フリーミアムとは

インターネットの登場によって、サービスを無料で利用する機会が増加しました。

近年ではスマートフォンの普及とともに、簡単に手に入るアプリを利用して生活を便利にしたり、空いている時間を有効活用したりすることが日常になっています。

すべてが無料で利用できるものもあれば、一部有料のものなどさまざまな種類がありますが、無料サービスで獲得したユーザーから将来的に課金して収益を高めるビジネスモデルを「フリーミアム」といいます。

最近では一般的になりつつあるビジネスモデルのため、用語を知らない方でも身近なところで「フリーミアム」に触れているかもしれません。

無料サービスでビジネスを成功させる「フリーミアム」の仕組みや成功事例などを紹介します。





フリーミアムの意味

フリーミアムとは、無料で基本サービスを提供し、高度なサービスや特定の機能を有償で提供するビジネスモデルのことです。

2006年にアメリカで概念が提唱され、2009年に出版された書籍「Free: The Future of a Radical Price」はベストセラーとなりました。

日本でも「FREE <無料>からお金を生みだす新戦略」のタイトルで出版され、新しいビジネスモデルとして注目を集めました。

フリーミアム(freemium)は造語で、無料の「free」と割増金という意味をもつ「premium」からできています。

フリーミアムのビジネスモデルと戦略

フリーミアムのビジネスモデルは、Webサービスやデジタルコンテンツなど、無料で提供しても製造コストが生じない無形サービスに適しています。

基本機能は無料で利用でき、より便利な機能などを利用しようとすると課金が行われる仕組みです。

基本機能は無料のためユーザーの多くが無料ユーザーであることも特徴ですが、ユーザー全体の95%が無料ユーザーでも、有料ユーザーが5%存在すればビジネスが成立する(5%ルール)といわれています。

フリーミアムのビジネスモデルでサービスを提供する企業は、初期段階では無料ユーザー数の拡大に努め、その後有料会員への移行を促すための施策を講じます。

全体数を増やすことによって、有料ユーザー数を拡大させることがフリーミアムの戦略です。

フリーミアム

無料サービスを利用するユーザーが有料サービスへと移行するには、「お金を支払っても使いたくなる」サービスの付加価値が必要です。

フリーミアムにおける代表的な課金ポイントを確認していきましょう。

(1)使える機能が増える

有料会員になると使える機能が増え、より便利にサービスを利用することができるようになります。

例えば、大手レシピサイトでは、人気レシピを検索できたり専門家のレシピが参照できるなど、有料会員だけの特別機能・サービスが利用できます。

(2)制限が撤廃される
無料会員の間は条件付きで利用できたサービスが、有料会員になると条件や制約がなくなり、より快適に利用できるようになります。

例えば、使用料や著作権料のかからない無料画像をダウンロードできるサイトでは、有料会員になると高速ダウンロードが可能。

無料会員でも画像利用はできますが、有料会員になることでダウンロードのストレスが大幅に軽減します。

他にも画像などのデータを無料保存できるサービスでは、無料会員の間は容量が2GBに制限されていますが、有料会員になると500倍の1,000GB(1TB)まで拡大。

データ量の上限を気にせずに利用することが可能になります。

(3)有料会員限定のコンテンツ

ニュースサイトや動画サービスなどでは、有料会員のみが閲覧できるコンテンツが用意されています。

有料化に成功しているメディアでは、クオリティの高さや他では見られない希少性など、ユーザーがお金を払ってでも見たくなる(読みたくなる)魅力的なコンテンツ作りに力を入れています。

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フリーミアムの事例

フリーミアムの戦略で成功しているサービスは、私たちの身近に多数存在します。
多くの人が日常的に利用しているサービスの中からにフリーミアムの事例を紹介します。

【フリーミアムの成功事例】料理レシピのコミュニティサイト「クックパッド」

クックパッドは1998年日本でスタートした、「料理レシピの投稿・検索サービス」です。

サービス内容
一般ユーザーがレシピの投稿および検索ができる無料サービス

有料会員のサービス内容
人気レシピの順位検索、専門家によるレシピ提案、限定クーポンなどのプレミアムサービスが月額280円 (税抜) で利用可能

フリーミアムでユーザー数を拡大し、2014年から無料ユーザーへの機能制限を開始するなど本格的に有料会員化の強化を始めました。

現在は180万人以上が有料会員として登録しています(2017年時点)。

また有料会員のサービスは1ヶ月間の無料お試し期間があり、有料会員へと移行しやすいよう工夫されています。

【フリーミアムの成功事例】オンラインストレージサービス「Dropbox」

Dropboxはアメリカ発のオンラインストレージサービスです。2008年にサービスをスタートし、日本語版は2011年より提供されています。

サービス内容
ローカルにある専用フォルダにファイルを出し入れするだけで、複数のデバイスからデータの共有や同期が行え、オンラインでバックアップやロールバック(前の状態に戻すこと)もできるストレージサービス

有料会員のサービス内容
月額1,200円(税別)で保存できるデータ容量が1,000 GB (1TB)へ拡大。

また遠隔削除機能や共有リンクのパスワード設定などの機能が利用できるようになり、高度なセキュリティ環境を提供

Dropboxでは無料ユーザーは2GBまで自由にオンラインストレージを利用することができます。

有料サービスは、月額1,200円のProプラン(個人向け)のほか、企業向けにBusinessプランも用意されています。

創業からわずか9年で、世界で5億人が利用するサービスへと成長し、15万社以上がBusinessプランを利用しています(2016年時点)。

フリーミアムの問題点

フリーミアムがビジネスモデルとして確立してからすでに10年以上が経過していますが、この10年の間にはフリーミアムにおける問題点も取り沙汰されました。

特にソーシャルゲームを開発・提供する企業では、フリーミアムを採用してアイテム課金によって急成長を遂げていましたが、未成年者による多額の使い込みが多発したことで社会問題へと発展。

アイテムの入手に必要な課金システムの中でも「コンプリートガチャ」と呼ばれる課金システムが消費者庁によって違法の可能性が指摘され、ゲーム会社各社は景品表示法に抵触する可能性のあるサービスを終了したのです。

この場合はフリーミアム自体に問題があったのではなく、実際には課金をしてもアイテムを購入できない可能性のあるシステムが採用されていた点や、ゲームが無料であるかのように告知がされていた点が問題視されました。

無料を入り口としてユーザーを集めるフリーミアムでは、無料で利用できる範囲を具体的に明示しなければなりません。

「無料」の魅力がかえってトラブルの引き金とならないよう、十分に注意することが必要でしょう。

この記事のまとめ

フリーミアムの多くは、無料ユーザーをできるだけ拡大するために先行して時間や費用を投資しています。

そのため回収フェーズに入ると有料ユーザーへの移行促進や、課金しやすい仕組みの導入に注力しますが、行き過ぎてしまうと危険です。

今後もフリーミアムは多くのサービスに採用されるであろうビジネスモデルですが、無料ユーザーを十分に獲得したあと、いかにサービスの魅力を高められるかが成功と失敗の分かれ目となるのではないでしょうか。

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