうかについては、使用者それぞれ必要なケアの量がかなり違ってきます。
極端な例では、つきっきりの援助が必要な人などは、なかなか対応困難な場面も多いです。
入所2か月目位で生活は安定してくる
入所した人の生活を支えるケアを継続して行い、心身共に体調が安定してきた後は身体機能が衰えないようにケア(援助)していきます。
日々の介護ケアの内容によっては、その人の身体能力が改善する事もあります。
新規入居者Aさんの場合、不安感からくる認知機能の低下、行動の減少、それに伴い筋力の低下の悪いサイクルに入ってしまい身体の状態が低下していました。
施設では生活を支える介護職員が常駐していますので、提供可能な範囲でケアを設定する事が出来ます。
・一番ケアが必要なポイントを分析し、重点的にケアする
・社会関係を築ける空間を作る
・その人が出来る事を探し、感謝の言葉を受ける事が出来る場を作る
・適切な筋力維持の為の機会を提供する
ケアを継続していく事で、施設での日々の生活で当初うつむきがちだったAさんは顔を上げて話す機会が増えました。
やれる事が増えていきますので、自信も増えるのでしょう、提供してきた仕事内容が正しかったと実感出来る時間です。
身体の動きのサポートだけはなく、気持ちのサポートをするのも仕事
新規入居者Aさんの場合、自分の役割がないこと、認知機能の低下により忘れる事が増え落ち着かなくなることが問題でした。
保有能力はあるのに、管理出来る能力が失われており、方向性の提示が出来ず、時間を持て余してしまっている状態です。
家族で支え合うのが一番である、という考え方はいまだあります。
しかし関係性が近い程、今までの生活の積み重ねがありますので何故出来なくなったのか、などの原因、変化を察知しづらいのです。
家族介護等少ない人数でケアする場合、連携はしやすいのですが、関わる人数自体が少ないのです。
介護保険のサポートを受ける場合と比較すると、マンパワーが少なくなり、やりたいけれど出来ない事が多くなります。
介護を安定して行うためには、一定以上のマンパワーと時間、それを維持継続出来る事が必要です。
そのため、施設では専門職である介護職が携わる事で安定したケアを提供し、生活を安定化させる事が出来ます。
新規入居者Aさんの場合は、生活サイクルの維持と筋力維持の為の行動維持、定期的な評価、入居者同士の関係性を作る事で生活は落ち着いてきました。
今までは急に怒る事も多くありましたが、精神的な不安感も大きかったのでしょう。
ケアをする人数が多くなるということは、頼れる人の数が増えることでもあります。
家族など少人数ケアでは不満も同時に大きくなりやすいのですが、施設ケアは不満要素も分散されます。
その結果、良い意味での精神的な支えとなる人が増え、気持ちが安定しやすくなるのです。
介護業務の日々の積み重ねがその人の明日になる
年を重ね高齢になってくると、日々身体能力の維持も困難になってきます。
今まで出来てきた事が突然困難になる事も珍しくありません。
例えば昨日までトイレに通う時に立てていた人が、出来なくなる場合もあります。
立つ動作は単純に見えますが、立とうとする意志、どこで体を支えるか、その部位の筋力があるか、身体の操作など、複合的な要素が必要になっています。
認知機能が低下すると、これら動作も低下してしまうのです。
しかし、筋力はそのままですので、本人に立つ動作の意思を持つよう誘導することで、再びトイレに通うことが出来るケースもあります。
もちろん、現状の身体機能を維持し続けることが出来るわけではありません。
我々介護職員がその方が持っている残存機能を生かした支援をすることで、保有能力を活かした行動を可能にしていける。
それが介護の仕事の本質と私は考えます。