派遣社員は社会保険に入れる? 失業保険はある?

求人情報をチェックしていると、「社会保険完備」という言葉を見かけることがあると思います。

生活を保障してくれる社会保険は正社員だけのものではなく、一定の条件を満たせば、派遣社員も加入が義務付けられています。

今回は、派遣社員が社会保険に入るためのルールや注意点、また、何らかの理由で仕事を辞めるときに必要になる失業保険についても見ていきたいと思います。





社会保険とは何?

日本の社会保険制度には、「健康保険」「厚生年金保険」「雇用保険」「労災保険」「介護保険」があります。

それぞれについて紹介します。

健康保険

病気やケガをしたときの経済的な負担を軽減するために加入する保険です。

また、出産にあたって一時金が支給されたり、出産で会社を休んで事業主から報酬が受けられなかったりするときにも手当金が支給されます。

派遣社員を対象とした健康保険組合として「人材派遣健康組合(はけんけんぽ)」があります。

厚生年金保険

老後に年金が受け取れる「老齢年金」のほか、病気やケガで障害が残った場合に支給される「障害年金」、加入者が亡くなったときに遺族が受け取れる「遺族年金」があります。

介護保険

介護が必要になった場合、介護サービスを原則1割負担で受けることができる制度です。

日本では40歳以上になると介護保険への加入が義務付けられ、健康保険と一緒に保険料を支払います。

雇用保険

失業して収入が途絶えたときなどに、国から一定期間支払われる失業手当を受けるための保険です。

再就職までの生活を安定させるほか、失業保険を受給している人が再就職した場合にも手当が支給されます。

労災保険

正式名称は「労働者災害補償保険」といい、業務上または通勤途中の事故によって病気やケガをしたり、障害が残ったり、死亡したりした場合に、本人や遺族に保険金が給付されます。

派遣社員の社会保険加入条件

社会保険は、それぞれに加入条件が定められています。

派遣社員の場合は以下の通りとなります。

健康保険・厚生年金保険・介護保険

1週間の所定労働時間が、雇用元となる派遣会社に勤める正社員の4分の3以上(1ヵ月の所定労働日数が15日以上、かつ1週間の所定労働時間が30時間以上)であり、契約期間が2カ月を超えることが条件となります。

また、上記の条件を満たしていない場合でも、以下のすべてに該当する場合、「短時間労働者区分」として加入することになっています。

1. 1週間の所定労働時間が20時間以上であること
2. 賃金の月額が88,000円以上であること
3. 1年以上の雇用が見込まれること
4. 厚生年金保険の被保険者数が501人以上の企業で就業すること(ただし、500人以下の会社であっても、労使で合意がなされていれば適用範囲内となります)

なお、上記は学生(夜間・定時制・通信を除く)には適用されません。

こうして見ていくと、たとえば1週間に15時間しか働かない人、賃金が毎月85,000円の人、期間限定で3ヵ月だけ働く人などは、加入義務の条件を満たさないということになります。

雇用保険

1週間の所定労働時間が20時間以上、かつ31日以上の雇用が見込まれる場合に加入します。

労災保険

雇用主は、労働者を1人でも雇用する場合には労災保険の加入が義務付けられているため、労働者であれば、誰でも就業した時点で自動的に被保険者となります。

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社会保険に加入するメリット

社会保険に加入すると、いろいろなメリットが受けられます。

たとえば、もし急に病気になって仕事ができなくなった場合、多くの人が生活するためのお金の不安を抱くことでしょう。

そんなときに社会保険に加入していれば給付金が支払われるので、当面の生活費をまかなうことができます。

また、自営業者などが加入する国民健康保険では、全額を被保険者が負担しなくてはなりませんが、健康保険に加入すれば事業所が半額を負担してくれるため、自己負担額を抑えられる可能性があります。

ただし、社会保険に加入すると保険料は給料から引かれることになるので、手取り額を増やしたい人にとっては損だと感じるかもしれません。

将来に対するリスクや不安を解消するために社会保険に入るのか、それとも加入しないで済むように労働時間を調整して働くのかは、よく考えておく必要があります。

派遣社員が失業保険をもらうには

失業保険の受給要件

世間で一般的に使われている「失業保険」という言葉は、正確には「雇用保険の失業給付」といいます。

1週間の所定労働時間が20時間以上、かつ31日以上の雇用が見込まれる場合、派遣社員は雇用保険に加入して失業保険を受けられる可能性があります。

雇用保険に入っている派遣社員が失業保険の受給要件となる事項には、おもに以下の2つが挙げられます。

1. 働く意志があるにもかかわらず就職できていないこと
2. 離職日以前の過去2年間で通算1年以上雇用保険に加入していること

1については、被保険者が病気などではなく、すぐにでも働ける状態であり、さらに積極的に仕事を探していることが条件となります。

2については、雇用保険の加入期間が飛び飛びであっても、通算して1年以上あれば問題ありません。

ただし、派遣社員の場合には特例措置があり、契約期間満了となって次の仕事紹介を希望していたのに契約更新がされなかった場合には、「特定理由離職者」というものに該当します。

特定理由離職者として認められると、2の条件が「離職日以前の過去1年間で通算半年以上雇用保険に加入していること」と受給条件が緩和されます。

失業保険はいつからもらえる?

失業保険の手続きや給付はハローワークが行なっていますので、受給資格があるかどうかなどはハローワークへの確認が必要となります。

ハローワークとのやりとりで受給資格が決定されると、条件に応じて失業手かての給付がスタートします。

ただし、給付開始のタイミングは「会社都合」の場合と「自己都合」の場合で異なります。

仕事を希望しているのに紹介してもらえないなどの会社都合であれば、受給資格決定日から通算して7日間の待機期間を経て、給付期間がスタートします。

一方、自己都合であれば受給資格決定日から通算して7日間の待機期間、さらに3ヵ月間の給付制限期間を経て給付期間がスタートします。

失業保険の給付金額は?

失業保険の給付金の額は、原則として「離職日直前の6ヵ月に毎月決まって支払われた賃金の合計を180で割って算出した金額のおよそ50~80%」となっています。

ただし、年齢区分ごとに給付の上限額が決まっているほか、給付される日数も離職理由や年齢によって異なります。

失業保険について、最新の詳しい情報はハローワークなどで確認しておくとよいでしょう。

この記事のまとめ

ここで見てきたように、派遣社員も社会保険に加入することができます。

また、社会保険には安心して働き続けたり、万が一、仕事を失った場合や老後など将来の生活を保障してくれたりするさまざまなメリットがあります。

ただし、派遣社員が社会保険に加入するには一定の条件をクリアしなくてはならないので、加入したい場合は条件を満たすように考えなくてはなりません。

社会保険の加入手続きは派遣元の会社が行ってくれるので、もしわからないことがあれば就業前に派遣会社に確認するとよいでしょう。

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