自社養成航海士、免許取得後の海上勤務について
お読み頂きありがとうございます。
今回は第4弾、晴れて海技免状取得後、見習い航海士・三等航海士として乗船するとどんなことをするのかについてお伝えしたいと思います。
船乗り人生の第一歩です!
次席三等航海士として乗船すると
操練と呼ばれる避難訓練・消火訓練や、各種整備・点検作業、書類仕事が担当です。
もちろん免許取得済みとは言っても、実務ができるわけではないので、最初は見習いとして乗船します。
1~2つ先輩の三等航海士が船内生活から実務についてまで色々教えてくれるので、最初はメモ帳の消費が早いです。
船内ではパソコンでの書類仕事も多く、大学でロクにパソコンを使ってこなかった私は、パソコン操作についてみっちり指導いただきました(笑)
そのため、見習いの間は先輩に教わったり指示されたりしたことを中心にこなしていく感じです。
以下では三等航海士の仕事をご紹介します!
操練
小学校の時の避難訓練って、給食室から火災発生といったシナリオに基づいて、消火器での消火は出来そうかを判断し、それが無理そうなら、安全な経路を通って校庭に避難し、校庭で全員の点呼をとるということをやりましたよね。
船上でも毎月それに準ずることをしています。
シナリオでよくあるのが、やはり調理室からの火災です。
この場合は、「持ち運び式の消火器で火を食い止められそうか?」「 毛布を火に被せたら消えそうか?」などを判断し、無理そうなら消火ホースで海水を火に吹きかけて鎮火させます。
ホースを数人で抱えて、少しずつ前進するという消防士さんのような動きを訓練します。
水による消火が無理そうだと判断されると、二酸化炭素消火装置という大規模な消火法が検討されることとなり、この時の手順を模擬実施します。
以前新宿区のマンションで、二酸化炭素消火装置が誤作動し、数人が亡くなるという事故がありましたが、船でも起こりうるなぁと思いながら見ていました。
二酸化炭素を充満させる密閉区域に乗組員がいれば大惨事です。
このため、作動前には必ず点呼をとり、全員の安全を確認した上で、起動ボタンを押すという流れになります。
ちょっと実務的な内容になってしまいましたが、毎月シナリオを変えて、いざという時のために準備をしています。
整備作業
一口に整備作業といってもとても広いので、私が担当している業務をご紹介します。
三等航海士になると、毎日の航海当直・ 消火装置や救命器具の整備・注文が担当になります。
消火装置については年に1回実際に作動させて行う試験もあり、事前に手順を確認し、フィリピン人船員とのブリーフィングを行います。
その他にも甲板上にある消火栓は三等航海士の担当です。
海風をもろに受けて錆びてしまうので、錆止めを塗ってペンキを塗ったりします。
船内時計の整備
また変わったところだと、船内時計も三等航海士の担当備品です。
この時計ですが、実はただの壁掛け時計ではなく、色々な配線で壁と繋がっている特殊な仕様です。
というのも、世界各地を航海する外航貨物船は、航行海域によって船内時刻を変えなければなりません。
例えば、日本からシンガポールに行く場合、時差が1時間ある (シンガポール時間の方が日本時間よりも1時間遅いです) ので、シンガポールに着く前には、時刻を1時間後進させないといけません。
船橋 (ブリッジ。操舵室のこと) に操作盤があるのですが、そのボタンを押すだけで、船内各所の時計の針が自動で進んだり、戻ったりする仕組みです。
いずれにせよ複雑な時計なので、時として、船橋の操作盤からの指令に連動しないものがあります。
この場合、時計内部の基盤の交換を実施することもあります。
また変わったところだと、船内時計も三等航海士の担当備品です。
この時計ですが、実はただの壁掛け時計ではなく、色々な配線で壁と繋がっている特殊な仕様です。
というのも、世界各地を航海する外航貨物船は、航行海域によって船内時刻を変えなければなりません。
例えば、日本からシンガポールに行く場合、時差が1時間ある (シンガポール時間の方が日本時間よりも1時間遅いです) ので、シンガポールに着く前には、時刻を1時間後進させないといけません。
船橋に操作盤があるのですが、そのボタンを押すだけで、船内各所の時計の針が自動で進んだり、戻ったりする仕組みです。
いずれにせよ複雑な時計なので、時として、船橋の操作盤からの指令に連動しないものがあります。
この場合、時計内部の基盤の交換を実施することもあります。
ここまで一般の方にとってはかなりマニアックな内容になってしまいましたが、航海中の業務について何となくイメージが湧きましたでしょうか?
書類仕事
最後に書類仕事について書くと、各国の港に入港するにあたり、税関や現地の代理店から、乗組員名簿・所持品リスト・過去に行った港リストをはじめ、諸々の書類を要求されます。
これに対応して、PDF書類をメールで送るといった対応をしています。
コロナによって新たに増えたこととしては、全乗組員の1か月分の体温記録表の提出が求められることがたまにあり、骨が折れます笑
恥ずかしながら私はパソコンが苦手なので、時々四苦八苦しながら、何とかこなしている状況です(笑)