PM理論とは
リーダーシップを説明する理論は世の中にはたくさんあります。
リーダーの資質とは何なのか、どのようなリーダーであれば組織がまとまるのか…。
PM理論は、そんな組織をまとめるリーダーについて説明する理論の一つです。
PM理論とは?
PM理論とは、リーダーが組織をうまく動かすために持つべきものとして、パフォーマンス機能(Performance、P機能、目的達成機能)とメンテナンス機能(Maintenance、M機能、集団維持機能)の二つがあると考えた理論です。
リーダーシップや組織論の用語は海外の学者が考え付いたものが数多く出回っていますが、このPM理論は珍しくも日本人である三隅二不二(みすみじゅうじ)という心理学者が提唱しています。
PM理論の「P」と「M」の意味
では、PM理論のPとMは実際にはどのような機能なのか、具体例を交えて考えてみましょう。
少年野球のチームには必ず「監督」がいます。
この監督のチーム内での役割についてPM理論を当てはめてみましょう。
P:目的達成機能(パフォーマンス機能)
少年野球チームでは、他チームとの試合があります。
試合で「勝つ」ために、常日頃から監督は少年たちに練習を促し、時には厳しい指導で少年たちの野球が上手くなるように導きます。
また、試合当日は応援し、指示を出し、ピンチの時にプレッシャーに負けて弱気になりそうになる少年を叱咤激励しながら勝利に結びつくよう管理を行います。
この「勝つ」ための指導、指示、激励などがPM理論の中でいうPの部分、目的達成機能(パフォーマンス機能)と呼ばれるものです。
M:集団維持機能(メンテナンス機能)
一方で、試合に勝つという目的があるとはいえ、毎日、もしくは毎週怒鳴りつけられ、苦しいときや怪我のときにも鬼のような対応を監督に取られたら、どんなに野球が好きなメンバーであっても、気分はへこたれ、そっぽを向き、ぐれてしまうかもしれません。
そこで、いわゆる「良い監督」というものは通常、「飴と鞭」を使い分けているものです。
練習の時には容赦ない監督であったとしても、スランプにはまってしまった少年には優しく語り掛け、怪我をした少年には病院にまで付き添って経過を心配します。
また、少年同士でいざこざがあった時には仲裁に入り、バッテリーのコミュニケーションが上手くいっていなければ、ミーティングを開いてお互いの信頼関係を向上させるために話し合いをするかもしれません。
このように、チームの信頼関係や人間関係を調整し、全体としてのチームワークを良化させていく配慮や行動がMの部分、集団維持機能(メンテナンス機能)と呼ばれるものです。
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PM理論を用いた分析方法
では、リーダーが自分自身のリーダーシップについて振り返る時に、このPM理論をどのように利用したら良いかを考えてみましょう。
PM理論では、すべてのリーダーにPの要素とMの要素、両方が均一にあるとは限らず、4つのバリエーションがあることを述べています。
・PM型(PMともに大):目標を達成する力も組織をまとめる力もある。理想的なリーダー。
・Pm型(Pのみ大):目標を達成する力は大きいが、組織をまとめる力が弱い。パワハラになりがち。
・pM型(Mのみ大):目標を達成する力は弱いが、組織をまとめる力は強い。仲良しグループタイプのリーダー。
・pm型(PMともに小):目標を達成する力も、組織をまとめる力も弱い。リーダーシップが発揮されていないタイプ。
PM理論を用いるとリーダーシップをとる立場になった時に、これらの4つのバリエーションの中の自分がどのタイプなのかを客観的に診断・分析することができます。
リーダーに就任すると得てして自分のことを客観的に捉えられずに裸の王様になったり、孤独に苛まれたりすることがあります。
PM理論はそういったリーダー達が自己を振り返るために有益な指標を提案している理論でもあるのです。
この記事のまとめ
学生時代から、チームのリーダーとしてその手腕を振るってきたかたもいるでしょう。
しかし、一度社会に出ると、今までのリーダーシップに加えて、「成績を残す」というプレッシャーがリーダーにはのしかかってくることになります。
社会に出て何年か経ち、リーダーを任された時にはぜひこのPM理論をご自身の活動に役立ててみてください。
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