便利屋の仕事内容・なり方・年収・資格などを解説
「便利屋」とは
部屋掃除や害虫駆除など、人々が日常生活を送るうえで発生する「困りごと」を解決する仕事。
便利屋とは、人々が日常生活を送るうえで発生するさまざまな「困りごと」の解決を仕事にしている人、あるいはその組織のことです。
便利屋は、常にお客さまから依頼を受けて仕事をします。
業務内容は、家事や引っ越しの手伝い、庭木の剪定、害虫駆除、パソコン作業、あるいは家事手伝いなど多岐にわたり、まるで「何でも屋」のようなサービスをウリにしている人もいます。
基本的には特別な学歴・資格なしで働けますが、特定の資格や免許を持っていれば、手掛けられる業務・サービス範囲が広がり、より多様なお客さまのニーズに対応できます。
便利屋のほとんどは、便利屋サービスを提供する会社に勤務するか、独立して個人で仕事をします。
大きな設備投資も必要ないため、工夫次第では利益を上げやすい仕事ですが、競争が激化しているなかで生計を立てていくのは容易ではありません。
お客さまからのあらゆるニーズにも応えられるだけの知識・技術の向上が不可欠です。
「便利屋」の仕事紹介
便利屋の仕事内容
お客さまから依頼を受けて、さまざまな「困りごと」を解決する
便利屋とは、人々が日常生活を送るうえで発生するさまざまな「困りごと」の解決を仕事にする人、あるいはその組織のことをいいます。
個人のお客さまから依頼を受け、仕事をするケースが大半です。
便利屋が請け負う仕事の代表的なものとしては、引っ越しの手伝いや家具の組み立て、庭木の剪定、害虫駆除、犬の散歩、家事手伝い、あるいは新しいパソコンのセットアップなど多岐にわたります。
力仕事からデスクワークまで、お客さまのあらゆる「困りごと」を解決するために力を発揮します。
特殊な資格・免許が必要な業務もある
便利屋が依頼を受けると、その内容を確認して、作業に必要な人員や時間を割り出し、案件ごとに依頼主からお金をもらって仕事をします。
なかには資格・免許がなくては行えない仕事もあります。
たとえば不用品回収なら「古物商許可」、劇薬を使った害虫駆除なら「害虫駆除業者」、車での送迎サービスには「2種運転免許」などが必要です。
資格・免許が必要ない範囲でのサービスを提供する便利屋もいれば、やや専門的なサービスができることをウリにして差別化を図る便利屋もいます。
便利屋になるには
なるためのハードルは低めだが、成功するのは難しい
便利屋になるために、必ずしも特別な資格や学歴は必要ありません。
便利屋の会社で働きたい場合は、各社が出す求人に応募して採用されれば、すぐに働き始めることが可能です。
学歴や経験不問で募集する企業も多く、門戸は広いです。
一方、個人で働きたい場合には、思い立ったその日から「便利屋」と看板を掲げて仕事をスタートすることも不可能ではありません。
しかしながら、一般的な便利屋が提供するサービス内容は多岐にわたります。
経験が一切ない状態で独立し「お客さまへの接し方がわからない」「依頼を受けても、やったことがなくてうまくできない」となれば、仕事としては成り立ちません。
素人がいきなり独立して簡単に成功できる仕事ではないことも、理解しておく必要があるでしょう。
専門的な技術や資格を生かして仕事をする
便利屋の仕事では、携わる案件の内容によっては、さまざまな資格・免許が必要になります。
具合例をいくつか挙げると、「代行運転をする」「尾行などの探偵業務をする」「ごみを取集して運搬する」といった仕事をするには、それらに応じた資格を取得しなくてはなりません。
また、たとえば技術系の専門技術や知識を習得していれば、それを生かしたサービスを提供できる可能性があります。
便利屋は、自分でさまざまなスキルを身につければ身につけるほど、お客さまに提供できるサービスも広がる仕事といえます。
便利屋の学校・学費
学歴は問われないが、強みを作っておくのもおすすめ
便利屋になるうえで、学歴が問われることはほとんどないといってよいでしょう。
どのような学歴の人でも、まず大切なのは「便利屋として働きたい」という強い意思、そしてお客さまのニーズに応えるために、働きながらも常に学び続ける姿勢です。
「便利屋」そのものについて学べる学校はないため、学生時代は自分が勉強したいこと、経験したいことにしっかりと打ち込むのがよいでしょう。
ただ、便利屋になってから役立つスキルや技術を早めに習得したいのであれば、技術系の学校に通うのもおすすめです。
たとえば、電機系の学校で電気工事に関する勉強して「電気工事士」の資格を取得すれば、便利屋としてそうした依頼が入ったときにすぐに対応できます。
学生時代に、便利屋になってから役立つ「自分の強み」を作っておくことも有用です。
便利屋の資格・試験の難易度
扱う案件の内容によっては資格や免許が必要
便利屋としての仕事をスタートするにあたって、必須となる資格はありません。
便利屋としての知識やスキルは、基本的には就職後、実務をスタートしてから先輩に教わりながら習得していくことが可能です。
ただし、特殊な依頼を請け負う場合には、その内容に応じた資格や免許が必要となることがあります。
たとえば廃棄物の収集・運搬をするなら「廃棄物処理業」、不用品の買取・販売には「古物商」、運転代行であれば「普通2種運転免許」などです。
また、探偵業務をするなら、警察の生活安全課へ「探偵業開始届出書」の提出が必要となります。
さまざまな資格取得をすることによって、便利屋としてのサービス範囲はどんどん広がります。
便利屋の給料・年収
便利屋に就職する場合は、安定した収入が得られる
便利屋が便利屋サービスを提供する会社に勤める場合は、各社から給料をもらって仕事をします。
厚生労働省の令和2年度賃金構造基本統計調査によると、便利屋の平均年収は、42.2歳で382万円ほどです。
正社員であれば月給18万円~20万円程度から、アルバイトであれば時給850円~1,000円くらいからのスタートが相場となっているようです。
そこまで高額な収入は得られませんが、毎月、安定した収入が得られるのは勤務する場合のメリットです。
特殊な資格・スキルを持ちあわせていたり、キャリアが長くなったりすると、昇給も期待できます。
独立・開業した便利屋の収入事情
便利屋が独立・開業する場合には、どれだけ多くのお客さまを集められるかや、どのような案件を請け負っていくかによっても収入が大きく変動します。
一般的な便利屋には、そこまで大がかりな設備は必要ありません。
サービスの料金設定も自分でできるため、工夫次第では利益を上げやすいですが、すべての人が便利屋を開業して儲けているわけではありません。
最近は便利屋の競争も厳しく、何かしらの「特徴」や「強み」がないと、なかなか選ばれない時代になってきています。
たくさんのお客さまに認知してもらうための営業努力も不可欠です。
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便利屋の現状と将来性・今後の見通し
需要はあるが、独立・開業して生計を立てるのは難しい
通称「何でも屋」といわれる便利屋は、人々の日常生活で発生するさまざまな困りごとを解決するために、なくてはならない存在に[なっています。
メディアでもよく取り上げられる害虫駆除やごみ屋敷の掃除をはじめ、近年は一人暮らしをする若い女性や、高齢者からの仕事の依頼も増えているそうです。
今後も安定的な需要が見込める仕事といえるでしょう。
しかし、個人からの依頼ありきで動く便利屋は「いつ、どれだけ」の依頼が入るか見えづらい仕事です。
とくに独立・開業した場合は、この仕事だけで生計を立てていくのは簡単ではありません。
もし便利屋として安定的に働きたいのであれば、大手企業が運営する便利屋に就職して社員として働くか、自分にしかない「強み」をもつことが必要になるでしょう。
便利屋の就職先・活躍の場
会社に勤めるか、個人で開業するか
便利屋として働く人は、便利屋として事業を営んでいる企業に勤める人と、個人で独立して仕事をしている人の2種類に分けられます。
前者の場合は、各社の社員(スタッフ)として、所属先の会社の方針に沿って仕事をします。
便利屋の数が増えていくなかで、最近では女性スタッフだけの便利屋や、掃除・クリーニングサービスに特化した便利屋など、特色ある事業展開をする会社も増えています。
また、この仕事では独立・開業を目指す人も多くいます。
便利屋になること自体はハードルがそこまで高くありませんが、生計を立てることができるほど稼げるかどうかはわかりません。
依頼者の多種多様なニーズに応えていくなかで、自分だけの強みや得意分野ができれば、優位性が発揮できるでしょう。
便利屋の1日
お客さまの依頼内容に応じて動く
便利屋は、会社や店舗によって営業時間やサービス内容が異なります。
24時間体制でスタッフが交代しながら働くところもあれば、時間を決めて営業しているところもあります。
勤務先によって働き方はさまざまですが、どの便利屋にも共通するのは「お客さまの依頼」に合わせて動くことです。
1時間程度で終わる仕事が立て続けに入る日もあれば、終日一つの仕事に付きっ切りになるような日もあります。
ここでは、会社勤めをする便利屋のある1日の流れを紹介します。
便利屋のやりがい、楽しさ
多種多様な仕事ができ、変化に富んだ毎日を送れる
便利屋として働いていると、日常生活を送っているだけではなかなか経験できないような、多種多様な仕事に携わることができます。
持っている技術や資格によっては、電気工事や内装など特別な技術を要する仕事を請け負うこともでき、自分が身につけてきた知識・スキルを存分に発揮できます。
また、お客さまは若い人から年配の人まで、一人ひとりが異なるさまざまなニーズを抱えています。
決まりきったことだけでない、いろいろな出会いや経験に恵まれ刺激的な日々を送れることは、便利屋として働く魅力です。
また、依頼者の困りごとを解決する仕事だからこそ、作業完了時には目の前で「ありがとう」と言って喜んでもらえるのも、この仕事のやりがいです。
便利屋のつらいこと、大変なこと
「困りごと」の内容によっては苦労することも
便利屋は、お客さまのさまざまな「困りごと」に対応します。
「困りごと」の内容は多岐にわたり、たとえば買い物のように簡単に終わるものもあれば、引っ越しやゴミ屋敷の片づけといった体力を使う作業や、工具を扱う作業系など多少の危険を伴うようなものもあります。
また、お客さまの都合で早朝や深夜に対応しなくてはならないこともあり、移動が多いこともあって、体力的にはややハードです。
お客さまのために違法でない限りは基本的に何でもやるというスタンスをとる便利屋も少なくありませんが、「どんな依頼がくるかわからない」という緊張感や大変さがある仕事です。
便利屋に向いている人・適性
人を助けることが好きで、フットワーク軽く動ける人
便利屋が請け負う案件は、日常生活に密着した「雑用」といえるようなものもたくさんあります。
しかし、どんなに小さな仕事であっても、目の前のお客さまのために頑張れる人が、便利屋の適性があるといえます。
仕事に必要な知識や技術は後から身につけることができますが、まずは人助けが好きなことは、便利屋にとって大切な要素です。
また、便利屋は「何でも屋」としての役割を求められることが多いため、フットワークが軽く、どんな困りごとでも自分が解決するという柔軟さも必要になってきます。
その場の状況に応じて、臨機応変に動くことが苦にならないタイプの人は、便利屋向きといえます。
便利屋志望動機・目指すきっかけ
変化が好きで、さまざまな経験をしたいという思い
便利屋として活躍している人のバックグラウンドはさまざまです。
目指すきっかけも人それぞれ異なりますが、便利屋の最大の特徴である「お客さまに頼まれたことなら、基本的に何でもやる」という点に魅力を感じ、この仕事に就く人は多いようです。
一般的な仕事では、ある程度決まった範囲の業務内で動きますが、便利屋の場合はお客さまからの依頼があれば、部屋の片づけから掃除、引っ越しの手伝い、不用品回収、遺品整理など、ありとあらゆることを行います。
「さまざまな経験をしたい」という思いから、便利屋という仕事に興味を持ち、実際に便利屋として働き始める人は多くいます。
便利屋の雇用形態・働き方
雇われるほか、独立・開業して働く人も多数
便利屋は、便利屋のサービスを営む会社に雇われて働く人と、独立・開業して働く人がいます。
会社に雇われる場合、大手企業であれば正社員として働けることが多いですが、なかには全員がアルバイト・パートなど非正規雇用のスタッフというところもあるようです。
また、小規模の便利屋の場合、給与制度が不透明であったり、福利厚生が充実していない場合があるため、働き方はやや不安定になるかもしれません。
独立・開業した場合には、自分が経営者として事業の方向性やサービス内容を定めます。
理想の働き方を目指しやすいのはメリットですが、経営者としての責任やプレッシャーなどものしかかってきます。
便利屋の勤務時間・休日・生活
勤務時間は勤務先や人によってさまざま
便利屋の勤務体系やワークスタイルは、勤務先や、人によってまったく異なるものとなります。
便利屋のなかには、あらゆるお客さまの多様なニーズにできるだけ多く答えるため、24時間体制で依頼を受け付けているところがあります。
その場合、スタッフが交代制で働くことが一般的です。
独立・開業した場合は働き方の自由度が高まるものの、人気が出てくると仕事の依頼が立て込んで、1日中忙しく働く人もいます。
休日については、事前に休業日を決めておくケースもありますし、お客さまからの依頼次第で休む日を変えるケースもあります。
個人で働く場合は特定の休日を設けず、仕事が入らない日に休む形をとっている人も少なくありません。
便利屋の求人・就職状況・需要
便利屋を営む会社は全国に数多くある
便利屋は、利用したことがない人にとってはあまりなじみのない存在かもしれませんが、実は日本全国に数多くの会社があります。
その規模については、たくさんの店舗をチェーン展開している大手企業から、少人数で事業を営んでいる小さな組織までさまざまです。
個人で独立・開業している人も少なくありません。
一般的に公開されている便利屋の求人の多くは、ある程度の規模の会社となるでしょう。
特別な学歴・資格は求められないことが多い代わりに、必ずしも正社員として働けるわけではなく、最初はアルバイトやパートからのスタートになることもあります。
ただ、雇用形態や待遇を選ばなければ、便利屋で働きはじめることはさほど難しくないでしょう。
便利屋の転職状況・未経験採用
未経験者でも転職しやすく、資格も生かせる可能性がある
便利屋への転職を目指すのであれば、まずは会社勤めをするのか、それとも独立・開業するのかを決める必要があります。
一般的に、ノウハウもない状態でいきなり独立は難しいため、まずは会社勤めを選択する人が多いようです。
便利屋は未経験者を受け入れる傾向が強いため、異業種からの転職でも、ハードルはさほど高くありません。
とくにアルバイトであれば、熱意さえあれば、学歴・年齢などは一切関係なく受け入れてもらえる可能性は高いでしょう。
特別な経歴がなくても働けるチャンスはありますが、「電気工事士」や「2種運転免許」などの資格・免許を持っていると便利屋の業務に役立ちます。
専門的なスキルを持っている人も、積極的にアピールしたいところです。
便利屋ができること・できないこと
あくまでも日常生活の困りごとに関連するサービスが中心
便利屋は、おもに個人のお客さまから依頼を受けて、さまざまな「困りごと」を解決するためのサービスを提供します。
基本的に「頼まれたら何でもやる」のが便利屋のスタンスですが、「何でも」といっても、やらないこと・できないこともあります。
たとえば、営業やコンサルティングなどビジネスの専門知識・スキルが求められるような仕事は、便利屋は手掛けません。
あくまでも「日常生活上の困りごと」の範囲内をサービス対象としているケースがほとんどです。
このほか、資格・免許、認可が必要な仕事は、それらを取得していなければ手掛けることができません。
具体例を挙げると、「廃棄物処理」「探偵」「不用品買取」「運転代行」などが該当します。
加えて、当然ではありますが、法律や社会的規範から外れることも便利屋は行いません。