キュレーションとは

インターネット上では日々、新しい情報が公開され、誰でも簡単にインターネットの記事を見ることができます。

ところがその一方で、本当に必要な情報にアクセスすることは、簡単ではなくなってきているようです。

なぜなら情報の膨大化によって、必要な情報だけを得るためには手間や時間、信頼できる情報かの判断も必要になっているからです。

そんな人々の状況を解決する手段として登場したのが「キュレーション」。

キュレーションはIT分野の専門用語でしたが、あるキュレーションメディアがニュースで大きく取り上げられたことで、広く知られる用語になりました。

キュレーションの意味を確認し、キュレーションメディアについても理解していきましょう。





キュレーションとは

キュレーションとは、インターネット上の情報を収集し、整理することを意味するIT用語です。

単に情報を集めるのではなく、特定のコンセプトに即した情報を収集し、それを必要とするユーザーへWebサイトなどのサービスを通じて提供します。

キュレーションを行う人は「キュレーター」と呼ばれる

キュレーションを行う人は、キュレーター(curator)と呼ばれています。

キュレーターはもともと、資料や展示物などを収集し蓄積する施設(博物館や美術館など)における専門職のこと。

日本では学芸員とも呼ばれますが、収集物の研究や鑑定、管理などを行う人のことです。

このキュレーターの意味から派生して、インターネット上に存在するさまざまな情報を収集し、まとめることをキュレーションと呼んでいるのです。

キュレーションメディア誕生の背景

独自の切り口や手法でキュレーションした情報を整理し、公開するWebサイトやスマホアプリのことを「キュレーションサイト」や「キュレーションメディア」といいます。

キュレーションという言葉は2000年代後半頃から使われるようになり、一般の人が参加できる「まとめサイト」の登場などでより広く知られるようになりました。

現在は多くのキュレーションメディアが乱立していますが、その背景にはインターネットにおける情報過多の状態が関係しているといわれています。

インターネットの普及によって、多くの人がいつでも情報にアクセスできるようになったのはもちろんですが、それと同時に誰もが簡単に情報を発信できるようにもなりました。

インターネット上には膨大な情報が溢れ、情報量は加速度的に増大しています。

インターネットから情報を得ようとする一方で、自分にとって必要な情報を見分けることが難しくなり、もっと簡単に必要な情報だけを得たいと望むユーザーが多くなったのです。

今では一般的な存在となったキュレーションメディアですが、ユーザーの要望に応える形でサービスの形態を進化させています。

特定の情報に特化したり、独自の編集を行って配信したり、サービスの向上だけでなく、差別化するための工夫が行われています。

キュレーション方法の種類

キュレーションには、人が行う方法、機械(人工知能やアルゴリズム)で行う方法の大きく2つがあります。

人と機械では、キュレーション方法にどのような違いがあるのでしょうか。

2つの違いと、それぞれの手法で行う代表的なメディアについて紹介します。

人が行うタイプのキュレーション

人が行うキュレーションは、インターネット上のコンテンツや記事を人が目視で確認し、特定の切り口に沿った情報を収集していく方法です。

代表的なメディア

<Antenna>
TOKYO LIFEを切り口とした「暮らし」「おでかけ」「コラム」など、7ジャンルの情報を配信。

スタッフが提携メディアの約1,000コンテンツに目を通し、キュレーションして毎日300以上の情報を配信しています。

<NewsPicks>
経済情報に特化したニュース共有メディア。

各業界の専門家や著名人が「ピッカー」と呼ばれるキュレーターとなり、ユーザーはピッカーをフォローすることで情報を受け取ることができます。

(NewsPicksは自動収集・配信を行うロボットをフォローすることも可能です)

機械行うタイプのキュレーション

機械が行うキュレーションでは、主にパーソナライズと呼ばれるユーザーの特性に合わせた情報収集が自動で行われます。

ユーザーが普段読んでいる記事などの履歴情報を参考に、最適な情報を収集・配信。

メディアごとに独自のアルゴリズムを使用してキュレーションを行っていますが、サービスを提供するうえで核となる技術情報のため詳細は非公開とされています。

<Smartnews>
芸能ニュースや経済情報など、幅広いジャンルの情報を配信。

「上質な情報」を提供することをコンセプトとしています。

<Gunosy>
最新ニュースから「エンタメ」「スポーツ」などのジャンル、その他生活に必要な情報まで、あらゆるコンテンツをキュレーションするサービスです。

人と機械によるキュレーション方法と代表的なメディアについて解説しましたが、ここで紹介したキュレーションメディアは、情報を保有する著作者と契約を行ったうえで情報の収集と配信を行っています。

またメディアによって、情報の改変(編集)にかかわる契約を行うことで、運営企業側が独自の視点で記事を編集する場合もあります。

その他のタイプのキュレーション

上記で紹介したキュレーションの2タイプは、いずれもメディア運営側の人もしくは機械です。

その他のタイプとして、ユーザー参加型でキュレーションを行うメディアも存在します。

ユーザーがキュレーションを行うメディアでは、ユーザーが主に1つのテーマに対して複数のサイトから情報を引用し、それらを1つにまとめて公開。

いわゆる「まとめサイト」などがその代表的なサービスですが、著作権や情報の信憑性などにおける問題から、現在では運営の見直しが検討されているメディアも多数あります。

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キュレーションメディアのモラルと社会問題

現在は数多くのキュレーションメディアが存在していますが、近年あるキュレーションメディアでの問題が発端となり、キュレーションメディアのあり方は大きな転換期を迎えています。

問題となった企業が運営するメディアでは、キュレーションを行う過程で著作権を侵害していたり、根拠のない情報を公開したり、メディアの運営体制に専門家などから大きな指摘が入りました。

その影響を受け、類似の手法で運営を行っていた他のキュレーションサイトでも閉鎖や記事掲載の停止などが行われたのです。

キュレーションメディアは、溢れる情報を整理し、ユーザーにとって有益な情報を提供するという魅力が多くのユーザーから支持されています。

だからこそキュレーションという行為には、より高いモラルが求められています。

この記事のまとめ

キュレーションが一般にも知られるようになったのは、「キュレーションメディア」といわれるWebサービスが登場した頃からです。

その後、ニュースに取り上げられたことで知名度は一気に高まりました。

そのイメージによって、キュレーションサービスに対して良くない印象を持つ方は少なからずいるようです。

しかしキュレーションは本来、ユーザーに最適な情報を届ける手段。情報とそれを必要とする人を適切につなぐ役割を果たしています。

特に機械によるキュレーションは、情報の収集や選別の精度が日を追うごとに高まっています。

人が情報を得ようとする行為そのものがなくなることは恐らくないですが、情報の探し方や受け取り方などは変わっていくでしょう。

人々の行動に大きな変化をもたらすのは、キュレーションサービスの進化かもしれません。

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