契約社員の雇い止めとは? 5年が限度?
突然、それまでの仕事が続けられなくなると、生活に大きな影響が出てしまうものです。
今回は、どのようなときに「雇い止め」になるのかや、雇い止めを回避する方法はあるのかなど、有期で働く人たちが少しでも安心して働くために知っておきたい情報を紹介します。
「雇い止め」とは何か
雇い止めとは、企業と労働者が有期の労働契約を結んで働く際、契約期間満了時に雇用期間を更新せずに契約を終了することをいいます。
通常、契約社員など有期で働く労働者は、3ヵ月や6ヵ月などの契約期間が満了するタイミングで「更新」をするチャンスがあります。
そこでは会社側と労働者が双方合意すれば、契約更新を行って、労働者は引き続き働くことができます。
しかし、会社側が「次の契約更新はしない」ということになれば、労働者は契約満了以降、引き続き働くことはできません。
これが「雇い止め」といわれるものです。
なお、雇い止めは、正社員など無期契約で働く人が会社から辞めるように働きかけられることや、契約満了時以外のタイミングで契約関係を解消する「解雇」とは異なるものになります。
雇い止めは勝手にできるものではない
雇い止めは、有期労働契約を結んで働く人にとっては誰もが不安になるものです。
しかし、雇い止めにはルールが設けられているため、企業は好き勝手に雇い止めをすることはできません。
雇い止めに関するルールは、労働契約法の「有期労働契約の締結、更新及び雇い止めに関する基準」によって定められています。
雇い止めには予告が必要
雇い止めを行おうとするときには、契約期間満了の30日以上前にその旨を予告しなくてはなりません。
ただし、以下のいずれかの条件にあてはまる労働者との契約に限られます。
・有期労働契約が3回以上更新されていること
・1年未満のの契約期間の労働契約が(反復)更新され、最初に労働契約を締結してから通算1年以上経過する場合
・1年を超える有期労働契約を締結していること
契約締結時の明示事項がある
会社と労働者が有期雇用契約を締結する際には、雇用契約書に「契約更新の有無」と「更新に関する判断基準」を明記することが定められています。
契約更新有無
「自動的に更新する」「更新する場合があり得る」「契約の更新はしない」など。
更新に関する判断基準
「契約期間満了時の業務量により判断する」「労働者の能力により判断する」「会社の経営状況により判断する」など。
雇い止めの理由の明示
会社が雇い止めの予告をし、労働者が雇い止めの理由について証明書を請求した場合、会社側は速やかに証明書を発行しなくてはなりません。
雇い止めの理由としては、以下のような例が挙げられます。
・契約締結当初から定めていた更新回数の上限に関わるものであるため
・事業縮小のため
・担当していた業務が終了・中止したため
・無断欠勤や勤務不良が見られるため
など。
ここで、会社は契約満了以外の理由を挙げなくてはなりません。
労働期間や更新に関する配慮
会社は、有期労働契約であっても、契約を1回以上更新し、さらに1年以上継続して雇用する労働者に対しては、契約の実態及びその労働者の希望に応じて契約期間をできる限り長くするよう努めることが求められています。
つまり、会社はたとえ有期労働契約の下に働く契約社員に対しても、契約を更新して1年以上働いている人には、できるだけ契約期間を長くとる配慮をしなくてはなりません。
ただし、有期労働契約の期間の上限は原則的に3年(一部では5年)となっています。
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無期労働契約に転換できるルールもある
会社がここまで見てきた条件をすべて満たしていれば、雇い止めを選択することは違法にあたるわけではありません。
本来、会社が有期で人材を採用する目的は、臨時的に人手が必要などの場合です。
しかし、なかには有期労働契約の契約社員に対して、正社員よりも低い給料や待遇で正社員と同等の仕事を任せておきながら、相手に配慮せずに雇い止めを行おうと考える会社があるのも確かです。
そうした立場の弱い有期雇用労働者の安定性を守るために、一定の条件を満たした契約社員が「無期労働契約」に転換ができるルールがあります。
これは通称「5年ルール」といわれます。
労働契約法の改正によって、有期契約の契約社員等が2013年4月1日以降に労働契約を結び、複数回更新して通算5年を超えたときは、労働者の申し込みにより「無期契約」に転換することができます。
労働者からの申し込みがあったとき、会社側はこれを拒むことができません。
ただし、5年間の中で6ヵ月以上契約がない空白期間があると、5年ルールの適用条件にはなりませんので注意が必要です。
雇い止めを回避する方法はある?
突然の雇い止めを避けるためには、まず有期労働契約を結ぶ際に、会社と交わす雇用契約書の内容をしっかりと確認してから締結するのが大前提です。
契約更新の有無や契約更新の基準など、必要な事項が正しく記載されているかを確認すること、そして雇用契約書はもし雇い止めに対して行動を起こす際の大事な証拠になるので必ず保管しておきましょう。
契約社員として働き始めてから雇い止めを通告されたら、契約期間満了日のどれくらい前に言われたかが重要なポイントとなります。
会社は30日以上前に通告しなくてはなりませんので、1週間前や14日前など急な通告であれば認められません。
その他にも、会社から継続的な契約を期待させるような発言があった場合などは、雇い止めを回避できる可能性があります。
自分の担当業務が一時的なプロジェクトのようなものか、それとも継続的なものなのかなども、雇い止めに関連してくることがありますので、自分で実態を認識しておきましょう。
この記事のまとめ
雇い止めは深刻な労働トラブルのひとつとなっています。
とくに、中小企業では経営者自身が労働基準法を正しく理解していないこともあり、会社の都合で一方的に急な雇い止めが行われ、労働者が困惑するケースが増加しているようです。
もし勤務先から雇い止めを通告されても慌てず、自身の労働契約の内容などを一つひとつ確認してみましょう。
実際の会社の対応が不当だとみなされるのか、簡単には判断しにくいケースもありますので、不安なときは弁護士に相談するのも手です。
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