セル生産方式とは
前者は同じものを長期間生産していくのに適していますが、商品によっては小ロットとして少ない数を生産するものも存在しています。
後者には、「セル生産方式」が活用されています。これはどういう生産方式なのかみていきましょう。
セル生産方式と大量生産ラインの違い
まずは両方の生産工程の違いをみていきます。
大量生産ラインの場合
大量生産ラインの特徴として、大きなコンベアライン上に大型の製品を乗せて運び、各工程の作業者がそれぞれ担当の部品や工具を取り付け、次の工程へ送ります。
その作業が終了すると、自身の工程に次の製品がコンベアで運ばれてきますので、再度同じ作業をしていきます。
作業者はこの繰り返しを行い、完成品まですべての工程を担うのではなく、多くの同じ製品に対して一つの工程を担当していきます。
これは自動車本体を生産していく、大量生産型のモノづくりで採用されており、単一製品を大量生産するのには最適といえます。
セル生産方式の場合
セル生産方式の特徴は、コンベアを使用せずに、少人数(1人も含む)でチームを組んで、製品の生産工程を担う方法です。
セルと呼ばれる個別の作業台で製品を取り扱います。
工場によっては各作業台に製品を加工する機械があり、一つの機械で一つの工程を完成させて、次の工程に送るというシステムがとられています。
段取り替えの多さに最適なセル生産方式
セル生産方式が取り入れられたのは、消費者ニーズの変化が影響しています。少ない注文数だと、製品を加工する機械に対して、部品や治具を交換したりする「段取り替え」が多く発生します。
段取り替えは生産を止めて行われるので、コンベアラインだと段取りのたびにすべてのラインが止まってしまいます。
しかし、セル生産方式では個別のライン構成になっており、段取り替えが行われていても、他のセルでは生産が継続して行われています。
セル生産方式では多品種で小ロットの生産計画に対して、最適な生産方法であることがわかります。
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セル生産方式のメリット
セル生産方式には以下のメリットがあります。
多品種小ロットの生産でも生産効率が悪化しない
先述しましたが、大量生産のコンベアラインで多品種小ロットを生産すると、段取り替えごとに全ての工程がストップする回数が多くなり、生産効率が悪くなります。
セル生産方式だと個別ラインの為に影響を受けませんので、段取り替えをしていても各工程がストップすることはなく、生産効率が悪化しません。
万が一の設備トラブルにも柔軟な対応が可能
設備トラブルというのは予期せぬときに起きるものです。エアー系、電気系、油圧系など保全を毎月行っていても機械の故障というのはでてきます。
このようなとき、コンベアラインだと他の設備も止まってしまい、生産がストップしてしまいますが、個別ラインだと、生産計画と照らし合わせて他の機械に段取り替えを行うことでカバーできます。
他の設備で遅れた製品の影響を受けない
他の設備で遅れが生じた場合、コンベアラインでは全体的に影響が出てしまいます。しかし、個別ラインだと他の工程を生産しているので、影響を受けることはありません。
作業者に責任感が身に付く
コンベアラインでは作業者が一貫して同一作業しかせず、他の工程がどうなっているか、自身が担当した製品はどのようにして完成するかを見ることができません。
担当した工程には責任が出るでしょうが、製品自体には責任感がつきにくいものです。
一方、個別ラインでは組み付けから完成まで担当するので、作業者は製品に対する責任感が生まれやすく、良い品質を保とうとする傾向が出やすくなります。
スキルUPにもつながりやすい
製造業において、一番肝心なのが、機械の段取り替えです。品質は段取りにかかるといっても過言ではなく、段取りスキルが上がれば、それだけ良品を早く作ることが可能となります。
個別ラインでは多品種小ロットを扱う以上、コンベアラインよりも段取り回数が増えていき、担当作業者のスキルUPがはかどりやすくなります。
セル生産方式のデメリット
しかしながら、全てが良い方向に考えられるわけではありません。
段取りが多く小ロットということは、それだけ人員を割いてしまいます。製品の金額単価が高ければいいのですが、中には単価の安い製品もあります。
そこに人員を割いていると、コストが高くなってしまいます。
段取りが多くても人員を増やすことができないと、人材育成に費やす時間や人員を確保することができません。
よって作業者が頻繁に入れ替わるような請負や派遣社員などでチームを組むようなことは難しく、スキルの高い正規社員がメインとなって担当することが多くなり、人材育成が難しいというネックもあります。
この記事のまとめ
セル生産方式というのは、小ロット多品種のような生産計画に適しており、金額単価の高い製品が多く組み込まれています。
人がすぐに入れ替わるような人員配置では継続が難しいという点も忘れてはいけませんが、責任感が生まれやすいので、スキルUPにも直結しやすいという特徴があります。
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