医療機関のシステムエンジニア(院内SE)の3つの業務とは
医療機関のシステムエンジニアって、どんな仕事をするんだろうと思いませんか?
実は、業務によってはそれほど高度な専門知識がなくても務まるのが「医療機関のシステムエンジニア」です。
医療機関ではパソコンが苦手な人が多いので、医師や看護師等からも頼られる、やりがいのある仕事です。
ここでは、医療機関のシステムエンジニア(以下、院内SE)の業務内容を説明します。
【業務その1】トラブル対応
院内SEの一番多い仕事は「トラブル対応」です。
例えばパソコンが固まった、印刷が出ないといった機器的なものから、ネットが見られない、無線が不安定などのネットワーク的なものまで、なにかあると呼ばれて対処します。
では、私の経験するトラブル対応で、多いものを見てみましょう。
どんなトラブルがあるのか
まず、一番呼ばれる回数が多いのはパソコンが固まったケースです。
パソコンが固まるとクリックしても反応せず、ひどいときにはキーボードも使えなくなります。
原因の多くは、医療機関だと電子カルテの不具合があげられ、開発側の意図しない操作で起こります。
このケースで院内SEはなにをするかですが、実はとても簡単です。
まずは電子カルテを再起動すること、そして業者に事象を報告して改善させることです。
電子カルテの再起動は、パソコンをちょっと知っている人であれば分かるやり方で(システムによる違いはありますが…)行います。
業者への報告・改善依頼は、起こったことを現場にいた人から聞いて業者に伝え、いつまでに回答や改善ができるかを確認します。
次に多いのがネットワークが切れるケースです。
現場の人は電子カルテがエラーを起こしたと思っていますが、そのうちでネットワークが切れたためにエラーになっていることは、実はけっこうあります。
原因の多くは、IPアドレスがとんだ、LANケーブルの接触が悪くなったなどです。
IPアドレスが飛ぶのは、使う人がパソコンで自動的に出てくるメッセージをクリックしてしまった時などに起こります。
その際には、メッセージが出なくなるよう設定を変えます。
また、LANケーブルの接触が悪くないか、その途中のハブの調子が悪くないかといったこともチェックします。
トラブル対応は従業員に感謝されやすい
日々電話が鳴らない日はないくらい、トラブル対応はよくあることですが、従業員に感謝されることが多いです。
感謝されるとまず嬉しいですし、こちらの要望も聞いてくれやすくなって、その後の仕事がやりやすくなります。
【業務その2】問い合わせ、要望、クレームの窓口
次に多い業務が、問い合わせや要望、クレームの窓口業務です。
院内SEは専門職のイメージですが、システム担当として電子カルテやパソコンの操作や使いやすさの向上を図る面で、このような仕事もあります。
例えば、「電子カルテで検査結果を並べて見る方法は?」「エクセルで条件指定して集計するには?」などの、操作の仕方や使い方を聞かれるのが「問い合わせ」です。
また、「一般名処方で処方箋を出せるようにできないか?」「もっと画面を明るくできないか?」などの、ユーザー側の希望・できれば~が「要望」です。
そして、電子カルテの画面構成が分かりづらい、文字変換で思ったものが出てこないなどの、ユーザー側の不満が「クレーム」です。
問い合わせは知っていればその場で答え、分からなければ自分で調べたり、業者に聞いたりします。
要望やクレームは、どこをどうして欲しいのか、変わったり直ったりするとどのくらいのメリットがありそうかなどを確認して、必要であれば業者に伝えたり、設定を変えてあげたりします。
ちなみに要望やクレーム対応の際のポイントは「個人の意見ではなく部署の意見かを確認する」ことです。
せっかく直したのに、別の人から「前のほうが良かった」などと言われると、がっかりするばかりか手間だけが増えます。
対応する前に部署長に相談して、やるかやらないかを決めるのです。
この面から、院内SEは、サービス業であるとも言えます。
この業務も、上手く対応できるととても喜ばれます。
やっぱり、やりがいがある仕事です。
【業務その3】院内システム全般の導入や更新に関わる
院内SEは、院内全般のシステム導入や更新に関わります。
特に、電子カルテなどの基幹システムでは、プロジェクトリーダーの役目を担うことになるでしょう。
どのシステムや機器を入れるのか、作業スケジュールはどうするのか、従業員への教育方法をどうするのかといった、システムが無事使えるように、上手く回るように、気を配ります。
また部門のシステムでも、意見を聞かれたり、基幹システムに関わる部分はメインで調整したりと、出番があります。
この業務は大変ですが、達成感も大きいです。
特に、みんなが便利になったと言っていたり、運用でトラブルが少ないと感じたりすると、自己満足に浸ることができるのです。
以上が、医療機関のシステムエンジニアの主な業務です。
院内SEは、主にこれら3つの業務を日々こなしています。
ただやっていることはそこまで専門的ではないことが多く、各項目で述べたようにとてもやりがいのある仕事なのです。
また、知識はもちろんあったほうがいいのですが、この仕事で大事だと私が思うのは「向上心」と「サービス精神」です。
この2つを持って、職場をより良くしたい、みんなに喜んでほしいといった気持ちをもって業務にあたれば、きっといい方向に向かうと思います。
読んで院内SEに興味をもってもらえると嬉しいです。