セルフコンパッションとは？ あるがままの自分を受け入れる実践方法11選

セルフコンパッション（自己慈愛）とは

セルフコンパッションとは、自分自身に優しさと思いやりを向けることです。

自分を大切にし、自分の感情を受け止め、自分を思いやる心を持つということです。

セルフコンパッションは、以下の3つの要素から構成されています。

要素1. 自分自身への優しさを持つ

自分に優しくするということは、自分を厳しく批判するのではなく、まるで親友に接するように、思いやりと理解を持って自分に接することです。

自分の失敗や弱さを認め、それでも自分を受け入れ、応援するのです。

要素2. 苦痛や失敗は誰にでもあると認識する

私たちは完璧ではありません。

失敗や困難、苦痛は、人間である以上、誰もが経験するものです。

自分だけが特別に苦しんでいるわけではないと理解することで、自分の経験を人間性の一部として受け止められるようになります。

要素3. いまの自分に注意を払う

自分の感情や思考、身体の感覚に意識を向けることで、今この瞬間の自分自身と向き合うことができます。

自分の内面に注意を払い、自分の経験を客観的に観察することで、ネガティブな感情に巻き込まれずに済むのです。

セルフコンパッションと自己肯定感との関係

セルフコンパッションは自己肯定感とも深く関わっています。

自分に優しくできる人は、自分の価値を認め、自信を持つことができます。

一方、自己肯定感が低い人は、セルフコンパッションを実践することで、自分を大切にする力を身につけられるのです。

セルフコンパッションと自己批判の違い

セルフコンパッションは自己批判とは対極にあるものです。

自己批判は自分を責め、否定しますが、セルフコンパッションは自分を思いやり、理解します。

自己批判ではなく、セルフコンパッションを選ぶことで、私たちは自分自身と健全な関係を築くことができるのです。

自己批判を繰り返すことによる悪影響

悪影響1. 自己肯定感の低下につながる

自己批判を繰り返していると、次第に自分に自信が持てなくなります。

自分の欠点ばかりに目が向き、長所を見失ってしまうのです。

その結果、自己肯定感が低下し、自分を価値のない存在だと感じてしまいます。

悪影響2. ストレスや燃え尽き症候群のリスクが高まる

自分に厳しい人は、高い目標を設定し、完璧を求めがちです。

しかし、常に完璧を維持するのは困難であり、大きなストレスを感じることになります。

長期的なストレスは、心身の疲労を蓄積させ、燃え尽き症候群につながる可能性があります。

悪影響3. 対人関係にも悪影響を及ぼす

自己批判的な人は、他者からの評価にも敏感になりがちです。

他者からの批判に過剰に反応し、否定的な態度を取ることもあるでしょう。

また、自分に厳しい分、他者にも同じような高い基準を求めてしまい、人間関係にひずみが生じることもあります。

悪影響4. 自己実現や目標達成の妨げになる

自己批判は、自分の可能性を信じることを難しくします。

失敗を恐れるあまり、新しいことにチャレンジすることを躊躇したり、目標に向かって努力を続けることができなくなったりします。

その結果、自己実現や目標達成から遠ざかってしまうのです。

悪影響5. メンタルヘルス不調のリスクが高まる

自己批判は、不安やうつ、ストレス関連の疾患のリスクを高めます。

自分を責め続けることで、ネガティブな感情が蓄積し、心の健康を損ねてしまうのです。

セルフコンパッションを実践することで、メンタルヘルスの不調を予防し、よりしなやかな心を育むことができます。

セルフコンパッションの7つのメリット・効果

メリット1. 自己肯定感や自信の向上に役立つ

セルフコンパッションを実践することで、自分の長所や良い点に目を向けられるようになります。

自分を肯定的に捉えることで、自己肯定感が高まり、自信を持てるようになるのです。

自分を信じる力は、人生のあらゆる場面で力を発揮します。

メリット2. レジリエンス（回復力）を高める

セルフコンパッションは、困難な状況でも立ち直る力を与えてくれます。

失敗や挫折を経験した時、自分を思いやる心があれば、その経験を成長の機会ととらえ、前を向いて歩み出すことができるでしょう。

セルフコンパッションが高いほど、レジリエンスも高くなるのです。

メリット3. ストレス対処能力が上がる

自分に優しくできる人は、ストレスに直面した時も、冷静に状況を見渡し、適切な対処法を選択できます。

自分を責めるのではなく、自分を励まし、サポートすることで、ストレスによるダメージを最小限に抑えられるのです。

メリット4. 心身の健康を維持しやすくなる

セルフコンパッションは、心の健康だけでなく、身体の健康にもポジティブな影響を与えます。

自分を大切にする人は、健康的な生活習慣を身につけ、ストレスマネジメントも上手です。

その結果、心身ともに健やかな状態を維持しやすくなります。

メリット5. 人間関係の質が向上する

自分に優しくできる人は、他者にも優しくできます。
セルフコンパッションが高い人は、他者の感情を共感的に理解し、思いやりを持って接することができるのです。

また、自分の感情をコントロールできるため、人間関係のトラブルを未然に防ぐことにもつながります。

メリット6. 目標達成や自己成長がスムーズになる

セルフコンパッションは、自分の可能性を信じる勇気を与えてくれます。

失敗を恐れず、挑戦する姿勢を持つことができるのです。

また、自分の成長を喜び、励ますことで、自己成長のプロセスをより楽しいものにすることができます。

メリット7. 人生の幸福感が高まる

セルフコンパッションは、人生の満足度や幸福感を高めてくれます。

自分を受け入れ、自分に優しくできる人は、人生の喜びや感謝をより強く感じられるのです。

セルフコンパッションは、人生をより豊かで意味あるものにしてくれる力を持っています。

セルフコンパッションを身につける11の実践的な方法

方法1. 自分への思いやりの言葉を探す

自分を励まし、慰める言葉を見つけましょう。

例えば、「あなたはよくやっているね」「あなたは大切な存在だよ」など、自分に言葉をかける言葉を見つけましょう。

方法2. 自分に優しい言葉をかける習慣をつける

自分への思いやりの言葉を見つけたら、それを日常的に使うようにしましょう。

自分に話しかけるように、優しい言葉を投げかけてください。

最初は照れくさいかもしれませんが、習慣化することで、自然と自分を思いやる心が身についていきます。

方法3. 自己慈愛の瞑想をする

自己慈愛の瞑想は、自分に優しくなるための効果的な方法です。

• 静かな場所で座り、目を閉じます
• 自分への思いやりの言葉を心の中で唱えます
• 自分を温かく包み込むようなイメージを思い浮かべます
• 深く穏やかな呼吸を続けます

この瞑想を通して、自分への優しい気持ちを育んでいくことができます。

興味があれば、マインドフルネスについてくわしく調べてみましょう

方法4. 自分の小さな努力と成果を認めてあげる

自分の小さな努力や成果を認め、称えることは重要です。

完璧でなくても、自分なりに頑張ったことを認めてあげましょう。

• 「今日は1つ新しいことにチャレンジできたね」
• 「失敗したけど、勇気を出して挑戦したことは素晴らしい」
• 「少しずつ前進できていることを誇りに思うよ」

このように自分を褒めることで、自己肯定感が高まっていきます。

方法5. ジャーナリングで気持ちを書き出す

自分の気持ちを言葉にして書き出すことは、セルフコンパッションを実践する上で効果的です。

日記やノートに、今の感情や思考を自由に綴ってみてください。

ネガティブな感情も含めて、ありのままの自分を受け止め、書き出すことが大切です。

自分の内面と向き合うことで、自分への理解が深まります。

方法6. リフレーミングをする

リフレーミングとは、物事の捉え方を変えることです。

自分の失敗や欠点を、成長のチャンスととらえ直してみましょう。

• 「失敗した」→「新しい学びを得た」
• 「欠点がある」→「ユニークな個性がある」
• 「うまくいかない」→「改善点が見つかった」

視点を変えることで、自分を肯定的に受け止められるようになります。

方法7. スージングタッチで自分を安心させる

自分の体に優しくタッチすること（スージングタッチ）は、自分を癒やし、安心させる効果があります。

• 手を心の上に当て、ゆっくりと深呼吸をしてみましょう
• 頬や腕を優しく撫でてみましょう
• 自分の体に「大丈夫だよ」と言葉をかけながら、そっと抱きしめてみましょう

自分の体に優しく触れることで、自分を慈しむ心が育まれます。

方法8. リマインドペーパーでメモを残しておく

自分への思いやりの言葉や、大切にしたい価値観を書いたメモを残しておきましょう。

目に付く場所に貼っておくことで、自分を思い出し、セルフコンパッションを実践するきっかけになります。

• 「あなたは十分に価値ある存在」
• 「失敗は成長のチャンス」
• 「自分を信じて、前に進もう」

リマインドペーパーは、自分を励まし、支えてくれる存在になるでしょう。

方法9. コンフォートカードを持ち歩く

小さなカードに、自分を励ます言葉を書いて持ち歩きましょう。

• 「あなたは大丈夫」
• 「一歩ずつ前進しよう」
• 「あなたの存在は大切」

不安になった時やストレスを感じた時に、カードを取り出して言葉を唱えてみてください。

自分を慰め、勇気づける力になってくれるはずです。

方法10. コンフォートジェスチャーを決めておく

自分を励まし、慰めるジェスチャーを決めておきましょう。

例えば、

• 手を胸に当てる
• 親指を立てる
• にっこり微笑む

などのジェスチャーを自分なりに見つけてください。

ストレスを感じた時に、そのジェスチャーをすることで、自分を癒やすことができます。

方法11. セルフケアの時間を定期的に取る

自分を大切にするためには、セルフケアの時間を定期的に設けることが重要です。

• 好きなことをして過ごす
• ゆっくりとリラックスする
• 自分に必要なものを与える

などの時間を意識的に作りましょう。

自分を慈しみ、いたわることで、心の充電ができます。

セルフケアは、セルフコンパッションを実践する上で欠かせないアクションなのです。

セルフコンパッションを実践する8つのヒント

ヒント1. 自己批判をしない

自己批判は自分を傷つけるだけです。

自分を責めるのではなく、自分を理解し、応援する視点を持ちましょう。

自分に厳しくなりすぎず、自分に寛容になることが大切です。

ヒント2. 自分の感情の良し悪しを判断せずに受け入れる

自分の感情をありのままに受け止めましょう。

感情に良し悪しはありません。

ネガティブな感情も、自分の一部として大切に扱うことが重要です。

感情を抑圧するのではなく、感情と向き合い、受け入れる練習をしてみてください。

ヒント3. 自分に対する思い込みを手放す

「自分はダメな人間だ」「失敗してはいけない」など、自分に対する思い込みを手放しましょう。

思い込みは、自分を苦しめるだけです。

自分に対する固定観念にとらわれず、自分をもっと認めてあげましょう。

ヒント4. 過去の失敗や経験から学ぶ姿勢を持つ

過去の失敗やつらい経験も、自分を成長させてくれる糧になります。

過去にとらわれるのではなく、その経験から学びを得る姿勢を持ちましょう。

過去の経験を肯定的に捉え、前に進む勇気を持つことが大切です。

ヒント5. 心身をケアすることを心がける

自分の心と体を大切にすることは、セルフコンパッションの基盤です。

• バランスの取れた食事を心がける
• 十分な睡眠を取る
• 適度な運動をする
• ストレス解消法を見つける

など、自分の心身の健康を維持するための行動を取り入れましょう。

自分の心と体を大切にすることは、自分に優しくなることにつながります。

ヒント6. 現実を受け入れる受容の心を持つ

自分の置かれている状況や、自分の感情をありのままに受け入れましょう。

現実から目を背けるのではなく、現実と向き合うことが重要です。

受容は、変化のスタート地点です。

現実を受け止めることで、前に進むための第一歩を踏み出すことができるのです。

ヒント7. 他人との比較をやめて自分のペースを大切にする

他人と自分を比較して、自分を卑下するのはやめましょう。

人それぞれに、個性や長所、ペースがありますし、自分らしいペースで、自分の人生を歩むことが大切です。

他人ではなく、自分に焦点を当てて生きることを心がけましょう。

ヒント8. 自分の限界を受け入れる

自分の限界を知り、受け入れることは重要です。

完璧である必要はありません。

自分にできることとできないことを見極め、自分の限界を尊重しましょう。

自分の限界を超えようと頑張りすぎると、疲れ果ててしまいます。

自分の限界を知ることで、無理のない範囲で自分を生かすことができるのです。

セルフコンパッションがとくに必要な人

ストレスフルな環境で働く人

高いストレス下で働く人は、自分自身へのケアを忘れてしまいがちです。

セルフコンパッションを実践することで、ストレス対処能力を高め、バーンアウトを防ぐことができます。

自分を思いやり、休息を取ることの大切さを忘れないでください。

完璧主義傾向が強い人

完璧主義者は、自分に非常に高い基準を課し、常に自己批判的になりがちです。

セルフコンパッションを通して、自分の不完全さを受け入れ、柔軟な思考を身につけることが重要です。

完璧でなくても、自分の価値は変わりません。

傷つきやすい人

繊細で傷つきやすい人は、自分を責めがちです。

セルフコンパッションを実践することで、自分の感情を受け止め、自分を慰める力を養うことができます。

自分の感受性を大切にしながら、レジリエンスを高めていきましょう。

自己肯定感が低い人

自己肯定感が低い人は、自分の長所を見出すことが難しく、自己批判に陥りやすいです。

セルフコンパッションを通して、自分の価値を認め、自信を取り戻すことが大切です。

自分を認め、応援することから始めてみましょう。

過去のトラウマを抱えている人

トラウマ経験は、自己評価を下げ、自分を責める気持ちを強めます。

セルフコンパッションは、トラウマからの回復過程において重要な役割を果たします。

自分の経験を理解し、自分に優しくあることが、癒しにつながるのです。

対人関係に悩みを抱えている人

人間関係の問題で自分を責めている人は、セルフコンパッションを通して、自分の感情を受け止め、自分を許すことから始められます。

自分に優しくなることで、他者とのより健全な関係性を築くことができるでしょう。

子育てに悩む親御さん

子育ては試行錯誤の連続で、完璧な親などいません。

セルフコンパッションを実践することで、親御さんは自分の限界を認識し、自分を大切にしながら子育てに向き合えます。

自分を認め、応援することが、よりよい子育てにつながるのです。

おわりに

セルフコンパッションは、自分自身に優しさと思いやりを向ける力です。

自己批判ではなく、自分を理解し、受け入れることの大切さを知ることから始まります。

セルフコンパッションを実践することで、私たちは自己肯定感を高め、レジリエンスを育み、ストレスに上手に対処できるようになります。

また、自分を慈しむ心は、他者への共感や思いやりにもつながります。

セルフコンパッションは、私たちの人生をより豊かで充実したものにしてくれる可能性を秘めているのです。

しかし、セルフコンパッションは一朝一夕で身につくものではありません。

自分を思いやる心を育むには、日々の実践と意識的な努力が必要です。

この記事で紹介した11の方法を参考に、自分なりのセルフコンパッションの在り方を探求してみてください。

そして、自分の人生のあらゆる場面で、セルフコンパッションを発揮できるよう、練習を重ねていきましょう。

自分を大切にすることは、より良い人生を送るための第一歩なのです。

今日から、もっと自分に優しくなることを心がけてみましょう。