サスティナビリティとは
多くの方は、耳にしたことはあるけれど、自分で説明するのは難しいという感覚だと思います。
サスティナビリティとは
サスティナビリティとは、英語のSustainabilityからきています。
日本語での意味は「持続可能性」ですが、一体どのようなもので、どんな場面で使われるのでしょうか。
持続可能性ということをもっと簡単にいえば、「今さえよければいい」という考え方でなく、「ずっと将来的にも良い状態を保つ」ということです。
この言葉は環境問題にも使われますが、その場合は、「良い自然環境をずっと保ち続けること」という意味になります。
では、社会においてはどういう意味を持つのでしょうか。
「企業のサスティナビリティ」という時、「企業が生産活動をし、利益を上げ、将来的にお客様に商品やサービスの供給ができる状態を保ち続ける」ということを指します。
このサスティナビリティは、会社の利益の追求だけでなく、社会的な側面も持っています。
また、サスティナビリティはしばしば、CSRという言葉とセットで使われることが多いので、CSRについても知っておく必要があるでしょう。
サスティナビリティとCSRの関係
日本ではサスティナビリティよりも少し早く導入された言葉で、CSR(corporate social responsibility)というものがあります。これは、「企業の社会的責任」と訳されます。
「企業が利益を追求するだけでなく、社会に与える影響に責任を持って、消費者や株主といった人々の要求に対し、適切な意思決定をすること」がCSRですが、これだけではあまりよくわかりませんので、具体例を見てみましょう。
CSRの具体例
たとえば、発展途上国の国に学校を建てたり、農業の指導を行うということも、立派な社会貢献です。
学習や教育を事業としている会社が、教育関係の慈善事業をするのはとてもイメージがしやすいと思います。
食品会社が、途上国の食糧支援をしているのも具体的でわかりやすいでしょう。
また、慈善事業だけでなく、CSRの一環として、美術館を持っている会社もあります。
これはどちらかというと、企業メセナ(フランス語で芸術文化支援)に近いですが、CSRの1つでもあります。
このように、CSRの活動は会社の利益に直結したものでなく、社会全体に貢献するものとして位置付けられるのです。
サスティナビリティはこうしたCSRと共に語られることの多いものということを覚えておくと良いでしょう。
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なぜサスティナビリティは注目されたのか
では、なぜサスティナビリティが広まったのかを考えてみましょう。
そもそも、この言葉が注目されるようになったのは、1987年の国連の「環境
と開発に関する世界委員会」だとされています。
この委員会の中で発表された「われらの共通未来」の中で、「持続可能な開発」という概念が提唱されました。
その後、1992年の地球と開発に関するリオデジャネイロ宣言で、サスティナビリティは具体的なものとなったのです。
最初は、資源の利用に関して国家や企業がどう取り組むことで、環境保全を図るかということがメインテーマでしたが、サスティナビリティという概念が大きくなるに従って、環境だけでなく、地域社会や消費者に対する企業の社会的責任という側面も持つようになったのです。
今では、きちんと利益を上げることだけでなく、株主や消費者に対してどのような責任を持っているのか、また社会貢献度はどのくらいかが企業を見極めるポイントともなっています。
ですから、多くの企業では、サスティナビリティやCSR活動に力を注いでいるのです。
経営層の考えるサスティナビリティとは?
消費者の立場で考えると、サスティナビリティは社会貢献活動とほぼ同義です。
農業支援、教育支援、医療支援だけでなく、植林活動など多岐にわたる社会貢献活動があります。
一方、経営層がサスティナビリティを「法令を守り、事業を継続すること」「より良い商品の開発や供給、サービスの提供をすること」といった視点で捉えています。
もともとサスティナビリティは環境保全分野から生まれた概念でありますが、少なくとも日本の経営層が考えるサスティナビリティは、よりCSR的だといえます。
安全安心な商品をいつまでもずっと供給し続けられること、それによって利益を健全に生み出していくことをサスティナビリティと位置付けているのです。
社会貢献活動よりも、会社が生み出す商品やサービスをお客さまに届けること自体が、すでに社会貢献であるという概念があります。
この点が、我々消費者の考えるサスティナビリティと、会社の経営層が考えるサスティナビリティの違いだといえるでしょう。
海外のサスティナビリティはどのようなものか
では、海外ではサスティナビリティをどのようなものとして捉えているのかを見ていきましょう。
現在、英語圏の国ではサスティナビリティはCSRなどに取って代わって、コーポレート・サスティナビリティと呼ばれています。
これは、利益を生み出すことと、環境などに対する社会貢献は相反するものではなく、むしろ両立させるべきものという概念の元にあります。
社会貢献活動は、会社にとって利益を生むことではありません。
むしろ、会社のお金を使ってボランティアをしているようなものですので、社会貢献活動と利益を生み出すことは、真逆の行為とも言えます。
ですが、このコーポレート・サスティナビリティという考え方は、両方を同時に成功させるという目的があります。
消費者がどのようなものを求めているのか、社会は今何を必要としているのかを分析することで、新しいビジネスを発見することができます。
そこから、売上を伸ばし、利益を追求すれば、社会貢献をしながら会社が成長するという2つの目標は達成されるわけです。
そうして消費者から支持を得ることで、より長期的な事業の継続を目指すことができます。
このように、コーポレート・サスティナビリティは長期的な視点を持って実行されることが大前提となっているのです。
このように専門化したサスティナビリティを実現するために、欧米にはサスティナビリティ部門というものが、社内に存在します。
サスティナビリティを成功せるために、専門知識を持った人間でチーム編成された部署がありますが、大抵はCEOから大きな権限を与えられています。
ですから、会社の心臓部に相当すると言っても過言ではないでしょう。
ただ環境保全活動などを行い、企業の認知度を上げるという視点で動いているのではなく、社会貢献活動を通して利益をさらに上げるという目標がありますので、より経営者の目線で考えなければならないのです。
このコーポレート・サスティナビリティが目指しているのは、社会貢献をすることは、決して利益追求とそう反するものではないということを覚えておくとよいでしょう。
サスティナビリティの分野は拡大する
もともとは、環境保全問題から始まったサスティナビリティという考え方は、今ではより大きな概念となっています。
たとえば雇用関係や、市場での価値など、社会的な面や経済的な面でも「持続可能性」が追求されています。
この記事のまとめ
サスティナビリティは未だ日本ではCSRと同義語でありますが、より広い範囲の概念として認知されるべきでしょう。
とくに、今後日本で重要になるのは、労働問題などではないでしょうか。
若年層が安定して労働を続けられる環境を作るのは必須課題です。派遣切り、内定取り消しといった問題は、企業や業界の価値そのものに影響を及ぼします。
安定した利益を生み出すためにも、安定した雇用が必要です。
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