新幹線車掌は時間を厳守し、旅客の安全を守る責任重大な職業
10年程前に、新幹線の車掌業務に従事していました。
退職後に業務内容がやや変わったため、現在とは少し異なる部分もあるかと思います。
しかし、車掌で大変なことは今も昔も変わりません。
私の経験を参考にしながら、車掌の仕事とは何か、大変なこともクリアできるか、考えてみてもらえると幸いです。
新幹線車掌の1日の仕事の流れ
まず、仕事内容を紹介します。
出勤したら、制服に着替え出勤点呼を受けます。
出勤時間が9時なら、8時前後には点呼を受ける人が多いです。
鍵やお金などの所持品を準備したり、乗務で使う書類を作成します。
車掌は車掌長と後部車掌の2人組で動くため、2人で打ち合わせもします。
2人で乗務点呼を受けたら列車に乗り込み、乗務開始です。
後部車掌は列車監視とドアの開閉、車掌長は車内放送と列車監視をします。
その他にも、検札、切符の発券、旅客案内、清掃、急病人対応、遺失物捜索、車両点検なども行います。
終着駅についたら、到着点呼を受けて車内で起きたことなどを報告します。
次の列車までは休憩なので、食事をしたりして過ごします。
乗務点呼、乗務、到着点呼を繰り返し、乗務した列車全ての出来事を報告する退出点呼を受けて業務終了です。
基本的には、東京→新大阪、新大阪→東京、寝る、翌日、また1往復。
もしくは、東京→新大阪、新大阪→東京、東京→新大阪、寝る、翌日、新大阪→東京というパターンが多いです。
他にも、途中の名古屋や静岡で泊まったり、もっと不規則な乗務パターンもあります。
出勤が8時~翌朝9時に終了、15時~翌日15時に終了など、勤務時間もバラバラです。
点呼を受ける時間、ドアの開閉時間など、1分1秒でも遅れたらアウトです。
新幹線の車掌はサービス業と思われがちですが、常に時間を守る厳格な仕事であり、車内の何でも屋でもあります。
新幹線車掌は不規則勤務に慣れるまで大変
私が1番大変だったのは、不規則勤務に身体が慣れないことでした。
22時に寝て4時に起きる、0時に寝て6時に起きるなど、睡眠時間が乗務ごとに異なります。
私は寝つきの悪い方なので、なかなか眠れず睡眠不足でした。
睡眠不足のまま乗務すると酔いやすく、翌朝の列車内のトイレで吐いてしまうこともありました。
また、寝坊は絶対に厳禁のため、翌朝起きれるか不安なこともよくありました。
まだ夜中の2時なのに寝ぼけて服を着替えたり、休みの日でも寝坊や遅刻する夢を見てうなされることもありました。
車掌になりたての頃は、常に身体が揺れていてずっと列車に乗っているような感覚になったり、トンネル内の気圧で耳鳴りが続くこともありました。
もちろん、すぐ慣れる人も睡眠不足でも元気な人もたくさんいました。
50代のおじさん達も何十年も元気に働いていたので、体質次第なところもあります。
新幹線車掌は旅客の安全を守る大変な仕事
後部車掌は、列車が発着する時に駅ホームの状態を確認(列車監視)しながらドアの開閉を行います。
決められたマニュアルを確実に頭に入れ、正確・迅速に行わないと旅客を危険な目に遭わせることになります。
旅客がドアに挟まれるなど、よくあることはマニュアルが身体にしみつくので、落ち着いて対応できます。
しかし、滅多に無い事が起きると「自分の対応はあっている?本当にこれでいいの?」と、とても緊張しました。
列車に雷が落ちて停電したり、ホーム出発直後に列車が故障し、運転士と協力して列車を逆走させることなどもありました。
事細かにマニュアルが決められていますが、想定外のことも起きます。
その時に落ち着いて行動し、旅客を危険から守るのは車掌の仕事です。
私が退職してからは、車内で放火や殺人事件も起きました。
対応したのが知っている方だったため、必死で旅客を守ったことを思うと胸が熱くなりました。
それと同時に、自分はとても責任重大な仕事をしていたこと、危険と隣り合わせの仕事をしていんだということを改めて感じました。
新幹線車掌は時間を厳守し、旅客の安全を守る責任重大な職業です。
不規則な勤務のため、身体が慣れるまでは大変です。
大変なことを理解し、覚悟を持って目指すことをおすすめします。